2006年 10月
Amor Carnalis
【ポンペイ/イタリア 28日 AFP】ナポリ近郊にある古代都市、ポンペイ遺跡で当時最も人気があったとされている風俗店跡、ルパナーレ(Lupanare)がイタリア文化省によって新たに修復された。壁面には官能的なフレスコ画が描かれ、この絵によって客にサービスを選択させていたとされる。(c)AFP/MARIO LAPORTA
■古代ローマの
ポンペイというのは、ローマのフラビニアヌス朝の頃
ヴェスビオス火山の爆発で埋まった町です。
ちょうど時代としては、コロシアムが作られた、紀元1世紀頃ですね。
ここには、写真のように、町になくてはならない、風俗街がありました。
もろもろの(といっても限定されますが)サービスを壁に描いた絵で表していたようです。
いくつかヴァリエーションがあるようなので、ほかの写真もごらんになってください。
どれがお好みですか?
・・・これ以上、これには踏み込まないでおきましょう。
■愛のいろいろ
性的に魅力的なことを、エロティックなどといいますが
この語源は、ギリシャ語のエロス、愛を表しています。
キリスト教で愛、というとアガペという単語が使われますが
違いは、肉体的な愛か精神的な愛か、と後の時代に区別されるようになりました。
でも、きっと、区別する必要なんて、ないはずですけどね・・・
エロスというのはギリシャ語で、それに相当するラテン語(古代イタリアで使われていた言葉)ではアモールといいます。
そして、肉欲のことを、難しい難しい用語では
アモール・カルナリスというのです。
肉の愛・・・という意味ですね。
まさに、それが具現された場所であるわけです。
ちょっと、これを紹介したかったから、無理やり何か書いてみました。
でも、あんまり踏み込みたくはなかったんです(笑)
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登録日:2006年 10月 30日 20:22:07
花の都と巨人
【寧波/中国 23日 AFP】ミケランジェロ(Michelangelo)のダビデ像の複製が、フィレンツェから浙江省寧波(Ningpo)に寄贈され、21日に除幕式が行なわれた。この複製は5メートル以上にもなる巨大な青銅像で、当日は多くの見物人が一目見ようと集まった。ダビデ像は1500年から1504年の間に制作されたもので、ルネッサンス期の最高傑作と評され、ピエタ(Pieta)と並びミケランジェロの2大彫刻の一つとされる。今年はイタリアの「中国友好年」であり、フィレンツェの姉妹都市である寧波市に友好の証としてこの像が贈呈された。写真は21日、一般に公開されたダビデ像。(c)AFP
ダヴィデ像の姿は、誰でも美術の教科書だけでなく、イタリアの観光案内、それ以外にもあちこちで見かけたことがあるでしょう。
でも、ダヴィデって誰?
■聖書の登場人物、ダヴィデ
旧約聖書(『列王記』『サムエル記』)に登場する、古代イスラエルの王様です。
紀元前1000年頃に実在したことになっています。
あぁ、でもダヴィデがこのように彫刻で表現されるのは、王のときではなく、若い頃の姿なんです。この彫刻は、ちょうど敵のゴリアテをやっつける場面なんですよ。
でも、どういう戦いだったのか?ダヴィデが若い頃、イスラエルの王はサウルでした。サウルはどうも、心を病んでいたようなんです。そして、人気者のダヴィデを妬みはじめました。ちょうどその頃ぺリシテ人というのがイスラエルを悩ますグループで、ダヴィデを片付けるのにちょうどいいので「お前、ぺリシテ人をやっつけてこい」と言いつけるのですが、思いのほかダヴィデが強く、敵をどんどんやっつけて、元気に戻ってきた、その上、余計に皆の人気者になった。
結局、精神をおかされたサウルからダヴィデを守ったのは、サウルの息子ヨナタンでした。サウルはぺリシテ人との戦いで死に、ダヴィデが王となったわけ。その息子がソロモン王ですが、その後イスラエル王国はボロボロになります。
■ミケランジェロのダヴィデ像
とにかく有名なのは、このルネッサンスの巨匠、ミケランジェロ作のダヴィデ。
花の都フィレンツェにあります。
どうしてフィレンツェにダヴィデ像なんでしょう?
15世紀当時のフィレンツェは共和国で、大国ミラノにいつも脅かされていました。若いダヴィデが大きなぺリシテ人のゴリアテを倒す、という物語が、フィレンツェ人に自己投影させたんですね。ミケランジェロ以外にも、ドナッテロのダヴィデなどもフィレンツェ大聖堂を飾っていました。
このように、美術のモチーフが時代を通じて、好まれて使われることがあるのですね。
はてさて、今回の場合は、ダヴィデそのものはあまり関係なく、「フィレンツェの偉大な芸術家ミケランジェロの有名な作品」という観点の方に力点があるようですが。
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登録日:2006年 10月 26日 23:27:38
青いモノクローム
【パリ/フランス 9日 AFP】様々なミュージアムやギャラリー、イベントスペースが夜通し開放され、アートやDJのパフォーマンスなどが行われるイベント「Nuit Blanche(眠れぬ夜)」が7日開催された。
≫続きを読む…
(c)AFP/JOEL SAGET
以前、青いヴィーナスで紹介したクラインのイベントがパリで行われていたようです。
本文にもたしかに、モノクローム、という単語が使われていますね。
モノクロームという単語は、白黒ではなく、”色”のある単色での表現のことを指すのだ
ということの復習がてら、インターナショナル・クライン・ブルーというキレイな青を
堪能してください。
ちなみに、白黒というのは、理論上では光の濃淡であって、色味はないんですね。
実際の黒って赤っぽかったり青っぽかったりしますけどね。
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登録日:2006年 10月 18日 21:40:13
21世紀のポップ
村上隆率いるアート集団「カイカイキキ」、リヨンで展示会開催 - フランス
【リヨン/フランス 24日 AFP】現代美術家の村上隆(Takashi Murakami)率いるアーティスト集団「カイカイキキ(Kaikai Kiki)」による展示会が23日、リヨン現代美術館で開催された。同展は12月31日まで開催される。写真は村上隆。(c)AFP PHILIPPE MERLE
先ほどの記事と、この村上隆の作品と、並べて見て面白がってください♪
時代の空気、社会が求めるもの、世の中の流れ、人の欲望
どこへ行くのか、何を求めているのか
そんな、とりとめもない空気、印象、雰囲気、それがアートには現れている。
そういうのを感じ取ってみていくと、アートを楽しむ面白さが
少し増えると思います。
今や、日本の文化を代表するのは、カブキでも能でもなんでもなく
究極の2Dアート、アニメチックなアートのスタイルなんでしょうね。
日本では当たり前になった、2Dのヴァーチャル・ワールドが
世界では、まだまだ新しい。
日本人は、本当に手先を使った、平面的な創造というのが上手です。
ポテトチップスのフレーバーの種類にも、同じ創造性が出ています。
編曲の妙というか、ひとつの旋律をいくつもいくつもバリエーションする
モーツァルトの「きらきら星変奏曲」並みのアレンジ能力。
ただ、そこに深遠な思想はなく、ただただアレンジ能力のセンスが抜群。
それが日本人の作るものの、思想的な平面さにある魅力だと思う。
同じようなポップさを、Bathing ApeのデザイナーNIGOにも感じますよね。
ちなみに、村上さんは、東京芸大の日本画出身だったと思います。
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登録日:2006年 10月 10日 18:53:29
複製とレプリカと模造品
アンディ・ウォーホルの宗教的な作品を特集した展覧会 開催 - イタリア
【ローマ/イタリア 6日 AFP】ローマのブラマンテの回廊(Cloister of Bramante)で29日、米国のポップ芸術家アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)の展覧会、「Repent and sin no more!」が開催された。同展覧会は宗教的なニュアンスをもったウォホールの作品80点を通して、彼の芸術と宗教や死との繋がりを探る。写真はウォホールの作品「Details of Renaissance Paintings」を眺める来場者。(c)AFP/ANDREAS SOLARO
アンディ・ウォーホルといえば、キャンベル・スープ缶!
あの、アメリカにいたら、コンビ二でも、スーパーでも
どこでも売ってる、あのスープの缶詰。
しかも、大して美味しいわけでもない、あの赤い缶。
あれをわざわざ、版画で描いて、それをアートっていうことで
発表して、一躍有名に。
■ポップ・アートの悪ふざけ
1960年代のアメリカはポップ・アートという、おちゃめな芸術が爆発。
例えば、ローゼンバーグだったかな、は超巨大(本当に巨大)な釘、だとか、巨大なハサミ(だったと思う)とか、どうでもいい日用品を、とにかく超巨大化させたり、また、全部粘土で作ったマックの商品とか。リキテンスタインは、アメコミ漫画のワンシーンをただやたらに拡大したような絵を、わざわざ版画で描いた。
ほんと、悪ふざけしてるみたい。
みんな、アートって絵がうまいだとか、技術が高いとか、そんな風に思ってるでしょ?
ノンノン、実はアメリカ人にとっては・・・・というか西洋人にとっては・・・
表現されているコンセプトの斬新さ!
こそが、何よりも大事なの。まず、コンセプトありき。
それを支える技術は、コンセプトに従属する。
■ウォーホルたちのコンセプトって、何なんでしょう?
ウォーホルたち、ポップアートの芸術家たちの面白さは
「今までなら、アートのテーマじゃないもの」を取り上げて
それが芸術!ということで発表されると
全然違う文脈だから、違うものに見えてくるという不思議さ。
ほら、好き、って言うのもどのシチュエーションで言うかで
伝わる意味が違うでしょ?
放課後の誰もいない教室で言うのと
酔った勢いで路地裏で言うのと
同じ言葉でも、文脈が違うと、意味も目的も結果も変わってしまう。
毎日食べてるキャンベル缶が、版画になって、額縁におさまる。
ギャラリーに飾られる。
オカンが派手なヘアメイクして、写真とったのを写真館で見たら
何か別なような、怖いような、気持ち悪いような、違和感を感じると思う。
ほら、そゆ、違和感の妙。
■複製技術を生んだ時代
考えてもみて。
昔の人って、コピー機なかった。
もっと昔は印刷技術もなかった!本なんて、いちいち手で書き写してたんだよ!
版画というのは、比較的古くからある複製技術。
今でこそ、リトグラフや銅版画は高値だけど、もともとはオリジナルに比べると
破格に安いし、複製品なわけ。
19世紀の終わり頃なんて、演劇の宣伝用ポスターだって、今じゃ高価なリトグラフが使われていた。
ね。
20世紀(それに先立つ19世紀後半)は産業が発達して、画一化された工業製品が出回りはじめた。マス・プロダクション、という大量生産の時代の始まりだった。印刷技術もすすむ、複製品はそこらじゅうに。同じものが、同じように、どんどん生産される。
複製、というのが、意識されないまま、何度も何度も繰り返されていく。
イメージが、写真が、あちこちで、そのまま、何度も複製されていく。
コピーをとる瞬間、ほぼ同じものの複製が生まれる。
そんな時代。そんな大量生産、大量消費万歳!の時代のピークが60年代だったわけ。
そんな時代だよ!と誰よりも早く、アーティストたちは、その時代がはらむ矛盾点も含めて考え直したり、見つめなおしたり、面白がったり、そういう材料を提供する人になった。
■今の時代
今の時代、村上隆が人気なのも、おそらく、そういうアニメっぽい絵だとか、そういうものが時代の中でウケている。それをルイ・ヴィトンが悪ふざけのように面白がる。パンダがついた財布に人が大金を払う、そういう不思議さを含めて楽しむと、絵柄そのものが好きじゃなくても、現象として分析して、楽しみ、味わうことができるでしょう。
(注)前回の、イラクの博物館に関する記事ですが、このことは、もっと他にも、沢山沢山の問題が絡んでいます。シーア派とスンニ派、クルド人問題、外国の介入、あらゆる問題が絡んでいるので、単にイラク人がまるで考えもなしに、金のために貴重な品を盗んでいる、という風には解釈しないでくださいね。これは、タリバンなどの問題も同じで、西洋人に対する、本当に最終兵器としての当て付けだったりもするんです。
何より、西洋人たちが、19世紀にどれほど、各国の遺産を破壊し、略奪したか、という恐ろしい過去を思い出せば、この地域の人たちだけが非文明人だったり文化度が低いなどと断罪されることもないでしょう。思い出しましょう、ギリシャのアクロポリスを砲撃で大破壊したのは、天下のヴェネツィア人なのです(笑)
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登録日:2006年 10月 10日 18:32:56
- プロフィール
- 秋田麻早子
- ■プロフィール:
アメリカはテキサスで西洋美術史を専攻。現在、博士課程で美術史・考古学なんかを面白がるコミュニケーションを鋭意研究中。
著書に『掘れ掘れ読本』(バジリコ 2007)。笑いのとれる考古学入門書を目指したもの。
連絡先:
mana_mana_chan@hotmail.com
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- [06/14] 月と六ペンスとゴーギャン
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