美術史ってなんだ?

【動画】捜査担当者が語る「発見」 ピカソ作品盗難

【8月9日 AFP】パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)の作品をピカソの孫娘の自宅から盗み出し、7日に逮捕された3人組は、作品を市場の価格よりはるかに低い額で売却しようとしていたことがわかった。仏警察当局が8日に発表した。捜査チームは7日朝、パリの高級住宅地16区で、3人組が買い手と取引を進めるべく準備しているところを逮捕したという。買い手もまた窃盗犯であるという。(c)AFP

AFPBB News


有名すぎる作品を狙うのは、絶対に素人の犯行といわれます。そして、大抵の場合、ちゃんと「ルート」をもっている人たちに狙われて、怖い目に遭うというハナシ。

ル・モンド紙のアート関連のジャーナリストさんたちが、この手の事件の裏ハナシをまとめている本なんかもあるんですよ。

とゆことで、今回は美術史って何?っていうのを少し。

■美術史のおシゴト

美術史って、キレイで美しいものを扱うジャンルと思われてしまうかもしれないけど、それは「美」って単語にひきずられてるかも。むしろ、歴史学が文献などの文字資料を中心に歴史を解釈するのに対して、美術史は物質文化全体を扱って歴史・社会を解釈する、と思ったほうが正確。

もちろん、扱う時代によっても、やっていることはかなり違ったりするんですけどね。

■事件にたとえると・・・

私は歴史に関するガクモンを、事件の推理だと考えたら面白いと思うんです。
(9月に出る予定の拙著にもこのことを詳しく書いてます☆)

そう、歴史って、過去に対する、解釈・推理なんです。客観的に動かない事実、というわけではないんですね。

たとえば、考古学とか民俗学なんかのフィールドワーク、現場作業はいわば事件の「現場検証」。歴史学、文献学なんかの文字資料に頼る研究は「目撃者証言」を検証するようなもの。

そして・・・現場検証で集めた物的証拠を鑑識に回すのが「科学分析」だったり。

■美術史の職分は?

美術史はこの鑑識の一部みたいなもんです。

たとえば、犯人の遺留品のTシャツがあったとする。どういうデザインで、どういう層に人気のブランドで、とか、そういう調査をしたりするのが美術史家の役目。

出てきた土器のデザインだとか、クオリティとか、同時代のほかの土器との比較をしたりとか。それで分かることと、証言とを照らし合わせたりして、総合的に解釈をしていくんです。

また、美術史がやっていることは、現代でいうマーケティングリサーチなんかともかぶる、といわれています。

ある時代の、ある社会の人が「何をかっこいいと思っていたか」とか「何をキレイだと思っていたか」とか、について考える。

アートっていうのは、大体、生存に直接関係ない物質文化、ってことになりがち(これに限定されるわけではありません)なので、だからこそ、特定の文化の特質というか特有の性格が浮き彫りになったりするんです。


あまりいい例えじゃないですけど・・・犯人の部屋で特定のアニメのDVDとフィギュアが沢山出てきたら、彼の価値感だとか美意識だとか志向とかが見えてくるようなものです。ざっくばらんに言って、美術史はそういうことを勉強するガクモンなんです。

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登録日:2007年 08月 14日 17:00:31

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プロフィール
秋田麻早子
秋田麻早子
■プロフィール:
Art Historian たぶん美術史学者、ときどき考古学。
アメリカの僻地の大学・大学院では西洋美術史を専攻。
でも論文を書いたのはアケメネス朝ペルシャ。
・・・美術史という素材の調理方法の可能性を模索しすぎで
エントロピーの法則な日々。

美術史・考古学を軸に、幅広く文化史的なモノゴトとか
特に、アートや学問の世界の面白いとこをご紹介しちゃいましょう。

MA in Art History 2002, University of Texas at Austin
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