パレスチナとイスラエルの架橋となる努力に賛意

イスラエル人ピアニスト・指揮者のD・バレンボイム、パレスチナの市民権を取得

【1月14日 AFP】アルゼンチン出身のイスラエル人ピアニスト/指揮者のダニエル・バレンボイム(Daniel Barenboim)が、パレスチナの市民権を取得した。ラマラ(Ramallah)にて行われたコンサート後、バレンボイム本人が発表した。この事実がイスラエル・パレスチナ間の平和の見本になることを願っているという。

 同氏はラマラにて、アラブとイスラエルの音楽家の接触を推進する活動を行っている。(c)AFP



AFPBB News


 ダニエル・バレンボイムは大きなリスクを抱えながらパレスチナとイスラエルの架橋となる努力を続けている。彼はユダヤ系としての出自からイスラエルの市民権を持っているにも関わらず、何とパレスチナの市民権も取得し、かつて故アラファトがイスラエルによって長期の軟禁状態におかれたラマラでコンサートを行った。その行動の背後にユダヤの最良の良心がかいま見られる。

 長い迫害の歴史をもち、20世紀最大のホロコーストを経験したユダヤが近隣のパレスチナの人々を迫害している。これは大きな矛盾ではないかと。最も苛烈な迫害を経験したからこそ、パレスチナの人々の苦しい現状を理解し、彼らへの迫害に荷担すべきではないなのではないか。紛争の地から遠く離れた立場で彼の主張を聞くと、それは正論中の正論だ。

 しかし、この正論を紛争の現場で主張するリスクの大きさは想像を絶する。ユダヤ原理主義右派からは、イスラエル市民権を剥奪しろとの恫喝もあるという。身の危険もあるのではないか。彼は故サイードとの対話を通じて、その思いを強固にしたといわれている。数千年に及ぶ近親憎悪はどこへ向かうのか。

 何のために中東歴訪をしたのか不可思議なブッシュ。その歴訪の前後に、国防省はアフガンに海兵隊3,000人余の派遣、イラクへの予備兵力として州兵12,000人余の招集を発表した。すでに軍事的解決の枠組みは壊れている。音楽家バレンボイムの行動は現実の政治的、軍事的力学からは無力に見える。また、長い時間を経て後の評価となろうが、彼の主張は、原理、本質として正しいはずだ。

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登録日:2008年 01月 16日 05:53:12

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樋口一希(Kazuki Higuchi)
建築ジャーナリスト・ライター・エディター
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