2006年 03月 31日
かっちり、きっちりとした絵の見方(肩が凝るかな?)
ナポリで「ティツィアーノと16世紀のイタリア宮廷肖像画」展が開催 - イタリア
【ナポリ/イタリア 28日 AFP】24日、ナポリのカポディモンテ博物館で「ティツィアーノと16世紀のイタリア宮廷肖像画」展が開幕した。今展覧会は3月24日から6月4日まで開催される予定となっている。写真は、ヤン・ステファン・カルカル(Jan Stephan Van Calcar)の肖像画(左)を眺める客。(c)AFP/MARIO LAPORTA
絶妙な位置に、観覧者が(笑)
ティツィアーノという画家は、まさに『ヴェネツィア派とはこうだ』という見本のような画家。
http://www.wga.hu/art/t/tiziano/mytholo2/danae_n.jpg
『ダナエ』の全体が見えます。
■ティツィアーノ・ヴェツェッリオ
光いっぱいの、明るい色あい。鮮やかで、華やかで、いきいきとしていて。
現代でも、日本にもファンが多く、ルネサンスの中でもダ・ヴィンチやミケランジェロよりも、絵そのものへの人気は高いかもしれません。
筆のタッチが画面に残る筆づかいなので、例えばダ・ヴィンチの煙のような静かな筆致に比べて、躍動感を感じさせます。実際、ティツィアーノの絵が沢山飾られた部屋に入ると、美術館のほかの空間よりも、ズイブンと明るい気持ちでテンションが上がるものです。
描く人物たちが、神話の登場人物であっても、妙なリアルさを感じさせます。まさに『動き出すような』描き方。
■きっちりとした絵の楽しみ方
絵を見ていて、どの画家の作品であるとか、○○派の作品であるとかを判別するときには、さまざまな要素を見分ける必要があります。
・筆致・・・どんなストロークなのか?
・色・・・画家によって、特定の色を好んで使ったりします
・テーマ・・・時代によって、地域によって好まれる画題があります
・構図・・・画家によって、派閥によって、好まれる構図があります
・線と形・・・ヴェネツィア派は色、フィレンツェ派は形、ボローニャ派は線を強く意識させます
静と動、を見分けると、と言葉で言うと、非常に曖昧な印象を与えると思います。
しかしですね、実際に絵を見ていくと、かなりはっきりと別れるのです。ティツィアーノの絵は、たとえ肖像画であっても、非常な躍動感を与えます。
同じように、ルーベンスなども非常に動きを感じさせる画風が特徴ですね。
それに対して、例えば、先ほどのダ・ヴィンチなどは、彫刻のように、まるで動かない人を描いているかのように見えます。そういう観点で絵を見てみるのも、面白いかもしれませんね。
■きっちりとした絵の楽しみ方:画題『ダナエ』
この絵のテーマは、『ダナエ』。
英雄ペルセポリスの母親に、ゼウスが黄金の雨となって降り注ぐシーンです。
ダナエの父親は、孫に殺されると予言され、ダナエを塔に監禁。ダナエを見初めた、ゼウスはなんとかして彼女と交わろうと、雨となって塔の窓から侵入してきたわけです。
非常に愛されたテーマで、世紀末ウィーン派のクリムトも、眠るダナエに長方形で表された雨がまとわりつく構図で描かれています。
この場面は、性交渉なしで妊娠してしまうことから、一部では『マリアの処女受胎』のイメージの元、とも言われています。そんな風に、複数の事柄に思いを馳せながら絵を鑑賞すると、また違った味わいが出てくるものです。
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登録日:2006年 03月 31日 23:51:23
- プロフィール
- 秋田麻早子
- ■プロフィール:
アメリカはテキサスで西洋美術史を専攻。現在、博士課程で美術史・考古学なんかを面白がるコミュニケーションを鋭意研究中。
著書に『掘れ掘れ読本』(バジリコ 2007)。笑いのとれる考古学入門書を目指したもの。
連絡先:
mana_mana_chan@hotmail.com
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