2007年 01月
【スライドショー:アメリカは現代のローマ帝国?!】
古代の雄姿を再現、パルテノン神殿修復プロジェクト進む - ギリシャ
【アテネ/ギリシャ 28日 AFP】アテネのアクロポリス(Acropolis)の丘では28日、パルテノン(Parthenon)神殿入口の門、プロピレア(Propylaia)の屋根を修復するプログラムの一部として、イオニア式の柱頭(Ionic capital)を設置する作業が行われた。復元部位は大理石で、今回修復されたのは計6本のうちの1本。古代の実物どおりに、かつてないほど忠実に再現されている。写真は、復元された部位を柱に据える作業員。(c)AFP/Aris Messinis
スライドショー アメリカの暗号~現代のローマ帝国~
ちょっと大げさなタイトルですけど、AFP通信の記事の中で、下の記事に書いた建造物の写真を集めてスライドショーにしてみました。
登録している人しか見られないのが残念・・・(たしか、登録はタダです)写真にコメントをつけてますので、良かったら見てください。
~建築用語について~
ちなみに、この写真はギリシャのパルテノン神殿。記事の説明にはイオニア式のことが書かれていますが、写真に写っているのは、リンカーン記念館の柱に用いられているドーリス式です。
イオニア式というのは、柱のてっぺんが、くるっとなっているもので、ドーリス式よりちょっと後の時代の様式です。さらに、コリント式という、わさっと柱の上部に葉っぱ(アカンサス)が付いたデザインは、ローマ時代以降のはやり。
様式について
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登録日:2007年 01月 22日 14:29:56
今つくられている歴史~現代のローマ帝国としてのアメリカ合衆国~
大統領の1ドル流通硬貨、シリーズ最初はワシントン初代大統領 - 米国
【ワシントンD.C./米国 21日 AFP】スミソニアン(Smithsonian)の国立肖像画美術館(National Portrait Gallery)で20日、大統領の1ドル硬貨シリーズが公開された。シリーズ最初の硬貨には、ジョージ・ワシントン(George Washington)初代大統領の肖像が刻印される。発行は2007年2月15日から。写真はワシントン大統領の肖像が刻印された硬貨。(c)AFP
『ダ・ヴィンチ・コード』を読んでいて、思わずクスっと笑ってしまったのが、うろ覚えだけど、以下のくだり。「アメリカの戦闘機には五芒星(ペンタゴン)を描いていたりするけど、この形はもともと、古代メソポタミアの愛の女神イシュタルのシンボルなんだ。ずいぶんと違った意味で使われているね」と美術史学者という主人公のセリフ。
イシュタルは確かに愛の(しかも売春を含む)女神だが、そして金星をあらわすことから様々な星型で象徴されるが、イシュタルが絵として描かれる時は彼女のもう一つの重要な顔である「戦闘の女神」としての姿がほとんど!まったくもって、イシュタルに因んでいるなら、尚更に適切な五芒星の使用法だと私には思えたわけです・・・(他にも、イシュタル絡みの細かいことはあります、物語の筋には関係ないんですけどね。重箱の隅を突ついたというわけ。)
こんな風に、イシュタルの星に限らず、アメリカ合衆国というのは、古くからあるいろんな歴史的に意味がある「シンボル」を意図的に上手に取り入れています。そんなシンボルたちが歴史の浅い国に、威厳や権力の正当性のイメージを与えるのに一役買っているというわけ・・・知ってると知らないとでは、アメリカの戦略がズイブン違って見えてくるハズ?!
■“シーザーになれた男”初代大統領ジョージ・ワシントン
皆さん、大統領が2期までしか勤められないって、知ってますよね?
もう、次にブッシュが大統領になることはないんです、安心してください。実はこのルールを作ったのが、初代大統領のワシントン。う~ん、これってアメリカ独自の新しい発明なのかっていうと、ノン。
「ワシントンはアメリカのキンキナトゥス(Cincinnatus)と呼ばれます。」アメリカ史のクラスで教えられました。キンキナトゥス(英語ではシンシナティと発音)は古代ローマの伝説的な将軍で、独裁官に任命され将軍として華々しい戦果をあげますが、後にその地位をキチンと返上します。
有名なジュリアス・シーザーは独裁官に任命されて、そのまま居座ったために、元老院の人たちにメッタ刺しにされて殺されたという史実を踏まえると・・・
独立戦争でアメリカ建国の立役者であり、彼が権力の座に居座ったところで、誰も文句は言えないのです。その上でワシントンは、シーザーの道は選ばず、キンキナトゥスのように3期目には大統領職を辞して「大統領は2期まで」というルールを作って、アメリカ合衆国を独裁から守ったわけです。現在の米軍となる軍隊の幹部たちが「Society of Cincinnatus」という会を作りますが、これが現在のアメリカの町シンシナティ(Cincinnaty)の元となったというオハナシ。
歴史に学んだ行いだね、という美談では終わりません。
■そのワシントンの記念碑は・・・帝国のシンボルだったりする・・・
ワシントン・モニュメント
その年、私と友人は大学院でローマ帝政時代の皇帝廟に関するセミナーにいて、短い論文を一つづつ書いた後でした。ワシントンDCに旅行しよう!と彼女が提案したので、行くことにしたのです。
DCの観光スポットといえば、ホワイト・ハウス、ワシントン・モニュメント、そして建築学部の友人が「アメリカで最も美しい建築」と呼ぶジェファーソン・メモリアルなどです。
ローマのインペリアル・アート(帝政下での美術)に関する知識がまだ新鮮だった私たちの目には、それらがすべて「ローマのモノマネそのもの!」であり、あまりに直接的な模倣でありながら、威厳たっぷり、ばっちりで、アメリカ合衆国の偉大さをアピールするのに非常に“効果的”だと痛感しました。
写真の後ろにニョキっと立っているのがソレ。この建物、ただの塔に見えますか?
これ、エジプトのオベリスクにそっくりなんです・・・
それがどうした?と思うかもしれません。シーザー亡き後、養子のアウグストゥスはエジプトに勝利して「ローマを共和制から帝政」に変えました。そして自分が皇帝となったのです。その決定的なエジプト勝利のシンボルとして持ち帰ったのが「オベリスク」だったのです(ローマの大事な日時計の針の役割を果たしました)。皇帝になったアウグストゥスも一応は「第一の市民」なんて体のイイ言葉で濁しているところが、皮肉です。
(参考)ローマのオベリスク
そのオベリスクの形が象徴的に、アメリカで意図的に使われていますね。アメリカ帝国樹立のシンボルとしてでしょう。作られたのは、19世紀になってからです。
■そして、皇帝は神になり、建国の祖も神になる
皇帝アウグストゥスは、第一の市民だったはずですが、死後、神になったと宣言されます。
おかしな話ですけど。
アメリカの大統領も、人間のはずです。それが、オカシナことになっています。
先ほど、アメリカで一番美しい建物としてジェファソン・メモリアルをあげました。
よく知らなければ、ギリシャっぽいと思う人もいるかもしれませんが、このようにドームと列柱を組み合わせた建築なんて、ギリシャにはありません。こんなデザインはローマ時代の発明です。
ジェファソンはワシントンの片腕であり、独立宣言の起草者であり、第3代大統領。彼を祀ったこの建物、同じくアウグストゥス時代に立てられた神殿とそっくりな形です( パンテオン)。そう、こういう建築はローマ時代「神様を祭る」に立てられたのです。そんな神様のための建物の“形”を、大統領の記念館に使う・・・建国の祖を祭り上げることで、自分たちの国の価値を高める、そういう効果が生まれますね。
実際、このジェファソン・メモリアルの中の中央には大きなジェファソンの像が聳え立っています、それはもう、神様の像のように。
■「古き良きギリシャ・ローマ文化を受け継ぐもの」と見せたい意図がある
南北戦争の英雄リンカーンの記念館が、さっきのオベリスクみたいなワシントン・モニュメントの真正面にあります。とってもギリシャの神殿そっくりです。柱の様式も、かなり古いドーリア式というギリシャ時代のみに使われたシンプルな様式。
リンカーン記念堂
ちなみにドーリス式の建物は、当初、ワシントン・モニュメントの前にも作られる予定でした。確実に「神」的にしようとしていたんですね。
アメリカの大学で勉強していると、アメリカ史や政治学のクラスは必修。そんな頃、ふと目にしたのが政治学の教科書に載っているSenateという単語。ローマ史の「元老院」をあらわす単語なので、アレぇ?なんで元老院が関係してるんだろう?と思ったら、アメリカの「上院」のコトだった!別にたいした事でもないんだけど、あぁ、ローマっぽい用語を使ってるんだぁって思ったものでした(ちなみに、下院はHouse of Representatives)。そういえば、アメリカの鷲のマークだって、アレ、ローマ皇帝のシンボルですね。
さてさて、こういうシンボルのモトをたどっていくのを、図像学っていうのですが、アメリカの場合こういうことだったんだ!と思ったかもしれません。ダ・ヴィンチ・コードだけじゃないんです。これらの「アメリカがローマの真似を意図的にしてるっ!」というポイントの数々は、こうしてアメリカという歴史のない国に、威厳とか立派なイメージをプラスするのに、一役買っているんですね。
カテゴリー[ 歴史・考古学 ], コメント[2], トラックバック[0]
登録日:2007年 01月 20日 00:10:21
- プロフィール
- 秋田麻早子
- ■プロフィール:
Art Historian たぶん美術史学者、ときどき考古学。
アメリカの僻地の大学・大学院では西洋美術史を専攻。
でも論文を書いたのはアケメネス朝ペルシャ。
・・・美術史という素材の調理方法の可能性を模索しすぎで
エントロピーの法則な日々。
美術史・考古学を軸に、幅広く文化史的なモノゴトとか
特に、アートや学問の世界の面白いとこをご紹介しちゃいましょう。
MA in Art History 2002, University of Texas at Austin
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