2009年 03月

ルールと秩序

「イギリス人は原理についてはほとんど語らなかったが、原理によってはるかにしっかりと導かれてきたのにたいして、フランスでは、基本原理に関する思索そのものがどの原理にも確固たる地歩をとらせなかったというのが真相のようである。」(「法と立法と自由」、F.A.ハイエク)
ハイエクの論点に従うなら、最近の自民党府議団はイギリス系のフランス人であってフランス系のイギリス人ではなかった、と言うことができる。
「原理がいったん明示的に言明されるや否や、その正しさと妥当性に関する議論が始ま」ってしまうからである。

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登録日:2009年 03月 27日 01:04:40

メディアと政治

昨日は、WTC報道の陰に隠れてしまい、どのメディアにも取り上げられることはなかったが、議会改革を進めたい者としては期を画する条例が府議会で成立した。
「大阪府議会基本条例」と「大阪府議会定例会の回数に関する条例一部改正」である。平成17年に成立を目指したが(当時成立していたら全国初の「議会基本条例」になっていた)、他会派の理解を得られず断念した経緯がある。

議員になって最初の不思議は、議会招集の案内が府議会議長ではなく、総務部財政課から送られてくることだった。何故、議会の代表からではないのか、というのが素朴な疑問であった。(招集権が知事にしかない、という自治法の規定は今も変わっていない。) さらに、憲法で定められた議事機関とはいえ、議案も、条例も殆どがお役人から提案されてくる。それをチェックするのが議会の役割であるのは確かだが、住民意思を代表するにはそれだけでは十分ではない。議事内容は知事だけでなく議会が決めてもよいはずだ。そのために、議員も議案をまとめ、提出する能力を持たないことには、とても住民意思を代表しているとは言えない。

この事実を議会に認めてもらい、さらに議会が真の住民代表機関になるためにはどのような改革が必要なのか議論し合意するまで4年の歳月を要した。合議制の機関で合意を形成するにはこれだけ時間がかかることもあるのだ。

知事がWTCへの庁舎移転を打ち出したのが昨年の8月。それを半年後に議案として提出されたのは、偏に独任性の機関だからできたのである。しかしながら、就任一年ではガバナンスが確立されているとは言い難い。この間の事情は、いわば8倍速のビデオを、普通の速度でしか見たことのない人に見せて、内容を評価してもらおうとするようなものであり、そこに敗因の一つがあったのは確かである。

二つの議員提案条例の成立をメディアに黙殺されたことは残念なことである。しかし、これで議会は確かに変わる。変わらざるを得ない仕組みがくみこまれているからである。知事と共に議会も新たなチャレンジの時代が始まる。

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登録日:2009年 03月 25日 00:47:55

2/3ルールの矛盾

19日に開かれた総務委員会・知事質問で行った質問に関し、少なからず問い合わせがありましたので、補足して説明しておきます。当方の指摘は下記の地方自治法に関するものでした。

第四条  地方公共団体は、その事務所の位置を定め又はこれを変更しようとするときは、条例でこれを定めなければならない。
3  第一項の条例を制定し又は改廃しようとするときは、当該地方公共団体の議会において出席議員の三分の二以上の者の同意がなければならない。

議場に全議員112人がいるものとします。2/3の同意を必要とする議案について、例えば74人が同意したとしましょう。2/3は75人だから議案は否決、ということになります。本来のルールである過半数は超えているけれど、2/3という条件を満たしていないのだから議会は納得せざるを得ません。

ところが、議場外で、1/3の勢力が結託し、先に37人の意思を発表してしまったらどうなるのでしょうか。過半数を遥かに超える74人の意思が無視され、少数意見が多数意見を支配してしまうことになります。2/3は1/3より大きいはずなのに、1/3の方が支配権を持つことは、民主主義の根幹を揺るがす異常事態ではないのか、という問いかけには知事も同意されました。

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登録日:2009年 03月 21日 01:53:22

レフトテール

例えば人の身長や資産収益率は正規分布に従う。
正規分布曲線(釣鐘型)の左側をレフトテール、右側をライトテールというが、テールの裾が広くなっている場合ファットテールという。例えば株式などの価格変動の分布は、正規分布よりも裾が広い(ファット・テール)性質を持っていることが知られている

リスク管理で成功したければレフトテールを最小化することである。
つまり、異常事態が生じる確率を見極め、それに対応できるよう準備を十分することだ。
「私たちは日常生活でもレフトテールの最小化に取組んでいる。自分の車や家に保険をかけるときが典型例だ。『どのくらいのコストをかけてどこで尾を切り落とせばよいか』」(「エラリアン」)。

国土の多くが海面よりも低いオランダで、1950 年代に海水による洪水が発生し約1,800 人が死亡した。そこで、洪水を防ぐための土手を設計するための国家プロジェクトが立ち上げられた。このプロジェクトに関わったDantzig という著名な数学者の提案した統計的手法によって、海水が土手を越えるのは約1万年に1回の確率となる土手の高さを計算し実際にこのとおりの土手が建設された、という報告がある。
この際に用いられたのが極値理論と呼ばれる統計手法である。

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登録日:2009年 03月 06日 02:07:28

リスク

「正常時には起こらないけれども、異常時には極端なストレス、何らかのショックが金融市場にかかることがあります。めったにないけれども、大きなショックがかかったとき、本当に耐えられるかどうかをシミュレーションするのがストレステストです。だから、ストレステストを行うのが本来のリスク管理で、ストレステストをしっかりやらずに、VaR(Value at Risk、リスク量を判定する方法)だけを見ていてリスク管理をしているというのは、金融工学的に見て正しいあり方ではありません。
ストレステストでは、どこまでのストレスを想定するかが重要です。過去10年、20年の金融資本市場の経験における最悪の事態を想定しているか、あるいはそれ以上の大きなストレスを想定しているか。ストレステストの結果は、どういうシナリオ想定してやるかでも違ってきます。この点で、金融技術だけで決まる話ではなく、経営者の経営方針とか、経営哲学に左右されるわけです。」(池尾和人)

この池尾先生のリスク管理論は、金融工学だけでなく防災工学にも適用できるだろう。

3日付け夕刊で読売新聞が報じた河田教授のWTC移転問題に関する談話には著しいバイアスがある。移転反対を唱える議員が自己の主張を正当化するために学者を呼び、その勉強会でのコメントだからである。

池尾先生の言うように、リスク量だけを見て判断するのは正しい方法とは言えないだろう。まして、河田教授の話は一方のリスク量だけを述べたものにすぎない。
リスク量から判定しようとするなら、大手前地区の地下にある活断層のリスク量との比較がなされるべきである。「あそこは危険だが、ここは安全」というなら、まだしも理解はできる。しかし、あちらが危険だけでは、この反対派議員の単なるプロパガンダにすぎない。

現実的に、防災工学では、金融工学のようにストレステストを行うことは不可能だ。だからリスク面だけから結論を導くのは正しくない。リスク量が把握されているにも関わらず、新幹線は建設されたし、首都も移転しないのだから。

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登録日:2009年 03月 05日 01:14:01

インテリジェンス

「嘘のような真実と真実のような嘘がちりばめてあるのは、ニュースソースの秘匿のためです。インテリジェンスの獣道に分け入って書くときには、ニュースソースをいかに秘匿するかというのが筆者の腕の見せ所です。そこの手並みで、書き手がインテリジェンスのプロなのか、それとも単なるサラリーマンなのか、分かれる」(手嶋龍一)

メディアのニュースは、媒体が活字であれ映像であれ、ニュースソースの秘匿のため、「嘘のような真実も」「真実のような嘘も」ちりばめようがない。一次情報に解説を加えることと、一次情報をインテリジェンスに高めるという作業は自ずから異なる。そういう作業をしないメディアは、単なるインフォメーションの提供者にすぎないから情報源も秘匿することができなくなる。(かつての情報理論では一つの不確実性を消し去る情報を1バイトの情報と言った)

連日、府庁のブラックボックスを情報源とし、メディアを通して発信されるインフォメーションには「ノブレスオブリージュ」も「社会の木鐸意識」もない。庁内にある「知事に対するむき出しの悪意」と「サラリーマンメディア」が結託し作り出してしまう「合成の誤謬」に対しコンプライアンス委員会は機能不全のままである。鉄槌はいつ下されるのだろうか。

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登録日:2009年 03月 04日 00:51:51

ノイズ

多くの場合、正しい答えはノイズの音を下げること。つまり、「フェードする(弱める)」ことだ。ノイズを耳にしたら「一時的な異常値にすぎず、いずれ正常化する」とみなすわけだ。しかし、単なる雑音として見過ごせない場合もあり、そんなときはノイズが重要なシグナルを内包していると解釈するのが正しい。つまり、特定の市場で価格の絶対値や相対値を決定するパラメーターが意味深い変化を示している、と判断しなければならない。(エラリアン著「市場の変相」)
政治、政局も同様である。「昨日の政治」と「明日の政治」が衝突し、新旧入れ替わりが進む。重要なことは、これが必然的に荒っぽいプロセスになることを認識し、「新たな行き先を」見失わずにうまく対処することだ。

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登録日:2009年 03月 03日 02:30:25

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プロフィール
浅田 均
http://www.asd2a.com
大阪府議会議員。
NHK(日本放送協会)、OECD(経済協力開発機構、在パリ)を通じ「放送と通信の融合」、「情報通信」等の研究に従事。99年からは一転、府議として「行財政改革」、「地方分権」等に取組む。
京大卒。スタンフォード大院修士修了。
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