すごくヴィンテージなワインの話
【11月20日 AFP】毎年11月の第3木曜日にあたる20日、ご当地フランス中東部のボージュ(Beaujeu)でも、今年初めての新酒「ボジョレー・ヌーボー(Beaujolais Nouveau)」の解禁が祝われた。(c)AFP
■偉い人も泥酔
最近、システィナ礼拝堂の修復を撮影したTBSの方の手記を読んでいました。
(青木昭さん著、図版も多くてすごく読みやすい楽しい本ですー!)
ミケランジェロが描く天井画の一つに、いわゆる箱舟で大洪水から逃げ延びられたノアが
ワインを飲んでベロンベロンに酔っ払って素っ裸で寝ちゃった場面があるんですね。
そんなノアを見て「オヤジ、素っ裸で酔っ払ってる」とほかの兄弟に言っちゃう息子(ハム)と、それを聞いて、父親の裸体を見ないように(普通見たくないよ)そっと洋服をかけてあげた孝行息子。ノアは自分の裸を見たハムとその子孫を呪うというストーリー・・・・
あぁ、神様が唯一助けた人間の男でさえも泥酔、醜態。
しかも自分で素っ裸になっておいて、それを見て告げ口したわが子を呪う。
人間って・・・因果だな。
■最古のワイン?
今のところ、考古学的に分かっている最古のワインというのは(私が知っている限りです)
紀元前6000年頃(新石器時代なんですよ)のグルジア地方のものだそうです。
シュラベリス・ゴラというところで出たワイン壷(5リットル入るらしい)の中からワインに含まれる成分が検出されたそうです。ビンの口には粘土で蓋をしていて酸化を防いだのみならず・・・漆科の植物の樹脂も検出されたそうです。
(だそうです、の繰り返しですみません)
この樹脂、いわゆる添加物。ローマやギリシャでも松脂などを入れたワインがありますが、これの起源ではなかろうか?と言われています。
そういえば、ギリシャ時代にはワインを水で薄めて飲みます。「ワインを薄めずに飲むなんて野蛮」という表現もよく出てきますが、そのままでは樹脂の味が強くて飲めたものじゃないんだ!と某ソムリエさんに聞いたことがありますが、そういう事らしいです。
■古代ローマの人も、やっぱり酒については語りたがる。
今でも酒場では、酒ウンチクが満ちておりますが、古代でもそうだったんでしょうか?
ローマ時代紀元1世紀にプリニウスによって書かれた「博物誌」という立派な百科事典があります。
アリの駆除の仕方から、イチジクの木につく虫の話まで、何でも書いてあるスゴイ本です。
この中の樹木の項目の中でも「果樹」で葡萄、しかもワインについては非常に沢山の記述があるんです!ワイン好き、必読の書?!
私は焼酎派ですが、それでも多いに楽しめます。
木の種類、作り方、味の調整の仕方、保存法etc. 女性はワインを飲むのを赦させていなかったみたいで、飲んだ女性が夫に棍棒で殴り殺されたとか、そんな酒の事件簿や、どの皇帝がどこ産のワインが好きだったとか、そういうエピソードもあったり。
作り方については
・近くで絞首刑があった葡萄でワインを作ってはいけない
とか
・雷でうたれた木の葡萄からワインを作ってはいけない
などという宗教的な禁忌ことの説明も。
ほかにも、当時のペトリュスとかロマネ・コンティにあたるんでしょうか「名声を得たワイン」みたいなのもあってトラキア地方のマロネイアブドウのワインだとか、ホメロスも誉めるプラムニオス酒などなどがそれです。
紀元前121年は葡萄が全品種当たり年で、200年経った今でも残っているのがあるけど
飲んでもざらざらして苦いだけ・・・水で割っても飲めないから、もっと新しいワインに混ぜてそれっぽく風味を足すのに使うといいってプリニウス書いてます。
すごい、面白い。
値段についても記述がありますが、当時の貨幣価値なんかと並べてみると面白いかも。
最後には「人間の精神を急変させ狂気を生じさせるようなものに、人間の生命はなんと多大の努力、なんと多くの労力と費用を費やしていることか」「大多数の人たちは生きるに値するものがほかに何も理解できないほどに、これは魅力的なのである」
という言葉とともに、酒にまつわる人々の失敗談を羅列して〆てます(笑)
あぁ、これから飲酒シーズンが始まります。
気をつけないと・・・?!
*古代のワインについては
西アジア考古学会の葡萄の考古学、というので小泉先生が丁寧に解説してくださっていますし
マクガヴァンという人がAncient wine(2003)という本を出しているので、とても詳しく知りたい方は是非!
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登録日:2008年 11月 21日 21:27:58
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- プロフィール
- 秋田麻早子
- ■プロフィール:
たぶん古代美術史研究、ときどき考古学。アメリカの僻地で西洋美術史を専攻。主に中東・地中海沿岸の古代美術。
美術史・考古学を軸に、幅広く学際的に文化史とか特に、アートや学問の世界の面白いとこをご紹介しちゃいましょう。
著書に『掘れ掘れ読本』(バジリコ 2007)。笑いのとれる考古学入門書を目指したもの。MA in Art History 2002, University of Texas at Austin
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