2006年 04月 06日

レンブラントと時代の空気

レンブラント展 「レンブラントの家」で開催 - オランダ

【アムステルダム/オランダ 30日 AFP】17世紀を代表するオランダの画家、レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン(Rembrandt Harmenszoon van Ri)の展覧会「Rembrandt - Search of a genius」が生誕400年を記念しレンブラントの家(Rembrandthuis)で開幕した。同展覧会では、50点もの作品を始めスケッチなどが展示され、作品における派流の変化が解説者から聴くことができる。(c)AFP/Juan Vrijdag

AFPBB News


17世紀バロック美術を代表する有名画家が3人います。ルーベンス、ベラスケス、そしてレンブラント。
レンブラントは、日本にもファンが多い画家ですね。
あまり気づきにくいかもしれませんが、レンブラントの絵だけ、少し地味だと思いませんか?
http://www.salvastyle.com/images/collect/rubens_samson00.jpg
http://art.pro.tok2.com/R/Rubens/rub12.jpg
ルーベンスの作品。

■レンブラントはオトナシイ?

画家が何色の絵の具をパレットに載せていたか、というのはある程度分かっているそうです。レンブラントなども、分かっている一人で、その復元されたパレットを見てみますと、タイヘン地味な色合いです。茶色のバリエーションのような色ばかりが「余分なものはイリマセン」とでも言いたげな風に、質実な様子で並んでいるのみ。

地味=ダメ、劣る、という意味では決してありません。むしろ、控えめさ、謙虚さ、実直さ、まじめさ、などが感じ取れる印象ではないでしょうか。もちろん、ルーベンスやベラスケスの絵に見られるような、派手で華やかできらびやかさはありませんが・・・・

この差がどうして生まれるかというと、実はキリスト教の大きな分裂がここに絡んでいるのです。

■プロテスタントとカトリック

16世紀の宗教改革以来、ヨーロッパは対立を繰り返していました。日本人から見たら、カトリックもプロテスタントも同じキリスト教に思えても、当時は敵と味方の殺しあう相手だったわけです。

そんな中、少し落ち着いてきた17世紀、カトリック美術は、その美術史上「最も派手」になりました。簡単な理由です。プロテスタントよりも目だって、派手で、立派に見せるため。そのプロパガンダの一環として、絵画は「できるだけ豪華絢爛でよろしく」という注文が下りるわけです。

逆に、プロテスタントの美術は、、神の前での敬虔で奢侈を好まない慎ましさをアピールし、大体が地味で現実的な雰囲気に仕上がっています。

■それぞれの画家は?

そういうことで・・・
ルーベンスはスペイン領(ヨーロッパ屈指のカトリック国です)ネーデルランドの宮廷画家。
ベラスケスはスペインの宮廷画家でした。
当然ながら、二人の絵はカトリックの意向と合致した「派手派手」になるわけです。

そして、レンブラントは・・
16世紀の終わり頃、ネーデルランドはスペイン領でしたが、その中のプロテスタント勢力が抵抗を始めました。1600年頃までには、北部七州(オランダ共和国)といわれるプロテスタントの勢力は、独立。1648年のウェストファリア条約で、正式にスペインも独立を承認。
そう、レンブラントはオランダ人なのです。
彼の絵が、プロテスタントの精神を反映したものだ、と思ってみてみると、同じ時代の画家の絵と比較しても、横の広がりを感じられるでしょう。

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登録日:2006年 04月 06日 16:43:13

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プロフィール
秋田麻早子
秋田麻早子
■プロフィール:
Art Historian たぶん美術史学者、ときどき考古学。
アメリカの僻地の大学・大学院では西洋美術史を専攻。
でも論文を書いたのはアケメネス朝ペルシャ。
・・・美術史という素材の調理方法の可能性を模索しすぎで
エントロピーの法則な日々。

美術史・考古学を軸に、幅広く文化史的なモノゴトとか
特に、アートや学問の世界の面白いとこをご紹介しちゃいましょう。

MA in Art History 2002, University of Texas at Austin
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