2006年 09月 30日

荒らされた博物館は今?

バグダッドで「未来をともに築く」美術展開幕 - イラク

【バグダッド/イラク 25日 AFP】イラク文化省関係の芸術機関はバグダッドで24日から、「未来を築くために共に」と銘打った美術展を開幕した。写真はバグダッドの美術展会場。(c)AFP/SABAH ARAR

AFPBB News


サダム・フセイン政権が打ち倒されたとき、バグダードの国立博物館の警備はすっかりおろそかにされていた。とにかく、人類のイチバン古い文明の遺物の数々が収められているの!!国宝級がたくさん・・・・

コレクションの17万点が盗まれました。あっという間です。

■略奪したのは誰?

まぁ、そういうときって、人命とか、もろもろが優先されるのかな・・・
アメリカ軍がまったく警備しなかったからだ、とか、いろいろ言われています。

残念なことに、略奪するのはイラク人たちなんですね。一般的に、盗掘なんかも、ほとんどが現地の人によってです。自分たちの遺産の価値が分かっているけれど、明日の生活の糧のほうが大事なことだってあるのです。そういう地域では、発掘品を同等の金額で買い取るなど、実際的な手段を取らないと、文化遺産を守ることは難しいようです。事実、文化遺産をそのままで守ろう!なんて意識が生まれたのは、戦後、先進国のみです。それまで、先進国はさんざん発展途上国で「乱掘」「破壊」を繰り返していたのも事実です。

核問題と同じ図式です。「やったもん勝ち」「やめよう、といい始めたもん勝ち」

■盗品はどうやって処分?

数千もの作品が、実際、戻ってきてはいるんです。

ワルカのヴィーナスという有名なアラバスター製の女性頭部像は、返却するしない、という交渉が決裂したと思ったら、民家の庭に埋められていたとか。ホンモノと入れ替わってたりして?!と思ったりもしますが、これくらい世界中で綿密に研究されたものの場合、写真などの資料も多いし、高い技術の偽物を作るのは難しいと思います。同質の石、形、技術、まぁ難しいでしょう。

どうしてこのように戻ってくるケースがあるかというと、転売しようとしても、イラク博物館クラスのものだと記録があるので盗品だと一発でわかるからです。売れなければ仕方ありません。ホンモノを返品する前に、型くらい取ってるかもしれませんけどね。

日本でも、オリエント学会というのにはいっているのですが
盗品が日本国内にまわってきたのを発見したら報告しないといけない
など、他国の文化財に関する法律のコピーがおくられてきました。

実際、イラク博物館の収蔵品のいくつかが、アメリカ合衆国の税関で摘発されました。
国外に持ち出せば、高額で売買できる品々ですからね。


■利用される過去

”考古学は地域に勇気を与える”という言葉があります。

自分たちの文化に誇りを持って、元気が出るからです。
でも、それを守っていくには、まず政治的な安定が最初にないと駄目なんですね。

そして、考古学は政治に利用されることが多くあります。歴史も、政治に「利用」されます。過去を捏造すれば、今の権利の正当性も主張可能だからです。

また、過去というのは、解釈次第なところがあります。だからこそ、歴史を学ぶときは、受身になってしまわず、その解釈は妥当か?!根拠は何か?!矛盾はないか?!理論に走りすぎてないか?!思い込みや期待で目がゆがんでいないか?!という議論が活発に出来るのが望ましいのです。

論理的で、根拠があって、一般的に納得しうるもので、絶対だの100%などと主張しないものが、信じるに足る歴史解釈でしょう。

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登録日:2006年 09月 30日 10:32:11

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プロフィール
秋田麻早子
■プロフィール:
アメリカはテキサスで西洋美術史を専攻。現在、博士課程で美術史・考古学なんかを面白がるコミュニケーションを鋭意研究中。
著書に『掘れ掘れ読本』(バジリコ 2007)。笑いのとれる考古学入門書を目指したもの。
連絡先:
mana_mana_chan@hotmail.com
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