2008年 11月 21日
北方ルネサンス美術専攻の彼女
オバマ次期米大統領で、ホワイトハウスのファッションにも「変革」の波?
【11月20日 AFP】「変革」というスローガンを掲げ、次期米大統領に当選したバラク・オバマ(Barack Obama)氏。
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(c)AFP/Sebastian Smith
オバマ圧勝!すごい、想像してなかった。
アメリカが、黒人大統領を受け入れるって、本当に想像できなかった。
私がアメリカを離れてから、ずいぶん経ちます。
だから、あの頃から、かなり変わったのかもしれない
変わったところと、変わらないところと、きっとどちらもあると思う。
実感はないまま、私は日本からこの風景を眺めながら思い出すのが
大学院時代のクラスメイトだった黒人女性のことです。
■『9割8分が白人』という場所。
「あなたが居なかったら、どうだったろうと想像するとゾッとする」
大学院に入って一年近くが過ぎた頃のこと
同じアジア系の留学生の友達Sが言った。
その年の西洋美術史学科修士課程の新入生は、約20人。
私と彼女以外は、全員白人、ブロンド中心、しかも明らかに良家の子女。
私こそ、良かったと思う。
だって西洋美術史を専攻するって
もうすでに、相当に、西洋美術とか西洋文明にたいして
ただならぬ興味を抱いて、就職も考えずに進学できるような
そういうご身分の『アメリカ人』たちに囲まれている、ってこと。
ほかの学部では想像つかない・・・一種、特殊な空間なのだもの。
実際、特殊なグループだったらしい、と後になってほかの進歩的国際派アメリカ人の友人達から正直な意見を聞いた。
彼女と私はすぐに意気投合して
最初の学期は一緒のクラスを2つとった。
その一つ(ローマ皇帝の陵墓の象徴的意味についてというクラス)に
これから問題にする、アフリカ系アメリカ人の(ケンタッキー出身)女性がいた。
彼女は某アイヴィーリーグの名門大学で修士号を取得した博士課程の学生で
専攻は北方ルネサンス美術(!)。
私たちと同じ時期に、うちの大学に入り、最初の学期に同じクラスをとったわけ。
珍しい!
黒人の学生さん!
ほかの学部では沢山見かける。
だけど、学部生のときからこの大学に居た私、しかも美術専攻。
だけど、ダンスや音楽の学部にはいるけど、美術の学部で見かけることは・・・
まずない。アジア系だって少ない。9割以上が白人だった。
私も友人も最初の学期ということで踏ん張りを見せ
楽しく論文を書き上げ、楽しくクラスで発表!
(私のテーマは東ローマ副皇帝のガレリウス、その後紛失)。
そのアフリカ系の彼女は、とてもあの名門で修士を取ったとは思えないような
なんだかよく分からない発表だった・・・どうも腑に落ちない・・・どうしたんだろう?!何が?!
私たちは見事にAを頂き、1人だけBだった、彼女だ。
だけど、ここに差別なんか何もない。
明らかに、彼女の発表は、どうもダメだったし
そりゃあもう、何を調べたんだ?!というようなもので
Bというのは目一杯のおめこぼしの結果ともいえた・・・Fでも仕方ない。
担当の教授はまばゆいばかりの若きブロンド美女、パリ育ち、イギリス人。
だけど本当にどう考えても、クラスの中で差別的なことも何も起きなかった。
そりゃそうだ、ローマ皇帝の中にはアフリカ出身者もいた(黒人というわけではないけど)。
先生はヘレニズム時代を愛するようなコスモポリタンで、区別こそすれ
差別はしない。
事実、その後、先生の留守中の家の番をアジア人の友人が頼まれたことがあるほど。
彼女は黒人かもしれないけど、パーフェクトに英語はネイティブ。
私たちは外国人で黄色人種な上、英語だって訛りがある。
差別されるなら、私たちだってされたはずだ。
だから、確かに授業の中で人種的にアンフェアがあったわけじゃない。
彼女の成績が悪かったのは、純粋に「勉強不足」のため。
「あの大学で修士をとった人が、アレ?!変だよ、何かあったんだ」
私たちには、どうも最初の学期から彼女が落ち着きなく、苦しそうに見えてた。
冒頭の私のアジア系の友人Sが情報を仕入れてきた。
「彼女、大学を辞めたみたい・・・体調がよくなかったとか・・・だけどね
彼女、とっても孤独だったと思う。私には麻早子がいたからいいけど」
やっぱりね、テキサスだからか、なんだか、西洋美術史だからかなんだか
クラスが一緒でも、一緒に過ごすグループってあるでしょ?
そりゃ、ブロンドビューティたちは、それでつるむし、グループがあるわけ。
私にはSっていうバディがいたから、退屈もしないし、寂しくもなかった。
だけど、あの黒人の女性は・・・あの学科では唯一の黒人で
とてもじゃないけど、一緒にプライベートを過ごしたり勉強したり
っていう仲間が出来なかったと思う。しかも、最近まで北部にいたわけ。
私がアメリカを離れてから、もう7年が経った(あっと言う間!)ので
当時と今で事情がどれほど変わったのか実感がない。
しかも、私がいた「西洋美術史学科」という、いかにも西洋至上主義的
白人の巣窟のような学科では、状況も工学部だとか経営学部とは
ずいぶん違ったはずなので、当時の実感だって当時の世間の平均値とは
きっと相当にズレてたはずだ。
ちなみに、私の学生時代というのは、現大統領のブッシュがテキサス州知事だった頃の
まさにその、テキサスで、知事官舎?!なるものも、毎日眺めての登校。
まさか、あんな不人気で大統領に二選して、こんなことになるなんて・・・
ほかの学部と比べて、間違いなく華やかな化粧とファッションであるのは、私にだって分かった。
だって、もう1人のアジア人の友達だって、その国の最高学府の教授であり、
クーデターが起きたときには首相候補にもあがったような祖父に持つ学者一家の
お嬢様。
そう、西洋美術史は、どうやら・・・お嬢様が専攻するもんで
私なんぞのフツーな家庭のガラッパチな女子がやるもんじゃない。
事実苦労してる。
しかし、あの、グロリアだったかな、あの黒人女性があの学部での居場所を見つけることは
難しかっただろうなぁと思う。
そんな中、黒人大統領の誕生。
あの頃にくらべて、アメリカはそんなに変わったんだろうか。
しかもアメリカは州ごとに別の国みたいに違うことも事実だし。
グロリアはどんな思いで見ていて、今、どんなところで、何をしてるんだろう?
そう思ってしまう。
ちなみに、私の親友Sはそろそろ博士論文を書き上げて
アメリカで一級の美術史学者としての一歩を踏み出そうとしています。
最近私の実家まで遊びに来てくれて家族にも紹介したりしましたが
そんな友人と机を並べられた幸せを思い出すと・・・・ラッキーすぎて、両親に感謝!
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登録日:2008年 11月 21日 23:00:34
すごくヴィンテージなワインの話
【11月20日 AFP】毎年11月の第3木曜日にあたる20日、ご当地フランス中東部のボージュ(Beaujeu)でも、今年初めての新酒「ボジョレー・ヌーボー(Beaujolais Nouveau)」の解禁が祝われた。(c)AFP
■偉い人も泥酔
最近、システィナ礼拝堂の修復を撮影したTBSの方の手記を読んでいました。
(青木昭さん著、図版も多くてすごく読みやすい楽しい本ですー!)
ミケランジェロが描く天井画の一つに、いわゆる箱舟で大洪水から逃げ延びられたノアが
ワインを飲んでベロンベロンに酔っ払って素っ裸で寝ちゃった場面があるんですね。
そんなノアを見て「オヤジ、素っ裸で酔っ払ってる」とほかの兄弟に言っちゃう息子(ハム)と、それを聞いて、父親の裸体を見ないように(普通見たくないよ)そっと洋服をかけてあげた孝行息子。ノアは自分の裸を見たハムとその子孫を呪うというストーリー・・・・
あぁ、神様が唯一助けた人間の男でさえも泥酔、醜態。
しかも自分で素っ裸になっておいて、それを見て告げ口したわが子を呪う。
人間って・・・因果だな。
■最古のワイン?
今のところ、考古学的に分かっている最古のワインというのは(私が知っている限りです)
紀元前6000年頃(新石器時代なんですよ)のグルジア地方のものだそうです。
シュラベリス・ゴラというところで出たワイン壷(5リットル入るらしい)の中からワインに含まれる成分が検出されたそうです。ビンの口には粘土で蓋をしていて酸化を防いだのみならず・・・漆科の植物の樹脂も検出されたそうです。
(だそうです、の繰り返しですみません)
この樹脂、いわゆる添加物。ローマやギリシャでも松脂などを入れたワインがありますが、これの起源ではなかろうか?と言われています。
そういえば、ギリシャ時代にはワインを水で薄めて飲みます。「ワインを薄めずに飲むなんて野蛮」という表現もよく出てきますが、そのままでは樹脂の味が強くて飲めたものじゃないんだ!と某ソムリエさんに聞いたことがありますが、そういう事らしいです。
■古代ローマの人も、やっぱり酒については語りたがる。
今でも酒場では、酒ウンチクが満ちておりますが、古代でもそうだったんでしょうか?
ローマ時代紀元1世紀にプリニウスによって書かれた「博物誌」という立派な百科事典があります。
アリの駆除の仕方から、イチジクの木につく虫の話まで、何でも書いてあるスゴイ本です。
この中の樹木の項目の中でも「果樹」で葡萄、しかもワインについては非常に沢山の記述があるんです!ワイン好き、必読の書?!
私は焼酎派ですが、それでも多いに楽しめます。
木の種類、作り方、味の調整の仕方、保存法etc. 女性はワインを飲むのを赦させていなかったみたいで、飲んだ女性が夫に棍棒で殴り殺されたとか、そんな酒の事件簿や、どの皇帝がどこ産のワインが好きだったとか、そういうエピソードもあったり。
作り方については
・近くで絞首刑があった葡萄でワインを作ってはいけない
とか
・雷でうたれた木の葡萄からワインを作ってはいけない
などという宗教的な禁忌ことの説明も。
ほかにも、当時のペトリュスとかロマネ・コンティにあたるんでしょうか「名声を得たワイン」みたいなのもあってトラキア地方のマロネイアブドウのワインだとか、ホメロスも誉めるプラムニオス酒などなどがそれです。
紀元前121年は葡萄が全品種当たり年で、200年経った今でも残っているのがあるけど
飲んでもざらざらして苦いだけ・・・水で割っても飲めないから、もっと新しいワインに混ぜてそれっぽく風味を足すのに使うといいってプリニウス書いてます。
すごい、面白い。
値段についても記述がありますが、当時の貨幣価値なんかと並べてみると面白いかも。
最後には「人間の精神を急変させ狂気を生じさせるようなものに、人間の生命はなんと多大の努力、なんと多くの労力と費用を費やしていることか」「大多数の人たちは生きるに値するものがほかに何も理解できないほどに、これは魅力的なのである」
という言葉とともに、酒にまつわる人々の失敗談を羅列して〆てます(笑)
あぁ、これから飲酒シーズンが始まります。
気をつけないと・・・?!
*古代のワインについては
西アジア考古学会の葡萄の考古学、というので小泉先生が丁寧に解説してくださっていますし
マクガヴァンという人がAncient wine(2003)という本を出しているので、とても詳しく知りたい方は是非!
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登録日:2008年 11月 21日 21:27:58
- プロフィール
- 秋田麻早子
- ■プロフィール:
アメリカはテキサスで西洋美術史を専攻。現在、博士課程で美術史・考古学なんかを面白がるコミュニケーションを鋭意研究中。
著書に『掘れ掘れ読本』(バジリコ 2007)。笑いのとれる考古学入門書を目指したもの。
連絡先:
mana_mana_chan@hotmail.com
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