2009年 01月

大阪発”地方分権改革”ビジョン(案)を読む

ビジョンの細部に異論はある(例えば、市町村優先の「分権」と府への「集権」は、正確には、大阪府への「分権」、そして市町村への「地域分権」或いは「域内分権」とした方が分かりやすい)が、基本的なところでは同意見である。

最大の問題点は、①国との関係を、大阪府という自治体という観点から、明確に記述していないことと(例えば、国からのあるべき税源の移譲額)、②大阪市との新たな関係づくり、の項で「大阪市は、・・・府県並みの高度な事業を独自展開」という問題意識から市との「恒常的な協議の場」の新設を決めながら、早々と水道協議について「後々の混乱を招かないためにも中途半端な合意はしたくない。年度内に最終結論を出したい」(平松市長)(産経新聞、1月29日)という発言を許していることである。

求められている広域的な発想がないなら、政令市大阪から府県並みの権限は剥奪されるべきである。或いは、逆に市域内分権が進められるべきである。
市長と知事はそれぞれの基本的な立場について認識を共有しているのだろうか。

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登録日:2009年 01月 29日 23:12:13

選択と共生

以下は朝日新聞(1月22日夕刊)
「この時期、小学校のある平日の昼間も進学塾がにぎわっている。私立中学を受験する子どもたちが、学校を休んで通っているためだ。一方、受験組が多い都市部の小学校では、6年生の教室ががらんとしている。こんな状況に、小学校の教員らは疑問を感じているが、強い指導はできないでいる。」

以前、議会で教育長にも問うたことであるが、私たちの社会を支える価値観の一つが「共生」である。この地球に、日本に、大阪に、その学区に、お互いが居合わせるのは偶然である。その与件の中で子どもたちの生活が始まる。それは受け入れざるを得ない事実であって、選択の余地はない、と思うのだがそこから、敢えて離れようとする親、子がいる。

「風邪をうつされたくないから学校は休み、塾には行く。きちんと来ている子のことを考えるとなんとも言えない気持ちになる」という教員の気持ちはよく分かる。

選択の自由は否定しない。しかし、自らの意思で共生を否定する人を、公が面倒を見る必要が何処にあるのだろうか。
かつての研究仲間がこの4月から東京大学の学長になると聞く。この人も兵庫県の有名私学の卒業生なのだが、この記事についての感想を聞きたいものである。

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登録日:2009年 01月 22日 23:52:39

Yes, we can.

四半世紀前、アメリカに留学中、学期(約3カ月)ごとに2回の試験とは別に3~5本のペーパー(論文)を提出することが進級のための必要条件だった。初期に指導教授から繰り返し受けた注意が、今、思い起こされる。

それは、「君の論文には we(私たち)という主語がしばしば使われている。もし、それが事実なら we とは君を含む誰なのか明確にする必要がある。それを明確にできないなら、主語は we ではなく I とすべきだ」という、内容そのものに関しての注意というより、文化的背景に対する指摘と解すべきものであった。
(キング牧師の歴史に残る演説も「I have a dream.」であって「We have a dream.」ではなかった)

そのアメリカで、昨今、最も注目されたのがオバマ大統領の「Yes, we can.」という表現である。「"young and old, rich and poor, Democrat and Republican, black, white, Hispanic, Asian, Native American, gay, straight, disabled and not disabled”(老いも若きも、金持ちも貧乏人も、民主党員も共和党員も、黒人も白人もヒスパニックもアジア系も、先住民も、ゲイもそうでない人も、障害者も健常者も)」
We の中身を明確にしたうえで we という主語をアメリカを統合する符号として使っている。まさしく、「Change has come to America」(変化がアメリカに訪れている)なのだ。

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登録日:2009年 01月 20日 23:49:15

橋下知事の提案

昨年の就任以来、知事は政治手法として執行部に部局横断のプロジェクトチーム(PT)を設置する等し、様々な改革に取り組んでおられる。執行に関してなら、こと細かく議会に事前の相談がなかったとしても文句のつけようがない。もちろん、執行機関をチェックすることが議会の主たる役割なのだから、「執行」に関しても議事の重要な対象ではあるが、事前、事後が問題化することは少ない。

ところが、議案の企画・立案に関しては事情が異なる。
憲法第93条は「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。」と規定しており、その議事機関としての議会には、「条例制定、改廃」、「予算」等の主要な事項に関し、当該地方公共団体の意思を決定する議決権が与えられている。(地方自治法第96条)

これまで、議事機関としての議会で議事すべき案件は「執行部」側で企画、立案されることが当然のように考えられてきたし、今なお、そう考える役人、議員が多いのではないだろうか。しかし、当然のことながら、「執行部」側で企画、立案されるとしたら「執行部」に都合の悪い案件は企画も立案もされないと考えるべきだろう。

知事もこの点に気づかれたのであろうか。これまで、企画、立案に関しても「執行部」と相談し、先ずメディアに報告されていたようであるが、昨今、議会と直接議論をしたい旨、議会側に伝えられてきた。団体意思の決定権限を有する議会に先ず議事すべき案件を相談、報告する。当然のことが漸くにして当然のことになれば、議会の存在意義は高まる。ただし、責任も重くなる。

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登録日:2009年 01月 14日 23:54:56

政治の約束

「互いに語り合う自由が実現されて初めて、語られるものとしての世界は、あらゆる側面において目に見える外的現実として、現れる。リアルな世界に生きることと、それについて語り合うことは、基本的に一つのことである。・・・出発して前例のないことを始める自由や、・・・多くの他者たちと言論において交流し世界が総体において多様であることを経験する自由は・・・過去においても現在においても決して政治の最終目的ではなく・・・政治的手段によって実現される何者かなのである。それは、むしろ、政治的事柄すべての実質であり意味なのだ。」(「政治の約束」ハンナ・アレント著)

世界が政治を通してのみ現れるものならば、言説が伝える世界は恐ろしく歪である。いや、世界が歪であるか、政治が歪であるかの何れかである。
否、政治が歪なのであろう。
語り合う自由はある。しかし、それは未だ実現されていないのだ。この国の民主主義(議会)制度においては。

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登録日:2009年 01月 05日 23:35:05

高橋洋一氏を読む

何故、評判になっているのか、自分なりに理解したい著者・著作は買って読むようにしている。「この金融政策が日本経済を救う」(光文社新書)は「さらば財務省」、「日本は財政危機ではない!」の延長で読んだが、「ええ加減にしてよ」と言いたくなるくらい酷い内容だ。こういう人が「小泉・竹中改革」の「司令塔」と言われると、開いた口が塞がらない。非常に優秀な学者が政権プレーンに参画するアメリカと違い、こういう二流の学者もどきが「司令塔」なんぞと言われるぐらいだから日本の経済政策は漂流するのだろう。(優秀な経済学者がいないというわけではないのだが)

先ず、「現在の景気後退の主犯人は、増税(定率減税の廃止)でもなく、ましてやサブプライム問題でもなく、06年の金融引き締めだった」という主張に同意する識者はいないだろう。日銀に対して何か個人的な怨恨でもあるのだろうか、と思わせるような日銀に対する敵意が繰り返し述べられるが、その一例がこういう表現になるとしたら、見当違いもいいところである。

現在、我が国で生じているのは景気後退ではなく、円安バブルの崩壊である。
実質ゼロ金利下で高橋氏が主張するように「25兆円の量的緩和」を行ってみたところで何の効果もない。
これを「国民のための正しい金融政策入門」などという触れ込みで売り出す出版社の責任は重い。こういう人に振り回されているとしたら中川秀直・元幹事長にも明日はないだろう。

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登録日:2009年 01月 04日 23:59:43

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プロフィール
浅田 均
http://www.asd2a.com
大阪府議会議員。
NHK(日本放送協会)、OECD(経済協力開発機構、在パリ)を通じ「放送と通信の融合」、「情報通信」等の研究に従事。99年からは一転、府議として「行財政改革」、「地方分権」等に取組む。
京大卒。スタンフォード大院修士修了。
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