中川秀直氏の矛盾
以下は産経(7月2日)。
自民党の中川秀直元幹事長は2日夜の日本テレビCS番組で、公務員制度改革などに関する主張が党のマニフェスト(政権公約)に盛り込まれなければ、賛同する議員とともに独自の政権公約を掲げて衆院選に臨む意向を示した。離党の可能性については「まだ、ない」と否定した。
公務員制度改革など氏の主張の一部については賛成である。しかし、小選挙区制というのは政党と政党の戦いである。一つの政党の中に複数のマニフェストがあるというのは、一国にあって最高法規たる憲法が二つあるのと同様であり、どちらが真正の自民党かという「正当性」論争を抱えたまま、つまり、有権者から見れば内乱状態を抱えたまま選挙を戦うことになる。困るのは自民党の支持者だけではない。一般の有権者も、どちらが自民党の主張なのかと頭を抱えることになる。当然のことながら、政党のマニフェストは一つでなければ政党の体をなさない。できなければ同じ考えに賛同する新たな勢力を別の旗の下に結集させるべきである。
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登録日:2009年 07月 03日 01:33:43
橋下知事の正解
伝えられるように、「新党について、今のところ、次期衆院選に向けて国会議員を擁立するところまでは思っていない。地方の政治を改革する党というイメージがある、などと説明」(26日付産経新聞)、というのであれば目標はローカルパーティー(地域政党)にならざるを得ないのではないか。
デュヴェルジェの法則を持ち出すまでもなく、小選挙区制下では2大政党制が必然の帰結であり、既に自民(或いは自公)と民主という2大政党が存在するのだから、そこに割って入るには同等の大きさのナショナルパーティーを作る必要がある。いかに橋下・東国原連合に人気があるとはいえ、一気にそこまで事を進めるのは無理だろう。
だとすると、東国原知事のように一つの政党を乗っ取ろうとするのか、もっと現実的にはローカルマニフェストを持った橋下ローカルパーティー、中田ローカルパーティー、露木ローカルパーティーが連合を組んで分権マニフェストを作り、それに賛同する国会議員を応援し、地方分権を成し遂げることである。
橋下ローカルパーティーなら府議会の中にも私を含め賛同者は多数いるだろう。但し、既存のナショナルパーティーとの関係をどのように整理するかという難題を克服する必要がある。
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登録日:2009年 06月 29日 00:39:47
支離滅裂
「党員の声を聴く会」に出席した。
「声を聴く」前に行われた基調講演の講師は柳沢伯夫・代議士。元大蔵官僚で、国土庁長官、金融担当大臣等を歴任された金融、財政のエキスパートという触れ込みである。
ところが、その矛盾に満ちた講演内容に何度耳を疑ったことか。
例えば、今回までの財政出動は満点であると自画自賛しながら将来世代のことを考えなければならないという矛盾(今回までの「財政出動」というのは殆どが赤字国債、即ち将来世代への負担の先送りです)。例えば、消費刺激策より設備投資の方が重要という発言。(静岡県知事選挙の応援があるので講演後直ちに会場を離れられたが、同様の演説を静岡でされたら勝つ候補者でも勝てなくなるだろう)
いつも思うことであるが、政府・自民党の政策を地方の議員・党員は一般の有権者と同じ尺度で評価している。自らが政策形成に関与する機会が殆どないからだ。同様に、私たち自民党の地方議員が成果としてアピールしたいこと(例えば「議会基本条例」の制定)について国会議員は何の知識も持たない。
共通の目的が明確でないとしたら、戦いの大義をどこに求めたら良いのだろうか。
分権ということでは中央も地方も表向きは同じく推進となっている。しかし、政党の組織は旧態依然の中央集権である。そのツケは上記のような催しにもかえってくる。
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登録日:2009年 06月 28日 01:49:56
参議院は要りますか?
第2院の意見が第1院のそれと同じなら不要であり、異なるなら有害である、という古典的な議論を以前に書いたことがある。この議論は、まさしく今の参議院に当てはまるのではないか。
緑風会等、政党色が薄く良識の府と呼ばれるにふさわしい会派が存在した昔と違い、参議院が完全に衆議院のコピーになってしまっているからである。
東国原知事の発言で再度脚光を浴びているようだが、「国と地方の協議の場の法制化」については、全国知事会も都道府県議長会も国に対し同じ要望を行っている。
法律により新たに協議の場を設けるより、参議院の構成を改め、議員を首長と地方議会議長等から選ぶようにすれば、分権も進むし、地方の意見が直接に国に届く(現職の国会議員で地方財政計画の細部まで理解している人が何人いるのだろうか)。東国原知事が「国政に行く」などと発言する必要もなくなる。
橋下知事には、分権、道州制を議論するなら併せて参議院についても議論していただきたいものである。
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登録日:2009年 06月 25日 23:59:25
次の一手
6日、来年度の国の予算編成に関し、大阪府連所属の国会議員に府議会議員団としての要望を行った。
このような、ともすればセレモニー化しがちな活動を、内容あるものに変質させたのも橋下知事の功績である。国直轄事業負担金の扱いがその最たるものである。それまで、私たち府議団が国会議員団にいくら強く要望してもアジェンダにすらならなかった。マスコミも話題にしてくれなかった。それがどうだ、一度、橋下劇場の演目に取り上げられると、他の知事からも同様の声が上がる、マスコミも取り上げる、そして、国政のアジェンダになってしまう。
私が議員になって初めての一般質問(平成12年3月)で、地方交付税制度が続く限り、つまり、国が地方財政計画を策定する(地方交付税法第7条)ことにより地方自治体の財政運営を計画する、ということを続ける限り、自己決定、自己責任を原則とする「住民自治」などあり得ない(もちろん地域間の財政調整を否定するものではないが)、と述べたときの思いは未だに持ち続けている。
橋下知事におかれては、単に税財源の国から地方への移譲を求めるだけでなく、国が関与すべき行政サービスの範囲、ナショナルミニマムの設定にまで踏み込んだ議論を展開し、地方財政計画、地方交付税制度が政治のアジェンダとなるようご尽力いただきたい。
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登録日:2009年 06月 08日 07:08:34
橋下知事に期待
国の「経済危機対策」を受け、府の経済対策に伴う5月補正予算が5月議会に提案されている。
今回の経済危機を克服するためには、野口悠紀雄教授が言うように「日本の経済構造を外需依存構造から内需志向に構造転換させる」以外にないのだが、一朝一夕にして成るものではないし、まして、政府が関与して実現できることではない。それは民間の知恵に任せるしかない。
今、政府にできることは、財政出動によって需要を拡大させることである。
そういう観点から今回の国の「経済危機対策」を見ると将に玉石混交である。
緊急対策とされている「金融政策」1.1兆円、成長戦略の低炭素革命のほとんどの事業にはあまり意味がないだろう。
他方、介護職員待遇改善、子育て教育支援、国土ミッシングリンク対策等に含まれる事業は、単に有効需要を拡大するだけでなく、経済構造の転換にも資することになると考えられる。
今回の経済危機は、発想を逆転させて考えるならば、貧困な都市インフラを整備することができる最後のチャンスかもしれない。
しかし、国直轄事業負担金の扱いを見るまでもなく、残念ながら都市住民を代表する国会議員は一つの政治勢力にはなりえていない。
橋下知事におかれてはそういう事情を弁えられた上で、国に対し、私たち都市住民の代弁者であり続けていただきたい。
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登録日:2009年 05月 25日 23:45:45
自由の気風
困った時に頼るべき人がいるのは洋の東西を問わない。
アメリカ人ならばリンカーン、イギリス人ならばチャーチルがマジックネームというが如く。
多くの日本人にとっては、聖徳太子、最澄、空海、親鸞をはじめとする宗教指導者。世阿弥元清。千利休。信長、家康、勝海舟、坂本龍馬、西郷隆盛、西周、岡倉天心、新渡戸稲造、漱石、子規等になるのだろうか。
私にとっては福沢諭吉がその一人である。
その福沢の思想のなかで、核心をなすものが幾つかあると思うのだが、「単一の説を守れば、その説の性質は仮令ひ純精善良なるも、之に由て決して自由の気を生ずべからず。自由の気風は唯多事争論の間に在りて存するものと知るべし」(文明論之概略)という考え方はとりわけ重要なものであろう。
如何に純精善良な説であってもそれが政治権力と合体して正統とされた時は、思想的自由は原理的には生じない(丸山真男)。
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登録日:2009年 05月 20日 23:59:35
異議申し立ての二律背反②
ばらばらになった意見の機械的寄せ集めを脱却し、しかも集合的異議申し立ての二律背反に陥らないためにどうすればよいのか。
ブルデューの用意する答えは以下のようになるのだろうか。
「誰かが自分のために語ってくれるならば声を発しないであろう人々のために発言するということが何を意味するのかということである。投票において行われる選好の機械的な足し算から脱出する唯一の現実的方法は、意見というものを機械的かつ消極的に足し合わせやすいものとして扱うのではなく、議論や対決といった意見交換によって変更可能な記号として扱うことである。問題は最早、自由主義的伝統にみられるような選択ではなく、むしろ選択を構築する集合的な様式をどう選択するかということになる(ある集団が、どのようなものであろうと、ある意見を生み出す必要のあるとき、最初に意見を生産する方法について意見を生産する必要があるということを知るのは重要である)」(「公職という神秘」)
「選択を構築する集合的な様式をどう選択するか」、或いは「意見を生産する方法について意見を生産する必要がある」という考えは、会派、党派、議会等を含む代表制を見直せ、というところに行き着く。
すると、そこにまで至らない集合的異議申し立ては、必ず二律背反に陥るというロジックが成立する
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登録日:2009年 04月 29日 23:58:30
異議申し立ての二律背反
代理委任というものに対する最も根源的な問いは、その社会的作動の仕組みに内在する矛盾が露呈するような状況から現れてくる。実際、代理委任にもとづく集合行為には、つねに権限が簒奪され我有化されるという脅威がつきまとう。・・・・・
・・・・・代理人を頼りにするしかない人々の側の視点に立ってみると、その人々はひとりの他者という人格を通して、強力で正統な発言、権限を与えられ権威のある発言を手に入れることができるが、それはただ、一般的な発言、公式の代理人によって生み出され差し出されたような共通意見によって、自分の声を失い、自分たち独自のものであるかもしれない表現を奪われる危険を犯しているだけかもしれない。・・・・・
・・・・・自分たちが言わなければならないことと、代弁者の権限を付与された発言によって言われることの間の不一致のために、団体からの脱退か抗議かというジレンマに立たされる。・・・こうした無力な状態を逃れられるのは、多くの場合、新しい組織を設立することによってでしかない。しかし、それ自体、正当な抗議を独占的に保持するものとして、新たな異議申し立てや、新たな異端的脱会という危険に直面することになる。これこそ、宗教改革派の教会が直面した二律背反である。
同じ運命は政治の世界におけるあらゆるセクトでも生じる。(「国家の神秘」、ピエール・ブルデュー)
ブルデューと政治的な立場はかなり異なる。しかし、政治社会学者あるいは政治哲学者としての彼の言論には、聞く耳を持つ人たちには非常に有益な知見が散りばめられているだろう。
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登録日:2009年 04月 26日 23:43:21
耐えられない軽さ
クンデラの小説ではない。
首相の「成長戦略」である。
2020年までに国内総生産(GDP)を120兆円押し上げ、400万人の雇用を創出、と報じられているが、こういう高校生にでも見破られるインチキをメディアは何故批判しないのだろうか。
GDP120兆円ということは500兆円の約24%に当たる。成る程2009年から年率2%の成長が11年間続くとすれば2020年には24%になる。しかし、誰が09年度2%の成長を信じるのだろう。大阪府でも税収がマイナス7%と予測せざるを得ない経済状況である。1年目がマイナス成長になるとすれば、2年目からは2%以上の成長を見込めないことにはGDP120兆円増は不可能だ。
生産性の低い部門の構造改革をどのように進めるのか? その戦略を描けないで財政出動したところで、成長率には殆ど寄与することはないだろう。
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登録日:2009年 04月 14日 00:57:17
- プロフィール
- 浅田 均
- http://www.asd2a.com
- 大阪府議会議員。
NHK(日本放送協会)、OECD(経済協力開発機構、在パリ)を通じ「放送と通信の融合」、「情報通信」等の研究に従事。99年からは一転、府議として「行財政改革」、「地方分権」等に取組む。
京大卒。スタンフォード大院修士修了。
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