カテゴリー [書評]
総選挙を読み解く3(+1)冊の本④
メディア理論では「ソーシャルラーニング(social learning)」とか「カルティべーション(cultivation)」と言われる理論、つまり、テレビ映像を普通よりよく見る人たちは、社会をテレビが映し出す世界を参照基準として理解する。或いは、メディア暴力は模倣暴力を誘発する、という考え方。このメディア理論を神経生理学的に裏付けるのがミラーニューロンの発見である。ミラーニューロンとは、他人の行動や表情を自分の脳内に「写し出し」、行動の意図まで識別する神経細胞のことである(「ミラーニューロンの発見」マルコ・イアコボーニ著、ハヤカワ新書)。
俗に「風が吹く」と言われている現象。例えば前回の郵政解散時の「小泉旋風」等。
これもミラーニューロンで説明できる。
有権者は支持する候補者を見るとミラーニューロンシステムを通じて共感と一体感を呼び起されるのだが、ネガティブキャンペーン(主として中傷広告と個人攻撃)はその候補者に対する共感、一体感を傷つけてしまう。
小泉・元総理の場合は、小泉=善玉が主たる発火源であり、郵政民営化が発火源ではない。小泉・善玉に共感と一体感をもつミラーニューロンは郵政民営化反対派に「ノー」と言ったのではない。反応を示さなかったのだ。
カテゴリー[ 書評 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2009年 08月 16日 23:59:10
一望監視方式
「権力の読みかた」(萱野稔人著、青土社)の中で、著者はフーコーが問おうとした権力のあり方を「一望監視方式」(監視カメラのような装置。見られることなく見る装置を想像いただきたい)で説明している。
「一望監視装置のもとでは、監視される側の人間は自分がいつ監視されているのかわからない。だから、いつ監視されてもいいように振舞わなくてはならない。つまりそこでは、実際に監視されているかどうかにかわらず監視の効果がもたらされるのであり、その効果は監視される人間の側で自動的に再生産される」(同)。
議会は長のチェック機関というとき、法は議会に上記のような装置に象徴的に見られるような監視を想定しているのであろうか。
カテゴリー[ 書評 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 09月 30日 23:59:37
環境倫理
「資本主義とは過剰なゴミを生産するシステムである、と言えなくもない。ある社会システムが資本主義であるかどうかを判定するには、製品が、その使用価値を失う前に廃棄されているかどうかを見ればよい。資本主義は、人々に、製品がまだ十分に使用に耐える内に、その製品を捨て去り、新たな製品へと置き換えることを要求する。」(大澤真幸著「ナショナリズムの由来」)
この考え方に立つならば、社会主義崩壊の後、資本主義の対立概念は環境倫理ということになる。どれだけ環境倫理を資本主義の諸元の中に潜ませることができるかが戦略の基本になる。
等等思いを巡らせながら読書を楽しんでいた矢先に安倍総理の退陣表明とは。政治の動力は民主主義であって資本主義ではないはずなのに。
カテゴリー[ 書評 ], コメント[1], トラックバック[0]
登録日:2007年 09月 16日 23:52:59
政策創造の論点
「自治体の政策創造」(青山佾著、三省堂)を読んだ。面白くて一気呵成に。
副知事を最後に36年間東京都に奉職された著者が、都庁職員としての蓄積、新しい理論、また、海外の潮流、交流等を含む豊富な経験を基に、例えば、「容積率制度はこれでいいか」、「特別養護老人ホームはまだ足りない」、「住宅問題は解決したか」、「商店街繁栄の条件」、「図書館改革」、「教育改革の論点」等論点を整理されたうえで、都市政策論として様々な提案をされている。同様の関心を持つ人には将に「政策創造研究」の梁山泊である。
梶本・前副知事におかれても、愛犬と戯れる合間に、このような遺産を後進に残されることを期待したい。
カテゴリー[ 書評 ], コメント[1], トラックバック[0]
登録日:2007年 09月 02日 23:22:08
- プロフィール
- 浅田 均
- http://www.asd2a.com
- 大阪府議会議員。
NHK(日本放送協会)、OECD(経済協力開発機構、在パリ)を通じ「放送と通信の融合」、「情報通信」等の研究に従事。99年からは一転、府議として「行財政改革」、「地方分権」等に取組む。
京大卒。スタンフォード大院修士修了。
- 最近のエントリー
- [12/06] 成長戦略
- [12/02] 自ら首を絞める大阪府議会
- [10/30] 民主党の分権改革
- [10/07] 歪んだ公器と歪んだ公
- [10/05] 大阪維新と「One大阪」
- [09/29] ガバナンス
- [09/21] 「大阪維新」
- [09/01] ガバナンス不在の大阪市
- [07/09] 公務員改革
- [07/07] シロアリの正体
- 最近のトラックバック
- 月別アーカイブ
- 2010年 12月 [2]
- 2010年 10月 [3]
- 2010年 09月 [3]
- 2010年 07月 [2]
- 2010年 04月 [3]
- 2010年 03月 [4]
- 2009年 08月 [5]
- 2009年 07月 [5]
- 2009年 06月 [4]
- 2009年 05月 [2]
- 2009年 04月 [5]
- 2009年 03月 [7]
- 2009年 02月 [7]
- 2009年 01月 [6]
- 2008年 12月 [5]
- 2008年 11月 [3]
- 2008年 10月 [3]
- 2008年 09月 [4]
- 2008年 07月 [1]
- 2008年 04月 [5]
- 2008年 03月 [4]
- 2008年 02月 [4]
- 2007年 12月 [5]
- 2007年 11月 [4]
- 2007年 10月 [15]
- 2007年 09月 [17]
- 2007年 08月 [14]
- 2007年 07月 [23]
- 2007年 06月 [17]
- 2007年 05月 [19]
- 2007年 04月 [11]
- 2007年 03月 [22]
- 2007年 02月 [30]
- 2007年 01月 [33]
- 2006年 12月 [30]
- 2006年 11月 [25]
- 2006年 10月 [25]
- 2006年 09月 [26]
- 2006年 08月 [31]
- 2006年 07月 [13]
- 2006年 06月 [7]
- 2006年 05月 [5]
- 2006年 04月 [1]
- 検索