2006年 07月 09日
見ている私を、見ている誰かの視線
【成都/中国 24日 AFP】23日、成都美術大学(Chengdu Academy of Fine Arts)が学生らの日ごろの制作活動の成果を披露するため、展示会を開催した。訪れた人々は一つ一つの作品の前に立ち止まり、熱心に鑑賞していた。(c)AFP/LIU Jin
写真奥の絵の中で、女性が自分の目を手で覆いながら、隙間からこちらを覗いている。
女というのは好奇心の生き物なので、きゃぁーって言いながら、ちゃんと見ている。
■カメラマンの視点
この写真を見たら、当然ながら、目がいくのは手前の女性の下半身。
成都とえいば、ズイブン内陸だし、四川省の方。
海岸沿いの中国の女性は、すっかり世界標準にファッションのトレンドを追う洋服に身を包んでいるけれど、この女性もしっかり「現代風」なのが分かる。
ジーンズのロールアップの部分には、今年流行のレースがあしらわれている。靴だって、黄緑は珍しい。でもデザインは今っぽい、ベーシックの次の次くらいに購入を考えるタイプの靴でしょう?
しかも、とってもスタイルがいい。そりゃ、撮リタクナリマスヨネ!
■シェークスピアに見られる、入れ子式の構図
少し話をズラして。シェークスピアの作品で「真夏の夜の夢」というのがあります。
妖精の王国と人間の二組のカップルのドタバタ劇。
この戯曲の中には、劇中劇があるのですが、この効果について、英文学の授業なんかでは、こう教えます。
「劇中の人物が、入れ子式に劇を見ている」そして、「『真夏の夜の夢』という劇を見ている自分たちがいる。」そこから、派生して「見る人は、自分達も、劇中劇の人物のように、あるいは劇の中の人物のように『見られる側』かもしれない、と思い至る」という説明。
そして、シェークスピア劇の観客である我々を見る視点とはどこにあるのか?
それが神の視点であり、劇中劇の効果は、神の視線に思いを至らせるという意図も読み取れる・・・と。
これに賛成するかどうかは別の話。
■back to この問題の写真
絵を見ている彼女、それを映すカメラマン、その写真を眺める私たち。
逆に、絵の中の女性は、それを見るジーンズの女性、カメラマン、私たちを見つめ返す。
カメラマンが意識したのかどうか、結果として、合わせ鏡のようなエフェクトが生まれているというお話でした!
では、あなたも、誰かに見つめられているのかも?
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登録日:2006年 07月 09日 12:07:40
エロかったらダメ?
アメデオ・モディリアーニの展示会がロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで開催 - 英国
【ロンドン/英国 7日 AFP】年間100万人以上が訪れるロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(Royal Academy of Arts)で7月8日から10月15日までイタリア人彫刻家で画家のアメデオ・モディリアーニ(Amedeo Modigliani、1884~1920年)の作品展示会、「Modigliani and His Models」が開催される。
≫続きを読む…
(c)AFP/SHAUN CURRY
モディリアーニの裸婦画といえば、日本でも、どこぞの公立の美術館において、猥褻であるから教育上よくない、とか、いや、芸術であるからして猥褻ではない、というムダな議論が取り交わされる事件が、20年近く前にありました。
■猥褻か?
現代のポルノグラフィに慣れてしまった私たちの目には、ソフトな表現にしか映らないのは当然。もしかしたら、モザイクなしに慣れた目には、かえって新鮮かもしれませんね。
しかし、描かれた当時、実際、猥褻だから、と問題になったのは事実。
では、猥褻なものは、芸術ではないのでしょうか?
トンでもない!
皆が認めるところの、いわゆる古典芸術。
ミロのヴィーナスに代表される紀元前4世紀から紀元2世紀頃のヘレニズム美術。
現代の私たちが見ても、十分にエロティックで、かつモザイクなしの表現の宝庫です。
しかもリアリズムを追っているので、生々しさもあります。
■猥褻と判断するのは誰?
でも、猥褻かどうかという判断は、人それぞれ趣味嗜好があります。フェティシズムの世界では、凡人の及ばない物事に性的興奮を覚える人が多々いるのです。もしかしたら、裸婦画より額縁に興奮する人だっているかもしれません。
教育ママさんたちは
芸術=猥褻、という方程式は、成り立たないとでも思っていたのでしょうか?
そもそも、モディリアーニの裸婦画程度のエロティシズムの表現ですら彼らが猥褻だといっていたら、現実をコドモたちから隠蔽することで、かえって偏った情報で、若者を暴走させる結果につながったのでは・・・と思うのは、思う程度に留めておきましょう。
■セクシーな画家とセクシーな絵画
モディリアーニは、ピカソなども一応入っている「パリ派」という雑多な美術のムーブメントの一人とされている。特に決まった画風があるのではなく、国際的で、個性とバラエティ豊かなアーティストがそれぞれに活躍。
1920年代の自由な空気の中、パリに集まってきた、沢山の外国人アーティストの一人。日本人ならレオナール藤田、ロシアのシャガールなどもそう。絵画だけでなく、舞台芸術、ファッション、さまざまに広がった時代です。
パリが美術の中心になり始めた頃の時代の空気。
モディリアーニが死んだとき、恋人ジャンヌ19歳は彼の子供を身ごもったまま飛び降り自殺。彼女も将来が期待される画家でした。
どうしようもなくイイ男を知ってしまったら、そうそう、また会えるもんじゃない。世をはかなむのも、ムリからぬことでは?
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登録日:2006年 07月 09日 11:50:40
- プロフィール
- 秋田麻早子
- ■プロフィール:
Art Historian たぶん美術史学者、ときどき考古学。
アメリカの僻地の大学・大学院では西洋美術史を専攻。
でも論文を書いたのはアケメネス朝ペルシャ。
・・・美術史という素材の調理方法の可能性を模索しすぎで
エントロピーの法則な日々。
美術史・考古学を軸に、幅広く文化史的なモノゴトとか
特に、アートや学問の世界の面白いとこをご紹介しちゃいましょう。
MA in Art History 2002, University of Texas at Austin
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