2007年 03月 26日
映画というプロパガンダ・ツール
映画「スリーハンドレッド」 祖先の描写に怒りを抱くイラン人 - イラン
【テヘラン/イラン 14日 AFP】ギリシャ軍とペルシア軍の残忍な戦争をテーマにし、米国で大ヒットを飛ばす映画「スリーハンドレット(300)」が、血に飢えた野蛮人として祖先を描かれたイランの人々の怒りを買っている。
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(c)AFP/ Aris
イランにとって、分が悪いのは、とにかく、イラン側の歴史的な資料がほとんどないこと。
■片方の言い分だけで判断できないよ
この「300」という映画のテーマである、テルモピレーの戦いにしても、結局のところ「ギリシャ側」の史料がほとんどなわけです。イラン人というのは、あまり記録を残さない人たちみたい。
紀元前5世紀頃の、ギリシャとイランの戦争である、ペルシャ戦争に関してはヘロドトスが有名で、他にもクセノフォンとかあるんですが、そりゃ偏見も多いし、また聞きだったりで、あまり正確ではない部分も多いんですね。それでも、物語として面白いから、うダメなペルシャ人のイメージはネタとして受け継がれています。
■イランがペルシャって知ってた?
そもそも、アケメネス朝ペルシャ、ササン朝ペルシャが、今でいうイランなんだってことをどれだけの人が知ってるんでしょう?しかも、アケメネス朝ペルシャなんて、イランで興ったけど、最盛期はエジプト、トルコ、イラク、中央アジア、という広大な領土を有していたわけです。しかも、政治は結構よかったみたいで、政権もわりと長くもっている。
アケメネス朝の都ペルセポリスから出土した城砦文書の解読がすすんで、いろんな事が分かってきていますが、ギリシャ側の記録がわりといい加減だし怪しいということも分かってきてます。
ペルシャ戦争は最後にはペルシャが撤退する。これ、これねぇ・・・解釈はいろいろあると思うけど、基本的にペルシャにとってギリシャって、別にどうでもいいわけ。小アジアでギリシャ人が暴れるのは困るけど、別に本国に関しては、そこまで興味ないんですね。当時、もっと大事なバビロンで反乱が起きていて、そっちに専念するほうが、ペルシャにとっては危急だから、アッサリとギリシャからは撤退した、というのが大方の意見。ギリシャ側の記録だと、弱虫で逃げ出した、みたいな書き方だけど・・・
■知らないうちに影響を受ける恐怖
何が怖いって、映画だとか、そういうエンターテイメントの形をとると、楽しんでいるうちに、情報を刷り込まれてしまうこと。気づかないうちに操作されてしまうということ。明らかに、意図的に作られた映画だと思います。本当に。ハリウッドパワー、おそるべし。
ちょっと楽しみだから、見たい☆
カテゴリー[ 歴史・考古学 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 03月 26日 18:59:08
- プロフィール
- 秋田麻早子
- ■プロフィール:
Art Historian たぶん美術史学者、ときどき考古学。
アメリカの僻地の大学・大学院では西洋美術史を専攻。
でも論文を書いたのはアケメネス朝ペルシャ。
・・・美術史という素材の調理方法の可能性を模索しすぎで
エントロピーの法則な日々。
美術史・考古学を軸に、幅広く文化史的なモノゴトとか
特に、アートや学問の世界の面白いとこをご紹介しちゃいましょう。
MA in Art History 2002, University of Texas at Austin
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