ロスコの絵を解読
マーク・ロスコの抽象画、史上最高額の7280万ドルで落札 - 米国
【ニューヨーク 16日 AFP】競売大手サザビーズ(Sotheby’s)で行われたオークションで15日、米抽象画家マーク・ロスコ(Mark Rothko)による作品が現代アートにおけるオークションとしては史上最高額の7280万ドル(約87億円)の値をつけて落札した。
≫続きを読む…
(c)AFP/TIMOTHY A
あーもー、こんな、絵の具で色塗っただけのキャンバスが何十億かよ???
チョットマッテネ、今説明シヨウ!
■裸の王様?
そういう発想、大事だと思うんですね。
『ほほぉ、うつくしい』とかってウカツに口にしちゃうと、裸の王様じゃないのか?って疑われそう。
私も、ちょっぴりそういう気分があります。
何の前置きもなく・・・21世紀の私たちが『スゴイ!』と思えたら、それはちょっと不思議。
でもね、同時代の人でセンスのいい人なら『あ!!』って思うかもしれない。
何が違うかというと、やっぱりアートも、媒体(メディア)であって
その時代のアーティストのメッセージを載せた乗り物でもあるから。
同時代の人なら、同じ空気、時代の文脈の中で、この絵を見ることができるでしょう。
でも、この時代について、この頃のアメリカについて、何も知らないでは
スゴイんだかなんだか・・・コレが?っていうのが自然なリアクションだと思います。
だからアートなんて、面倒なんだ!って思う人いても、仕方ないかも。
■高い技術=偉大な芸術という図式は普遍的ではない
たとえば、ミケランジェロやダ・ヴィンチのような画家なら
人間離れした高い技術で、時代を超えて『スゴイじゃん!』といえる部分が多い。
でも、20世紀の美術の中には・・・そうじゃなくて
『新しさ』を背負って出てきたことで『スゴイ!』
まさに、コロンブスの卵的なその発想を、アートという表現で見せたことが
評価される、そういう芸術の形が生まれたんです。
だからね、文脈というか、作られた背景を知らないと、なかなか評価も理解もできないものも
沢山あるんです。
読み解く面白さ?みたいな感じ。
■50年代という時代の空気
アメリカの50年代アーティストとしては、絵の具を垂らしたり、ぶちまけているジャクソン・ポロックと並んで、有名な画家なんです。
どんな時代かというと・・・
51年にはサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』が発表され、カラーTVがアメリカには登場しました。
54年には、あの『指輪物語』が発表され、59年にハワイが50番目の州に。
黒人の民権運動が盛んだったのもこの時代。
そんな時代。
アンディ・ウォーホルとかロイ・リキテンスタインなどのポップ・アートは60年代なので、その一時代前ですね。
そういう時代の、こういう画風は『Abstract Expressionist』っていわれてました。
いわゆる、派手な抽象画。
■所詮、絵画は"布と絵の具の作ったイリュージョン"
絵がちょっと上手い人なら、透視法とか、ちょっとしたコツとか技術を駆使したら
結構かなり、写実的な絵を描くことができる。特に、先達が技術を磨きあげて
しかも理論化してくれてるから。
相当に絵画の技法も発達した。
写真のような絵も描ける。
だけど、実際のところ、布と絵の具なんだよね?
ホンモノのように見える絵も、何もかも、全部、布や絵の具なんだ!
というフィジカルな物理的な現実に、引き戻した、これがポロックとか、ロスコとか、フランシスだったりしたの。
あぁ、そういえば、キャンバスって布よね。
考えたら、絵の具よねぇ。
■西洋人の価値感と日本人の価値感
みたいな、そういう発想の逆戻しみたいな。
その良い例として、彼のキャンバスの使い方。
キャンバスって、ジェッソとか下地を塗るんですね、そうじゃないと絵の具がにじむから。
だけど、ポロックとかロスコは、布に直に絵の具を乗せちゃうトライをやってたみたいです。
今までの油絵とか、アクリル画とかと、全然違うテクスチャーになるでしょう?
そういう実験的な面白さ、というのを『西洋人』は大変評価するんです、技術と同じくらいに。
日本人にとっては、技術が高くないんなら、やったモン勝ち、というのに評価をしたがらない傾向があるかもしれないですけどね。
ロスコの場合は、それだけじゃなくて、デザイン的に
色のバランスとか構図とかに面白さがある、っていう見方もできますね。
カテゴリー[ アート ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 05月 26日 01:24:45
コメントを追加
Trackback
この記事に対するトラックバックURL:
- プロフィール
- 秋田麻早子
- ■プロフィール:
Art Historian たぶん美術史学者、ときどき考古学。
アメリカの僻地の大学・大学院では西洋美術史を専攻。
でも論文を書いたのはアケメネス朝ペルシャ。
・・・美術史という素材の調理方法の可能性を模索しすぎで
エントロピーの法則な日々。
美術史・考古学を軸に、幅広く文化史的なモノゴトとか
特に、アートや学問の世界の面白いとこをご紹介しちゃいましょう。
MA in Art History 2002, University of Texas at Austin
- 最近のエントリー
- [01/20] はだかまつり②
- [01/20] はだかまつり
- [11/29] うん、たぶん
- [10/04] 月のウサギ
- [10/01] 肌の色
- [09/28] ナンノタメニ
- [09/24] 一億総手先器用国ニッポン
- [09/15] ブツゾウをめぐる韓国と日本のチガイについての論考?!
- [08/31] トルコ風呂
- [08/24] 死んだら上に行くのか、下に行くのか
- カテゴリー
- 歴史・考古学 [15]
- カルチャー [10]
- アート [24]
- 月別アーカイブ
- 2008年 01月 [2]
- 2007年 11月 [1]
- 2007年 10月 [2]
- 2007年 09月 [3]
- 2007年 08月 [5]
- 2007年 07月 [4]
- 2007年 06月 [4]
- 2007年 05月 [4]
- 2007年 04月 [3]
- 2007年 03月 [4]
- 2007年 02月 [4]
- 2007年 01月 [2]
- 2006年 12月 [5]
- 2006年 11月 [4]
- 2006年 10月 [5]
- 2006年 09月 [4]
- 2006年 08月 [4]
- 2006年 07月 [6]
- 2006年 06月 [3]
- 2006年 05月 [4]
- 2006年 04月 [4]
- 2006年 03月 [5]
- 2006年 02月 [4]
- 検索