2009年 05月 31日

同一人物のIQの変化

同一人物を複数種類の知能検査で測定すれば、違う数値が出ることはありうる。例えば、WISC-III開発時に田中ビネー(原典に版の表記なし。多分第4版。)とWISC-IIIを38人(やや少人数)に対して実施したところ、WISC-IIIの平均FIQが100.1であるのに対し、田中ビネーの平均IQは111.7であった。WISC-Rと田中ビネーの比較でも同じ様な結果は出ており、一般的に「田中ビネーの結果はWISCの結果より10ほど高いと考えた方が良い」と言われている。なおK-ABCとの比較、ITPAとの比較も、どちらも28人を対象として実施されたが、この2つについては大きな乖離はなかった。

なお、田中ビネーV開発時にもWISC-IIIとの比較は行われており、平均5歳11ヶ月の97人に対して実施された結果、田中ビネーVの平均IQ129.9、平均DIQ111.7に対し、WISC-IIIの平均FIQは115.6であった。DIQ基準でいえば拮抗あるいは田中ビネーVがやや低めといえるが、IQ基準では14程度田中ビネーVが高い。

ただし、後述の通りIQは検査の開発時期によって変化するため、これらの得点の相違は、検査の性質の差によるものか、検査の開発時期が異なることによる差か、確かなことは言えない。

同一シリーズの知能検査でも版が違う物で測定すれば、違う数値が出ることはありうる。例えば、WISC-III(WISCの第3版)開発時にWISC-R(WISCの第2版)と比較したところ、WISC-Rの平均FIQは108.9であるのに対し、WISC-IIIの平均FIQは103.3であった(日本版相関係数0.84)。なおフリンの研究によれば、全く同じ知能検査を使用して比較しても、IQは10年で3ポイント程度上昇していく傾向である。この逆援は、レーヴンのマトリシスのような文化的な影響度を最小限にした典型的な非言語性テストでも、いっそう著しく見られるのであり、その原因は不明である。田中ビネー第4版と第5版の間の比較調査は今のところ見当たらないため、こちらは改訂により高く出やすくなったのか低く出やすくなったのかは不明である。

同一人物を同じ知能検査で複数回測定すれば、2回目以降は数値が高くなりがちである。例えば、WISC-IIIを同一対象に14–180日(平均76日)の逆援助を置いて再検査したところ、一回目の平均FIQは101.1であるのに対し、2回目の平均FIQは109.4だった。なおVIQは上昇幅が少なかった。

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登録日:2009年 05月 31日 15:53:53