2006年 02月

美しくなくても芸術?

スペインの巨匠 フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス絵画展開催 - 米国

【ニューヨーク/米国 22日 AFP】21日、ニューヨーク(New York)のフリック・コレクション(Frick Collection)ではスペイン人の画家フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス(Francisco de Goya y Lucientas)(1746-1828)が描いた「Self-Portrait with Dr.Arrieta」が展示されている。
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(c)AFP/HO/The Minneapolis Institute of Arts

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この絵を見て、きれいねぇ、ステキねぇ、と思う人はいるだろうか?

思えなければ、ムリに思う必要はない。
名画の条件は、必ずしもキレイさや美しさではなかったりするものだ。
アートだの芸術だの、と聞くと『美しい』のだろうと予測してしまう。
そういうものだろう、という思い込みにすぎない。

これは、『アリエッタ医師といる自画像』というミネアポリス美術学校所蔵の作品。

■ゴヤという画家

ゴヤの絵は、いわゆるそういう『芸術ってキレイだったり美しかったり』という
既成概念を打ち崩す例として、よく美術史の授業で用いられる。

彼は18世紀スペインを、まさに代表する画家であり、宮廷画家として活躍した。
彼の作品のうちの多くは、もちろん、我々が単純に『ああ、キレイだ』と納得がいくものが多くある。代表例は『裸のマハ』であろうし、『カルロス4世の家族』などロイヤル・ファミリーの肖像画だろう。

プラド美術館を訪れると、これらの『誰の目にも全く明らかに美しい』絵画たちがあなたを出迎える。

■美しくはないが、心を捉えるゴヤの作品たち

ゴヤの作品の中で、裸のマハに次いで有名と思われる作品が、『マドリッド、1808年5月3日』だろう。一斉に銃を構えるフランス兵の前に、白いシャツを着たスペイン人の男が両腕を上にかざし大きく広げている場面。彼の下には同胞の血まみれの死体が折り重なっている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:Francisco_de_Goya_y_Lucientes_023.jpg

これは、1807年のナポレオンによるスペイン侵略以降続いた対フランス・ドイツ独立戦争をテーマに書いたものだ。ここには、決して、優雅な美しさなどない。

しかしそこには、現実をむき出しに写実的に描写する
事件を伝える『ジャーナリズム』に近い精神が、すんなりと見えてこないだろうか?

思い出して欲しい、今でこそ、我々にとってあたりまえとなった、ジャーナリズムには不可欠な『写真』という技術は当時、存在しなかったのだ。
写真が一般に利用されるまで、視覚に訴えるツールとしては主に絵画が機能していた。
もちろん、版画という、油絵よりは複製を作るのに向いた手段もあるのだが
(事実、ゴヤはたくさん版画も製作している)
油絵のカラーの魅力は強かっただろう。

■ありのままに・・・

18世紀の終わりから19世紀にかけては、美術の世界も過渡期にあった。
いい加減、豪華絢爛に為政者を美しく理想的に描くような絵にも
けばけばしい宗教画にも、疲れが見えてきた。
資本主義は広がり、絵をほしがる人という層は
何も大金持ちには限られない自体が到来しようとしていた。

画家たちも、可能性を模索する状態にあったといえる。
そんな中、ゴヤは、病床にある自分すらもむき出しで伝えようとする
リアリズムや写実的現実を伝える手段として
油絵を使う道を見出したといえるかもしれない。

どこかこの絵を見ていて、病床にあった正岡子規の文言を思い出すのは私だけだろうか。

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登録日:2006年 02月 22日 12:45:44

HIPHOPとアール・ヌーボー

<NRJミュージック・アワード>ブラック・アイド・ピーズが最優秀国際グループ賞を獲得

【カンヌ/フランス 23日 AFP】フランスの人気ラジオ局NRJが主催する音楽賞、NRJミュージック・アワード2006(2006 NRJ Music Award)がパレ・デ・フェステイバル(Palais des Festival)で21日に開催された。写真は最優秀国際グループ賞(Best International Group)を受賞した米国のポップ・グループのブラック・アイド・ピーズ(Black Eyed Peas)のメンバーたち。(c)AFP PASCAL GUYOT

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ブラックアイドピーズ(Black Eyes Peas)というのは、アメリカの人気ヒップ・ホップグループ。写真は、その紅一点である、ファーギーだ。

■現代に蘇るアール・ヌーボーの意匠

一体彼らと、19世紀末ヨーロッパのアートのムーブメントの一つが、何の関係があるのか?と問われると、彼らの最新アルバム『Monkey Business』の表紙を見て欲しい。

http://images-jp.amazon.com/images/P/B00096S3RC.01.LZZZZZZZ.jpg
残念ながら今年のグラミー受賞は逃したが、ノミネートされていたDon't Phunk with My Heartも含まれる。

何がアールヌーボーかといえば、まず、ロゴデザイン。
そして、サルを中心にあしらった、飾りがまさにミュシャに見られるような、うねるような植物文様をモチーフにした、流線形の枠組み。

■流行は巡り巡ってくる

岡本太郎の言うとおり、芸術においては、一度たりとも同じスタイルが繰り返されることはない。しかし、古いデザインを用いて、焼き直しをするということは、よくあることだ。

たとえば、ルネッサンスは古典ギリシャ・ローマの美術的スタイルの復興であったり、19世紀の新古典派もルネッサンス的美意識に立ち戻った時代だった。

身近な例を挙げれば、ファッションだって、60年代調のものが今さらまた流行したりなどする。おばあちゃん達は、自分達が娘の頃に着ていた服を、孫娘たちが喜んで着るさまを見て腰を抜かすかもしれない。

■ブラックアイドピーズの場合

ファンキーで、時代の端を行っていて、決してお行儀がいいわけでもないグループ。
それが、優雅で繊細で情緒的で職人の技の粋を尽くすことで表現された、アールヌーボーの様式を取り入れるミスマッチ感。この遊び感によって、彼らのファンキーさというか、世間を食っている感じが、うまく表現されているな、と感じたのでした。

また、アートが発展していく一つの形である、昔のものを、全く別のコンセプトで捉える手法のいい例でもある。それは、マルセル・デュシャンがモナリザに落書きをした『LHOOQ』などと同じような方向の焼き直しの手法といえるだろう。

またさらには、当時『新しい芸術』という意味でのアールヌーボーだったものが、今の時代にはすでに、もう古典の領域に入っているのだということも思い馳せるきっかけにもなるでしょう。

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登録日:2006年 02月 15日 14:34:37

ホンモノとニセモノ

サザビーズに現代芸術の名作の数々が出品される - ドイツ

【ハンブルグ/ドイツ 10日 AFP】9日、ハンブルグにあるオークションハウス・サザビーズに展示されている、ノルウェーの画家エドヴァルド・ムンク(Edvard Munch)の作品を来場者が眺める。オークションハウス・サザビーズでは、来月7日にイギリスのサザビーズで行われるオークションにこれらの作品の他、ピカソやモネの名画が出品される予定となっている。(c)AFP/Roland Magunia

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日本でバブル全盛期の頃に、西洋の絵画にバカ高い値をつけて、世界を驚かせたのも今は昔。その後のアメリカのバブルの方が、もっと絵画の単価をさらに釣り上げた。資本力の違いを見せ付けられたような気にもさせられる。

■さぁ、商売の始まりだ!
誰にでも思いつくことかもしれないが、それだけ高く売れるなら・・・という思惑から、ニセモノも市場には混じるようになるわけだ。考えてみれば、所詮カンバスという布の上(板の場合もあるが)の上に、顔料と油を混ぜたものを、いろいろと塗り重ねたものが、大変な値を付けるわけだ。人件費、というのを除けば、原価率は低い・・・・

■ニセモノの種類
ニセモノにもいろいろと種類がある。大きく、3つに分かれる。

①『ごく最近、現代時の手によって作られた、昔の作品のフリをした偽者』

一番にタチが悪いし、ある意味、実際には何の価値もないものだ。多分、皆さんが思う『贋作』 なりフェイクなり、ニセモノというもののイメージはこれだと思う。でも、これがまた、バレないで出回っている例を、非常によく聞く。買う側も

②『本物と同時代に意図的に作られたニセモノ』

これは、ホンモノとは、そもそも何ぞや、という論議にも展開される。近代まで、絵画などは徒弟制度で工房で作られているケースが多い。師匠が顔や手などの主要な部分を描いて、残りを弟子が仕上げるというような、漫画の製作と似たようなことは、別に当たり前のことだった。
なかには、弟子が全部描いて、師匠がサインだけ、というケースだってある。でも怒るには、あたらない。フランドルの巨匠ルーベンスの弟子、ヴァン・ダイクも同じ立場にあったが、二人の間に技術的な差もなければ、名声に差もない。実際に、どこまでがルーベンスなのか、わからない作品は存在する。

しかし、タチが悪いのは意図的に作られたニセモノだろう。正直な話、わからないことは多いのだ。見分ける方法は、大変にデリケートで、難しい。美術史家たちと、贋作作家の戦いがここにあるのかもしれない。

③作品自体は別にニセモノとして作られたわけでもないのに、現代の商売人たちによって、ホンモノという事で出回ってしまったもの

残念ながら、クリスティーズのようなクラスのオークションハウスでも、そういうものが出てくることがある。誰がそんなものを出すのか分からないが、確かに、ある。写真で見ただけでも、ミケランジェロではありえない作品が、ミケランジェロとして出て、ミケランジェロとして落札された例もある。
これには、某イタリアの大学の客員教授(ルネサンス前後のイタリア美術専門)とそのときの出品目録を見ながら、とんでもないことだよねとつぶやいたものです。

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登録日:2006年 02月 14日 10:17:32

モナリザの実験

モナリザの微笑には83%の幸せ、9%の嫌悪感、6%の恐怖感、2%の怒り - フランス

【パリ/フランス 28日 AFP】レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci)の名作「モナリザ(Mona Lisa)」の微笑みが、オランダ/アムステルダム大学(University of Amsterdam)が開発した「感情認識ソフト」を導入したコンピューターによって解析された。
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(c)AFP Jean

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レオナルド・ダ・ヴィンチの描いた『モナ・リザ』は、いつまでたっても人々の関心を惹きつけるんだ!と改めて思わされる記事。この絵は、『ダ・ヴィンチ・コード』の表紙絵としても、今年5月トム・ハンクス主演で全米公開される映画の方でもポスター上で大活躍中だ。
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登録日:2006年 02月 04日 19:46:30

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プロフィール
秋田麻早子
秋田麻早子
■プロフィール:
Art Historian たぶん美術史学者、ときどき考古学。
アメリカの僻地の大学・大学院では西洋美術史を専攻。
でも論文を書いたのはアケメネス朝ペルシャ。
・・・美術史という素材の調理方法の可能性を模索しすぎで
エントロピーの法則な日々。

美術史・考古学を軸に、幅広く文化史的なモノゴトとか
特に、アートや学問の世界の面白いとこをご紹介しちゃいましょう。

MA in Art History 2002, University of Texas at Austin
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