今年一番、印象的だった広告。

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この広告は、「サイクルスポーツ」誌の5月号に掲載された「なるしまフレンド」というショップのものです。
確かに、自分が自転車を趣味にしていたから目にした広告ですが、別に自転車関連の広告だからというわけではありません。

普段ならさっとページを通り過ぎる、モノクロ1Cの広告ページです。しかし、この号ではページをめくる指がとまり、何度も真剣に読んでしまいました。
その内容は、広告の制作・掲載費を震災の義援金にするため、この号で出稿をやめるというもの。
こうしたメッセージを行うスポンサーもあるという、広告業界にいる人間としてのショック。そして、このショップの姿勢に感銘を受けました。

この広告が出た頃、東日本大震災直後の自粛という空気からか広告の出稿をやめる企業が目立ちました。中には、本当に震災の打撃による企業もあったでしょう。しかし、震災に関係ない企業も多々見受けられ、たぶんに社会的な体裁、またはこれを機会に経費削減という姿勢がわかりやすく感じられました。
このショップは、そうしたスポンサーとは違い、義援金のために広告をやめると「広告」で宣言したのです。広告収入にたよる出版社には、気持ちの部分でも痛かったのではと思います。けれど、自粛空気による体裁ではなく、その意志が表わされた原稿に何もいうことはできなかったのではないでしょうか。
同じ広告をやめるという行動でも、まわりの風潮に乗っかるのではなく、行動と、その意志をきちんと述べた広告は他に私は見ませんでした。

このショップでは店頭による募金、社長自ら被災地に行ってボランティア活動を行うなどの行動をいち早く起こしていることを知っていたため、内容については一読者として自然に納得できました。が、もうひとつの私の立場では、制作・出稿を請け負う広告会社からは絶対に出ることのない強烈なメッセージとして刺さりました。広告を見るとき、つい表現に目がいきがちですが、本来はスポンサーの意志の発信であるという原点さえ改めて考えさせられました。
有名ショップではありますが店舗にして都内2軒という小さな会社のこの地味な広告が今年、どんな大企業のお金のかかった広告より心に残りました。

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登録日:2011年 12月 20日 12:17:31

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プロフィール
小林昌幸
小林昌幸
(男)
1968年05月10日
自転車ずきのライター稼業。
就職・進学情報誌のライター、二輪・自動車メーカーのコピーライターを経てフリーランスに。
実は、デジタル機器、ゲームやホビーの仕事も多く、アキバ系もテリトリー。
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