2007年 05月 18日
王妃の運命
「3000歳の王妃」めぐり、ドイツとエジプトが対立 - エジプト
【カイロ/エジプト 15日 AFP】エジプト政府は15日、ベルリン国立博物館が所有する古代エジプト王妃ネフェルティティ(Nefertiti)の胸像について、展覧会のための一時貸し出しが認められなかった場合、エジプトは今後ドイツで開催される展覧会への出品協力を行わないと警告した。
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(c)AFP/DDP/OLIVER LANG
ネフェルティティのこの胸像は、エジプトの彫刻の中では比較的珍しいタイプの表現です。というのも、これが作られた時代というのは、一時的ではありますが急激な宗教改革や首都移転などがあったため、美術の表現も独特の個性が生まれたからなんですね。
世界史を取っていた人なら、アマルナ様式、というのを聞いたことがあるかもしれません。エジプト美術の中では、ちょっと女性的でエレガントで丸みを帯びた浮き彫り彫刻なんかが知られています。
時代で言うと、ちょうど有名なツタンカーメン王の直前の代。
■ドイツのものか?
王妃について詳しく話す前に・・・
皆さん「ドイツってひどい」って思うかもしれません。なんとなく、私もそんな気がします。発掘が行われた当時、今のような文化財に関する取り決めはあっても、あまり実行力がありませんでした。いわゆるモラルがない時代のこと。その後、いろんな国際ルールが決まりましたが、それ以前の話です。
一体、どれくらいネフェルティティの像が、長旅に耐えられないほど、ヤバイ状態なのか。
それは、私にはわかりません。
もし、本当に脆い状態であれば、保存を優先するべきかもしれません。
ただし、エジプトがさまざまな返還要求運動を始めているということを考えて、何かの駆け引きがあるやもしれません。
ちなみに、アメリカなどは1974年(72年だったかも)以前に取得した外国の文化財に関しては、一切返還しないという態度です。キリがないから、というのも主な理由かもしれません。
■美術品・考古学遺品というのは「観光資源」
単純に、これを文化の高尚な問題で片付けたら大きな間違い。
大英博物館が一大観光スポットであること、これを考えると、何か遺物がある、ということは、それだけ観光客を惹きつける材料があるということです。民族の誇りや文化のアイデンティティだけでなく、純粋に商業価値の意味だって、ちゃんとあるんです。
■そしてネフェルティティ
ネフェルティティはアケナテン王の王妃で、長らく一夫一婦制。浮き彫りなどでも、ラブラブっぷりが描かれています。娘を何人かもうけましたが、ナゼだか晩年のアケナテン王は、嫁ネフェルティティを退けて、実の娘アンケセパーテンと結婚します。
実の娘!
古代エジプトでは、ない、という話ではないですが、それにしても、ちょっとヘンはヘン。
娘に奪われちゃった美人の王妃。どんな気持ちでスゴしたのやら・・・
彼女はアケナテン死後、ツタンカーメン王の時代まで生きています。そして、このツタンカーメンの嫁が、さっきの父親と結婚させられちゃったアンケセパーテン(アンケセナーメン)なんです。
きっと、こんな複雑な時代を生きた王妃だから、3000年後のこんな争いだって「それくらい、たいしたことない」って言いそうだなぁと思いました。
カテゴリー[ 歴史・考古学 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 05月 18日 21:53:27
- プロフィール
- 秋田麻早子
- ■プロフィール:
アメリカはテキサスで西洋美術史を専攻。現在、博士課程で美術史・考古学なんかを面白がるコミュニケーションを鋭意研究中。
著書に『掘れ掘れ読本』(バジリコ 2007)。笑いのとれる考古学入門書を目指したもの。
連絡先:
mana_mana_chan@hotmail.com
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