2006年 06月

戦争の道具としての絵の具

ターナーの名画 最高値の583万2千ポンドで落札 - 英国

【ロンドン/英国 6日 AFP】19世紀を代表するロマン派の風景画家、(Joseph Mallord William Turner、1775年~1851年)の傑作として名高い水彩画「Blue Rigi」が5日、有名オークションハウスのクリスティーズ(Christie’s)で競売にかけられ、200万ポンド(約4億600万円)という当初の予想を大きく上回る583万2千ポンド(約12億2600万円)で落札された。これまで競売にかけられたイギリスの絵画では過去最高の値で落札されたことになる。(c)AFP/CARL DE SOUZA

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イギリスという国は、西洋美術史の世界では、完全に「端っこ」で、メインで華々しく語られることは少ないようです。イタリア、スペイン、フランスなど、南仏の国々の美術史は鮮やかなタブローで彩られているのと対照的。

■ターナーとその評判

イギリスの画家の中でも、相当に日本で知られている画家というのが、このウィリアム・ターナー。画面を舐めてるんじゃないかとか、絵の具をぶっかけてるんじゃないか、などと揶揄されたりバカにされがち。

画風は一貫していて、風景画なんですが、霧やモヤの中で、ボンヤリした景色を、これまたボンヤリした筆致で描くというもの。その淡い色あい、情緒的でロマンチックに見えなくもないので、そういう雰囲気が好きな人にはタイヘンな人気があります。

絵の具って、いろんな色出せるんだなぁ、イギリスっていつも曇ってるのかなぁ、というのが私の素朴な感想です・・・・

■水彩画の発明

西洋で水彩という、油絵の具に比べるととても手頃感があって、手軽に絵を描ける道具
は、いつ、どういう目的で作られたのでしょう?実は、まったく色気のない理由、軍事目的で開発されました。

ドウシテ、絵の具が軍事目的?!毒でも盛るの?
って思うかもしれませんが。時代は、写真以前。例えば、敵地の様子、土地の雰囲気など、ささっと記録できたら便利ですよね?しかも、白黒でなくて、色付だったらもっと分かりやすい。

水彩絵の具は、そうやって軍事目的でさまざまな土地の「風景」を「写実的」に「短時間」で記録できる道具として開発、改良されていったのです。

■だからか、どうだか

日本では顔彩という、水彩絵の具で日本画という繊細で手間のかかる技法を使っていますが、その当初の目的のためか、西洋の水彩画は、spontaneousな、瞬間を捉えて、ぱぱっと短時間で描きました、というのが主流だし、そういうのがいわゆる、イイ作品、と考えられている伝統があるように思われます。

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登録日:2006年 06月 25日 15:31:22

異国の神はキラキラし

「ヴィサカボチャ(仏陀の日)」を祝う僧侶 - カンボジア

【カンダル/カンボジア 12日 AFP】「ヴィサカボチャ(Visakha Bochea、仏陀の日)」と呼ばれる2550回目の仏陀の誕生日を祝うお祭りが12日に開催された。毎年5月の満月の日に祝うこの日は誕生日であると共に、仏陀が悟りを開いた日で、また昇天した日でもある。写真は仏陀の日にカンダル地方のウドン山(Oudong)の周辺を行進するカンボジアの僧侶たち。(c)AFP/TANG CHHIN SOTHY

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日本人なら、誰でも、少しばかり疑問に思っていること、それは「東南アジアの仏像は派手」。

■派手な仏さま

どこの寺にいっても、あんなキラキラしたのなんて、見たことない、というのが正直な感想のはず。でも、どうやら日本の仏像でも昔、昔に作られた当時は、それなりに金ぴかだったようです。絵の具の剥げ落ちた痕なども見えますし。

日本書紀だったでしょうか、古い記録にも「異国の神はきらきらし」と、渡来の仏像が金ぴかでキラキラしていて、イイ感じだ、という記述があります。

違いがあるとしたら、それは日本だと「塗りなおさない」というところでしょうか。剥げたら、剥げっ放し。まぁ、その方が味があると感じるためかもしれません。

■どうしてだろう・・・

私のみならず、まあ、誰にとっても、どうしてだろう・・・と思うところです。
どうして、せっかくの仏様なのに、キレイに塗りなおして差し上げないのだろう・・・。専門家たちも、なんらかの説明をつけようと思うみたいですが、特に、コレ、という理由もないようです。

ただ、日本人にとっては、古びた感じや、さびれた感じに、ありがたみを感じる傾向が、あるような気がします。そして、どうも、「昨日作りました、どうぞ!」 という雰囲気の、東南アジア的な派手派手な仏像に、アリガタミを、どうしても、申し訳ないけど、感じられないような、そんなメンタリティがあるようですね。

その感覚の違いは、東京の人が、関西弁で口説かれても、からかわれているようなキモチになるのに、似ているかもしれません・・・

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登録日:2006年 06月 25日 15:06:10

それで考えられる?

クリーヴランド美術館所有のコレクションが世界美術館で展示される - 中国

【北京/中国 30日 AFP】世界美術館(World Art Museum)で26日から8月27日までアメリカのクリーヴランド美術館(Cleveland Museum of Art、CMA)が所有する19世紀後半から20世紀前半のヨーロッパの絵画や彫刻100点余りの展示会、「From Monet to Picasso: Masterworks from the Cleveland Museum of Art」が開催される。
≫続きを読む…
(c)AFP/Peter Parks

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ロダンのこの作品は、あまりにあまりに、あまりに、あまりに有名で、取り立てて、何も言うことなんてなさそうです。

■地獄の門

この作品、「地獄の門」という大作の一部なんですね。地獄の門の、ちょうど上の方の真ん中に位置しています。

こんなポーズで考えている人は、実際にはあまりいませんし、試してみても、考え事には向かないポーズとして知られています。でも、考えている感、は普通に考えている姿(大抵は、なんてことない格好で考えているものです)よりも出ているのではないでしょうか?
同じようにロダンには「歩く人」という作品がありますが、これもまた、普通に歩いていたら絶対にそんなポーズにはなりえない、というポーズです。でも、「歩いてる感」 は、まともに歩いているポーズよりも、出ているのです。

■ブロンズという素材

美術史の勉強をし始めた、ごくごく最初の頃の、私の素朴な疑問が・・・
「先生、このブロンズ、ロダンが実際に触ってるんですかね?」でした。
ブロンズという作品は、まず粘土とかで元々の作品を作って、ロスト・イン・ワックスという、古代ギリシャの天才たちが思いついた技法で、量産可能になるのです。一定の作品数を作ったら、鋳型は壊すみたいです。

で、この「考える人」 に関しては、どうなんでしょう?ロダンはどこまで関わっているんですか?と聞いてみたわけ。まだ10代だったから、そういう質問も平気でできました。
先生の答えは・・・・「タブン、それは職人に任せてて、今、東京の美術館においてある作品には、ロダンは、ちらっと触ったりしたかもしれない程度だと思う」 ということでした!

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登録日:2006年 06月 25日 15:04:26

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プロフィール
秋田麻早子
秋田麻早子
■プロフィール:
Art Historian たぶん美術史学者、ときどき考古学。
アメリカの僻地の大学・大学院では西洋美術史を専攻。
でも論文を書いたのはアケメネス朝ペルシャ。
・・・美術史という素材の調理方法の可能性を模索しすぎで
エントロピーの法則な日々。

美術史・考古学を軸に、幅広く文化史的なモノゴトとか
特に、アートや学問の世界の面白いとこをご紹介しちゃいましょう。

MA in Art History 2002, University of Texas at Austin
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