2008年 10月
経済危機の行方
波長の合う知事が波長の合わない朝日新聞と、昨今、何故だか波長が合う。
今回の世界的な金融危機に、日本政府の間違った金融、経済政策が影響していたことを、ごく少数の例外を除いて誰も指摘しない。政治家もメディアも学者も。そういう不満を募らせていた時に、歴史学者エマニュエル・トッドの談話を朝日新聞が掲載してくれたからだ(10月30日朝刊)。
トッドによると、「世界経済を牛耳っているのは、ウルトラリベラリズム(行き過ぎた自由主義)などに基づいた常軌を逸した考え方だ。・・・この世界で資本主義が唯一の現実的な制度であるのは間違いない。ただ、資本主義にも善玉と悪玉がある。いい資本主義はうまく統制され、悪い資本主義は国家の関与がなく(あったとしても、浅田付記)無秩序だ」
この考え方は、ロバート・ライシュが「Supercapitalism(超資本主義)」と呼ぶ現実と認識を一にするものである。ライシュは超資本主義と呼ぶ状況が生まれたのは1970年代以降と分析している。それ以来「消費者および投資家としての私たちは飛躍的に成長した。しかし一方で公共の利益を追求するという市民としての私たちの力は弱くなってしまった」のである。
超資本主義を克服するためには民主主義を強化し、超資本主義の「ゲームのルール」を変える必要があるわけだが、ライシュとトッドでは処方箋が異なる。
米連邦準備制度理事会(FRB)が29日、政策金利を0・5%引き下げ、1%の超低金利にした、と報道されている。日銀はどう対応するのだろうか。
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登録日:2008年 10月 30日 23:58:19
国破れて
世界的な金融危機が地方自治体の財政運営にも影響を及ぼし始めた。金融市場から資金を集める地方債に買い手がつかず、東京都や大阪府などが相次いで発行中止に追い込まれているのだ。10月に発行できなかった地方債は総額1千億円。「買ったら損をしかねない」という投資家心理が、本来はリスクゼロとされる地方債市場も揺さぶっている(朝日新聞、10月28日)。
この記事の主語は「世界的な金融危機」である。しかし、その世界的な金融危機が日本の誤った金融政策によって生じたとしたら、回り回って国が地方の首を絞めている、ということになる。
野口悠紀雄教授によると「為替レートが自由に動けば、日本が低金利であっても、必ずしも円キャリー取引が利益を生むわけではない。円キャリー取引が大規模に発生したのは、日本政府が為替市場に介入して円高の進行を阻止したからだ」ということになる。事実、日本の外貨準備高は約1兆ドル(約100兆円)(2007年)に上る。この巨額のカネが過剰流動性の原因になり、世界の金融市場を混乱させてきたことは疑うことのできない事実である(こういう事実、また、円高による含み損が約20兆円にもなることに、先日の小池某総裁選候補は言及だにしなかった)。
政府は非常に困難な判断を迫られている。金融緩和を継続させれば今回のような金融危機を防止できない。地方にとっては地方債の買い手が付かない。しかし、金利を上げると一般的に需要が縮小してしまうし、地方債の利払いが財政の圧迫要因になる。
総選挙などしている場合ではないのだ。
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登録日:2008年 10月 29日 23:59:20
自民党破れたり
小池某という初の女性総裁候補の講演を聞く機会があった。総裁選演説を含め、これまでに4回ぐらい聞いたであろうか。いずれも、思想、信条は愚か、理念も政策も何もない雑談に類する話である。だから臆面もなく政党から政党へと渡り歩いて恥じることもないのだろう。思想は例えばフリードマンの借り物。しかも本家の思想の解説の又聞き程度だから、喋っていてもすぐに無理解の化けの皮が剥がれる。聴衆も反応に窮しただろう。この人は、何を言いたいのか。
危機感もまるでない。この金融危機、株価の暴落、円高が日本経済を直撃しているときに、「発想を変えろ」だと。発想を変えるべきは、(もし発想があるとするなら)あなたじゃないの。今、政府が市場に介入しなけりゃ日本経済はどうなるのですか。これまでの異常な円安誘導、低金利政策、量的緩和。今の円高、株価安は全てその反動ではないのですか。
こういう人を国会議員に選んでいる限り日本に未来はない。こういう人を総裁候補に祭り上げている限り自民党にも未来はない。
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登録日:2008年 10月 27日 23:28:18
- プロフィール
- 浅田 均
- http://www.asd2a.com
- 大阪府議会議員。
NHK(日本放送協会)、OECD(経済協力開発機構、在パリ)を通じ「放送と通信の融合」、「情報通信」等の研究に従事。99年からは一転、府議として「行財政改革」、「地方分権」等に取組む。
京大卒。スタンフォード大院修士修了。
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