2007年 02月
「オスマン帝国-イスラム世界の“柔らかい専制”」鈴木董
近代以降のトルコの、まあ、民族的な祖先である“オスマン帝国”の本(>密林Com)。
一言で言うと帝国です、巨大帝国、ローマよりも広いんだっけ少し負けてたんだっけ? まあ、規模的には似たようなもので緩やかなシステムと巨大な軍事力でもってつながり、各文化各民族を内部に抱え、他民族であってもコネがあれば上に上り詰める可能性を最後まで持ち続けたといういろんな意味で柔らかい帝国だったのだとか。
んで逆に、硬直化したら崩壊も早かったわけですが。それでも6百年以上続いたんだからその時点で大したものだよなぁこれ。
んーと、気になったのは「デウシルメ」(キリスト教徒の子どもを連れ去って兵士として育てる制度)、正直イスラム系や遊牧民の帝国で他にこんな制度見たことないし、それほど酷い扱いではなかったとはいうものの保護民に対して行なうことじゃないよなぁ?
ユダヤ人がその対象外だったのはともかく、トルコ語が喋れる場合、一人っ子、すでに自活した生活を送る子どもも除かれた、とあったんですが、意図なんだったんだろうな。
とはいえ、基本的には一気呵成にやって来る怖い存在ではあるものの。
一旦それが収まってしまえば税を納めるか改宗によって保護民となり、んで実際、反乱を起こさない限り帝国そのものが守ってくれるなかなかいい支配者。ユダヤ人がある程度日本人にもわかりやすいから例に出されていたんでしょうが、反ユダヤである帝国内部の組織がかなり早い時期に叩き潰されたような事件もあったようです(ユダヤ人なにやったw)。
(多分いつもみたいに熱心にせっせと働いていたんだと思うけど。)
西欧にとって恐ろしい存在であるとともに羨望の的でもあったようですが、ああ、その分その幻想を今も引き摺っているような気配がないでもないか。頭堅いよなぁ。
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登録日:2007年 02月 08日 16:47:37
「ソ連共産党書記長」木村明生
んーと、1987年発行でゴルバチョフ時代、ソ連崩壊前、というのは見ればわかるんですが、ひょっとしたら直前かしら? と思ってないで確認すればいいようなものです。
ソ連邦の“共産党書記長”というのは大統領相当の最高会議幹部幹部長(長い!)(兼任してることのほうが多いです)、よりも優越するという。ええと要するに、勘違いしてたらすみませんが、事実上の一党独裁のせいでしょうか(>密林Com)。
これだけ見ると日本の自民党に似てるような気もしないでもないですが(実際独裁ではないんですが、そろそろずいぶん長くなりました、という結果論)、なんといっても任期が長い、戦前のレーニン/スターリン/フルチショフ/プレジネフ、で短命の方を経てゴルバチョフさんの模様です、んで、ゴルバチョフさんで大転換したような気がしてましたが別にそんなことでもないみたい。でも例えば飢餓の場合の切り捨て方なんかは確かに酷い。
これに関しては欧米が非難するのが無理ない気もするんですが。
スターリン氏がさすがにどうかとは思いますが、冷戦は正直どっちが悪いってもんでもないしねぇ、ゴルバチョフさんが対外に軟化したことで「民主化に当たってのアドバイス」がたくさん寄せられたそうなのですが、改革はするけど別に民主主義を目指してるわけではないよ? というお返事はむしろ今読むのが一番相応しいんじゃないでしょうか。
基本的には書記長の人間的側面や、日々の生活などを含めた書記長の本で。
なんか、国民性が受身なんだよねー、と著者さんが言っておられたのですが、なんか書記長さんもあんまりその例に外れてないみたいですね。あまり扱われてなかったスターリン氏だけが傍目から見ても違うんだけど何者なのかしらあの方。
なにかを暴く、というわけでもなく、淡々と語られている今見ても好著ですかと。
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登録日:2007年 02月 07日 22:53:44
「神聖ローマ帝国」菊池良生
すごく正直、いまいち聞き覚えのない国の名前で場所はほぼ現在のドイツ。
そして私はぽちぽちとエピソードのつまみ食いをしてはいるもののヨーロッパ通史には疎く、一応“ローマ帝国”の知識くらいはあるのですが、なんというのかなぁ、「建前としてのヨーロッパ」を現代の感覚で切るという本ですごくわかりやすく、案外入門書として良かったかもしれないなぁ、と思わないでもありません(>密林Com)。
(ウィーン会議とか読んでるけどな! あれも面白いけど入門書じゃねーな。。。)
で、その神聖ローマ帝国というのはなにかと言いますと、なんでもローマ帝国が東と西にどうやら別れてしまった後、西だけが滅んじゃったらしいんですが、とある時にローマ教皇が、とある人物を味方に引き込むために「西ローマ皇帝の地位いらないかーい?」というふうにコナ掛けたのがきっかけとなって、その後主にドイツの地で延々とたらい回しにされてきた地位なんだそうですよ(東ローマはわりと簡単に了解出したらしい)。
いや、“神聖ローマ帝国”とか名乗ってないけどね(力が弱るたんびにだんだん大仰な名前になったらしい)、ぶっちゃけて皇帝の地位だけが存在していて「で、国はどこ?」というのが実情だったらしいんですが、とにかくもう、ヨーロッパ人はローマが好きと。
ローマの属州になっていたというのは今も自慢の種だそうです、私もわかりません。
なんでもローマというのは今のイタリアの地らしいんですが、なにぶんにもドイツの地の王たちが皇帝になっているもので、支配しきれません、イタリアを統治しようとすればドイツがお留守になるし、その逆もしばしばしば。フランスも皇帝の地位を狙ってくるし。
というか、全くまとまりがないというか際限なく分裂して併呑されて、を繰り返しています、ローマの幻想に振り回され続けた欧州って解釈していいものなのかなぁ。
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登録日:2007年 02月 06日 16:27:38
「南北戦争・再建の時代-ひとつの黒人開放運動史」本田創造
著者さんが「この本は南北戦争や黒人開放運動の公平な通史ではないよ」と書いてまして、初めて読むのにはどうかな、と思わないでもなかったのですが(>密林Com)。
まあ、人間として公平ならばいいんじゃないでしょうか、でもやっぱりちょっと前半読みにくかったです、事情がわかりにくいというかダイジェストっぽくて。むしろ後半の“南北戦争”が終わってからと、リンカーンさんが必ずしも奴隷解放のために戦争していたというわけではなく、しかしその流れが無視できないものになった時は潔く観念して積極的に受け入れるようになったという姿勢だったという辺りでしょうか。
うん、聖人君子もいいけど、それもまたいいじゃないですか、人間らしくて。
そもそもアメリカの黒人奴隷というのは先住民ではなく。
労働力としてアフリカ等の地から連れて来られたような人々。
そしてイギリスから始まった奴隷貿易の解消はすでにヨーロッパの地ではほぼ完了。
そいでもって、この戦争は南部の大資本と北部の、んー、なんというか知識層、だとちょっと語弊があるんですが、なにも奴隷制度に頼らなくても身を立てられるちょっと進んだ層との決裂が引き起こしたものと言えるらしく、むしろ「奴隷の開放」はその戦争を乗っ取った黒人兵士やその賛同者によるものだったんだってさw
そして奴隷だった彼らはすでにこの土地アメリカで生まれたのだと宣言し。
瑕疵があろうとアメリカを愛すると、自分たちにその国民たる権利を与えろと唱えたわけですよ、リンカーンさんが暗殺され、副大統領から昇格し、奴隷制の事実上の復活を是認したジョンソン大統領はなんとなくその時に負けたような気もします。
この話に完全な悪も正義もおりませんが(被害者はいる)、そのほうが美しいよな。
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登録日:2007年 02月 05日 22:52:49
「帝都ウィーンと列国会議」幅健志
“会議は踊る、されど進まず”(>密林Com)というのはその当時、ウィーンですげぇ人気のあったじいちゃん将軍の言葉なんだそうですが、どうもこう「踊ってる」から「進まない」という意味ではないようで。というか実は会議の進まない理由はざくざくあり、せめて踊るくらいしかない、という状況だったんですが、すごく失礼というほどでもないかなと。
オーストリアは女帝マリア・テレジアの息子のフランツ帝時代、ちまちまとセコくて陰湿ですが、正直穏当と言ったら穏当。ロシアが同じく女帝エカテリーナの孫のアレクサンドル、軍人皇帝アレクサンドル時代(なんで愛称が“ツァー”なのさ、ロシアって本当にわかんねぇな!)。プロイセンがフリードリヒ大王。鉄の宰相ビスマルクさんまで後ちょっと。
どれか一つくらいは聞いたことあるかな、と思って挙げてみたんですが。
イギリスはわかりません、すみません、概ね大国として扱われてるんですが、海峡挟んでるだけあって領土もいらねーし行動もなんかズレてるしで、オブザーバー? 事実上そうだった、という意味ではないんですが、実質本当にそんな感じ。
フランスがマリー・アントワネットの処刑から、ワンクッションを置いてナポレオンが登場し、もう追放され、この会議中に復活。伸びに伸びまくっていて、ちょうど各国が一緒だったもんでわりと楽にことに当たれたようです、、、で、最敗北。すげぇ歴史の妙。
というかそもそも、ナポレオンがいなくなったあとのヨーロッパ再編の会議なんですね。
で、ナポレオン以降の新世代と旧世代がぎしぎしといがみ合っていた、て感じ。
ある意味で利害関係のある存在の数が多すぎ、会議としてまとまらなかったのも必然、この会議でなにかが変わり、次の時代がここで決まった、ということはないんですが。
歴史の一大縮図であることは間違いないようです、前置き長いですが面白かった。
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登録日:2007年 02月 04日 15:22:38
「日本銀行」吉野俊彦
日銀さん(うえ)は日本の中央銀行(>密林Com)。
中央銀行というと「銀行の銀行」「お金の発行機関」というのがあれですね、思い浮かびますね。あと、金融市場によっこいしょと出掛けていくみたいなこともしてるようです。
てゆーかこの本、1963年に出てすでにかなり昔に絶版してる上に、まあそれはいいことなんですが、大戦前に日銀に入られた方でかなり当事者、いくつかの大蔵大臣or日銀総裁の暗殺事件を語っておられる部分があるんですが(というか出版の一代前の日銀総裁を順番に紹介してる章)、筆は押えておられるんですが感情が滲んでおられました。
このタイトルでその後本が出てないのはちょっと寂しいですね。。。
実際、あまり状況が変わってなくてこの本でかなりの部分が用が足りてしまう部分がもっと寂しいです。そしてなんと、現在の≪日本銀行法≫は戦前ナチスの御用達銀行の法律が元になって改正されたまんまだそーです。
虐殺が金融に関係するかはともかく、独裁政権なのは否定出来ないと思うんですが。
まあ意外と融通利くもんだな、、、と感心するというのもありな気がしますが。
私は知らなかったんですが、最初から“中央銀行”として設立される場合と、そうでなく徐々に機能が備わってくる場合とがあるようなんですが、日銀さん(何故さん付け)はその中間と言ってもいいのかなー。日銀自体は中央銀行として作られましたが、そもそもが民間銀行にすでに存在していた紙幣(まだ仮紙幣ってところだね、それぞれの銀行の金所有の範囲内で発酵)の発券機能を取りまとめる目的だったので、最初は発券機能すらなく。
ちょっとずつ他の銀行の兌換紙幣を回収する形でスタートしたそーです。
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登録日:2007年 02月 03日 01:15:12
「やきもち焼きの土器つくり」クロード.レヴィ=ストロース
基本的にとりあえず、非常に卑近な例というか、動物を中心に話を進めてくれているのでその時点時点でなにを語っているのかがわからないということはないんですが。しかし大まかに大意を掴もうとするとほとんど不可能にも関わらず、最終的な結論はやっぱりわからないでもないという不思議な文章ではないのかと思います。とゆーか、南米の神話が不可思議な構成になってるんだろーな、という解釈もありなのかもしれません。
そもそも神話って誰かが断行して整理してない限りそんなものなのかもしれません。
てなわけで、南米(一部北米)大陸の神話についてです(>密林Com)。
もちろんのこと近代以前です、西洋の侵略なぞ受ける前に決まっているわけですが、そうなると整理の有無以前に資料の有無が気になる模様ですが、口伝を潰すことは出来ないというか、微妙にキリスト教の指導範囲外なのでなんとか残ってたというか。
もしかしてあったのかもしれない体系は実際望み薄なのかもしれません。
(神話を整理するのは学者のこともありますが、フツーは征服者です。)
そして彼の語ることからわかることは、ヨタカと月がどうもなんかどっちもどっちの夫婦だったというその大軸がどんなに話が変化しても軸として存在し(性別は逆転してたり立場も入れ替わってたり、太陽がわりと頻繁にもう一人の夫だったりもするし)、それがどうも「食物に火を通すための道具」=土器と密接に関わっているようなのですが。
それが何を示すのかの結論はないし、読んでてもわかりません!
てか研究途中じゃねぇか、褒めてないで誰か続き研究してよー;
あとは、ナマケモノを代表とする、排泄に関する話が独特かなぁ。初めて聞いた。
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登録日:2007年 02月 02日 14:01:58
「東インド会社」浅田實
後にインド支配するまでに膨れ上がったのだという。
どこまでもどこまでも商業に拘っていたのだという長い歴史を持つ会社の本(>密林Com)、初期には一応、新と旧とに別れていたようですがあまり語られることもなくなし崩しに合併してしまった模様ですよ。ちなみに株式の仕組みもここから始まったみたいっす。
てか、本気でイギリスのターニングポイントな会社だよなぁ。
イギリスはもともとが海運国で、食料なども国の外に(自動的に海の外に)頼るのが伝統的のよーですね、第一次世界大戦の時なんかドイツに海上ライン封じられて飢え死にし掛けたっていうしなぁ。いやまあ、そのくらい貿易が盛んな国なわけなんですが。
まず最初は胡椒(有名ですね)、各種スパイス、キャラコと呼ばれるインド産の織物、安いからとかなりイギリスで人気になり、国内産業を圧迫しないよーにと規制を掛けるものの密輸が耐えなかったようです、まー、廻りは海ばっかだもんなぁ;
しかしそれがきっかけで、国内の織物に励み、イギリス綿業が発達。
逆にインド綿業を圧迫するまでの発達を見せ、それが産業革命のきっかけとなったというのは面白い話でした(他にも時代条件がいろいろあったんだろうけどな)。そしてその後、お茶へと移行し、中国に交易の手を伸ばし、阿片を替わりに持ち込み。
まあその後の運命は「イギリスの汚点」として有名ですね。
そしてインドの一地方をほとんど偶然のように支配したのが徐々に膨れ上がって、全土へと発展。自分たちが雇っていた現地人セポイが切っ掛けとなった反乱でこの会社は解体されることになりましたとさ。歴史も本も面白かったっす。
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登録日:2007年 02月 01日 19:54:18
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- 紅夜
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(という感じのネタっぽいのに変えてみました。)
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