座る芸術

ポンピドーでフランス初のロン・アラッド展

【11月21日 AFP】フランス・パリ(Paris)のポンピドーセンター(Centre Pompidou)で20日、英国の工業デザイナーで建築家のロン・アラッド(Ron Arad)の作品展「No discipline」が開幕した。フランスでは初のアラッド展となる。会期は2009年3月16日まで。(c)AFP

AFPBB News


最近、お世話になっている研究室でフリッツ・ハンセンのアントという名前の椅子が増殖中です。
とっても可愛くて、色違いで黄色・白・赤などがぞくぞく登場中。

見た目だけでょ?フン!

って思ったでしょう?思ったでしょう?
ところがどっこい。座り心地抜群。
お尻のフィット、腰のサポート感、背もたれのしなり具合
長時間座ったままで書き物仕事をしても疲れません。
美人なだけかと思ったら、頭が良くて料理が上手で育ちも良かった。
そして性格も良かった、といったところです。

機能美という言葉があります。
まさにこのアントという椅子には機能美を感じます。
まず見た目がカワイイんですが、座り心地のよさが
素晴らしいのと相まって、感動の連続なんです。
カラーバリエにもグッときます。

この機能美という単語について、今までそんなには考えていませんでした。
古代人が使っていた石器の美についてオハナシしたとき以来です。
大抵の人の認識として「使い勝手が良いシンプルな素敵なデザイン」
くらいの意味で捉えていると思います。
私も大体そう思っています。
機能美という単語は、いわゆる芸術作品には使われることがないようです。
使われるのは日用品であるとか、そういう「道具」として「使う」ためのものに対してですね。

きっと「オシャレだけど使いにくいヤカン」などに対しては、使うことがない単語でしょう。

では、機能美というのはいわゆる純粋芸術の美とどう違うのでしょう?

純粋芸術というのは、芸術を作るぞ!と思って作っているものです。
鑑賞されることが目的で、使用されるのが目的ではありません。
(そいうい芸術が主流になったのは人類の歴史では最近です。
それまでは信仰の対象として礼拝するものだったり、お部屋の装飾品だったのです)
そもそも美しいと感じるかどうかは主観です。
その人の勝手で、他人が踏み込む領域ではありません。
でも美しいと感じることにおいて共通していると思われるのは
美しいと感じる対象に「愛着」「感心」「感動」
「興味」「魅力」などポジティブな要素を感じ取っていることではないでしょうか?

古代メソポタミアについては、神様とかかわりがあるもの、聖なるもの
キラキラしたもの、神々しいもの、などが一般的に美しいとされていたようです。

では、機能美は?
機能美というのは、使い心地の快適さから来る「満足」に由来しているのでは
と思っています。使い心地が良いものは、無駄な動きをさせず
労力を効率よく使い、最大限のアウトプットをもたらします。
道具、日用品として使う中で、ポジティブな結果をあちこちで生み出すわけですから
まさに美しいのでしょう。
そういう次元では、もしかして芸術の美しさと、本質レベルでは変わらないものなのかもしれません。

アインシュタインは、この世は神が作った美しい世界なので
その法則を表す物理の数式も美しいに決まっているというようなことを
言っていました。must be beautifulであると。
実際、E=mc(二乗)はシンプルですっきり。

目的と形がぴったりと一致するようなとき
神がかった美しさのようなものが
あるのかもしれません。

技術を重んじる日本人にとっては
どう良いのかよく分からない主観任せに思える純粋芸術よりも
機能美を持った「美しい日用品」「美しい道具」の方が
心に訴えるものが多いような気がします。
それも、森羅万象に神が宿ると考える日本人の精神性と
物の合理的なデザインに宿る神がかりな何かと
結びついているのかもしれません。
そう、車だとか、茶道具だとか、そういった世界です。

そうそう。
日本の美術の歴史は相当「道具の歴史」でもありますよね。
鑑賞目的の道具みたいなのもありますが・・・
西洋美術史の授業でも、工芸品の類も沢山扱うのですよー
20世紀にいたっては、家具・車・キッチン雑貨も一通り扱います。
生徒の中には、シンプルだけど高級なキッチンウェアーをお金持ちのバザーで発掘して
骨董屋に売って小銭を稼ぐ人もいたくらいです。

では私は、アントを我が家に導入するために「アント貯金」を始めたいと思います。
狙っている色は、ずばり「黄色」。

だって私の部屋、カーテンもシーツも黄色なんですもの。
TV台だって黄色です(笑)

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登録日:2009年 01月 21日 21:26:04

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プロフィール
秋田麻早子
■プロフィール:
アメリカはテキサスで西洋美術史を専攻。現在、博士課程で美術史・考古学なんかを面白がるコミュニケーションを鋭意研究中。
著書に『掘れ掘れ読本』(バジリコ 2007)。笑いのとれる考古学入門書を目指したもの。
連絡先:
mana_mana_chan@hotmail.com
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