2006年 07月 24日
モノクロームは白黒じゃない
Fundacion Pedro Barrie de la Mazaでベラルド・コレクション展開催 - スペイン
【コルーニャ/スペイン 7日 AFP】Fundacion Pedro Barrie de la Mazaで6月29日から11月26日までポルトガルのシントラ近代美術館(Sintra Museum of Modern Art)所蔵のベラルド・コレクション(Berardo Collection)の展示会が行われる。写真は6日に撮影されたマドリード出身のアーティスト、フアン・ムニョス(Juan Munoz)の彫刻「After Degas II」。(c)AFP/Miguel Riopa
美術の勉強をしていたときには、単純な用語の勉強もします。
例えば、色調に対して、一般的にトーン(tone)という単語を使いますが、これはマチガイと注意されました。この単語は音楽用の言葉で、美術で色調の話をするときはvalueという単語を使います。
同じように、モノクローム。この単語、白黒をあらわす場合に使われますが、マチガイ。白黒は実は、色がなく、光の強弱でしかありません。モノ、は「一つ」クロームとは「色」という意味なので、単色の濃淡のことをモノクロームというのですね。
■モノクロームな作品
そこで、イブ・クライン。
どうしてだか、私は詳しく知りませんよ、だけど、何故だか彼の作品はブルー一色。
まさにブルーのモノクローム。
彼のこの青は、インターナショナル・クライン・ブルー(IKB)という、一般に顔料として売られることにもなった、独自のブルーを使っています。
■実は、私の地元にも一体あった。
この作品S41、日本にもあります。一体は岡山の大原美術館。私も小さい頃から、何度となく目撃しておりますが、このブルー、確かに、独特の色です。
青みが強いというか、蛍光感を感じる青さです。
一般に「青いヴィーナス」と呼ばれるこの作品ですが、ミロのヴィーナスと説明されていることがありますが、おそらく、クニドスのヴィーナスの方だと思います。
ミロのヴィーナスは大腿部が布で隠れていますし、肩から折れてる腕が逆です。
えぇっと・・・画像はknidos venusで、検索してください・・・
■記号から記号の要素を奪う
彼は有名な「サモトラケのニケ」もこのブルーで塗ってしまっているのですが
こうなると、もう、ヴィーナスもニケも、彼のブルーのキャンバスに過ぎません。
この青を見せるための、台としてのヴィーナス。
クニドスのヴィーナスというのは、美術界ではミロ出土のものと並んでタイヘン有名な作品。アイコン的存在。古代ヘレニズム美術の象徴としての彫刻が持つ、記号的、シンボリックな意味が、青で塗りこめることで、中和されてしまう効果があります。
いかに、どんなシンボルでもアイコンでも、ちょっとしたことで、その意味合いが違ってしまう、そういう事を言葉よりも雄弁に表現できるのが、ビジュアルアートの力かもしれませんね。
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登録日:2006年 07月 24日 21:52:58
- プロフィール
- 秋田麻早子
- ■プロフィール:
Art Historian たぶん美術史学者、ときどき考古学。
アメリカの僻地の大学・大学院では西洋美術史を専攻。
でも論文を書いたのはアケメネス朝ペルシャ。
・・・美術史という素材の調理方法の可能性を模索しすぎで
エントロピーの法則な日々。
美術史・考古学を軸に、幅広く文化史的なモノゴトとか
特に、アートや学問の世界の面白いとこをご紹介しちゃいましょう。
MA in Art History 2002, University of Texas at Austin
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