2006年 03月 03日
生きることと死ぬこと
ダミアン・ハースト 「The Death of God」 開催
【メキシコシティー/メキシコ 25日 AFP】メキシコ・シティー(Mexico City)のヒラリオ・ギャラリー(Hilario Gallery)でイギリス人アーティストのダミアン・ハースト(Damien Hirst)による展覧会、「The Death of God」が開催される。写真は、展示作品のひとつ、「In the Name of the Father」。オープニングは23日夜。(c)AFP/Alfredo ESTRELLA
ダミアン・ハーストというイギリス人の芸術家は、その見るものの「不快感を誘う」スタイルで有名になってしまった。90年代のイギリスを代表するアーティスト(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト略してYBAs)の一人だ。
■死骸はキモチワルイ?
彼の作品は、とにかくご婦人方の食欲を一時低下させるには都合がいいかもしれない。
というのも、作品の大半は動物の死骸をそのまま用いているからだ。
メキシコで今回開かれている展覧会「the Death of God(神の死)」も、やはり動物の骨や死骸をふんだんに用いて宗教的なテーマを激しく?!表現している。
写真の作品は、「アダムとイブ」の一部。楽園に住んでいた彼らがどうして骸骨?
と思われるかもしれないが、実はキリストが磔刑になったゴルゴダの丘、そこにはアダムのドクロがあるとされる。そして別の展示作品、「In the Name of the Father(父の御名のもとに」に、肋骨をむき出しに吊り下げられた羊(?)の死骸は
磔になったキリストを思わせる。
■ハーストについて
ハーストを一躍トップアーティストの座に据えた、1993年のヴェネツィア・ビエンナーレに出展され1995年にはターナー賞を受賞した"Mother and Child, Divided"。これは、縦割りにした、牛と子牛のホルマリン漬け。内臓の断面が、見ようによっては美しい気もする。
脳学者、養老孟司が指摘するとおり、現代社会は「死」 を遠ざけてきた。
人を含め、動物の死すら、日常では見かけることはない。
衛生上の問題もあるかもしれないが、それ以上に臭いものに蓋、という意識があるように思われる。
現代人の我々にとって、ハーストの作品が妙に生々しく、目を背けたくなるのも
死体に「馴れ」ていないせいなのだ。なんてことはない、生きている動物は見ても平気なのに、死んでいるから気持ち悪くなっているのだ。
考えてみれば、不思議な話。
しかしながら、死を意識しない生など、所詮キレイごとでしかない。
それを人々に再び喚起させるためか?!ハーストは動物の死体を次々と発表していく。
■生と死を巡って、人間たち
彼はまた、人間の生と死を、多少どぎついが分かりやすい方法で表現してくれている。
"A Thousand Years"という作品は、ガラスケースの中に、牛の頭と、たくさんのハエを入れたところから始まった。
蛆が湧き、蛆は牛の頭を食べて、またハエになっていく。モチロン、息絶えたハエは、そのままケースの底に溜まる。
このハエは、まさに人間に見立てられているということ。
そしてガラスケースは地球!
さて、この作品から、何を考えますか?
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登録日:2006年 03月 03日 20:44:13
- プロフィール
- 秋田麻早子
- ■プロフィール:
Art Historian たぶん美術史学者、ときどき考古学。
アメリカの僻地の大学・大学院では西洋美術史を専攻。
でも論文を書いたのはアケメネス朝ペルシャ。
・・・美術史という素材の調理方法の可能性を模索しすぎで
エントロピーの法則な日々。
美術史・考古学を軸に、幅広く文化史的なモノゴトとか
特に、アートや学問の世界の面白いとこをご紹介しちゃいましょう。
MA in Art History 2002, University of Texas at Austin
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