コラム「美しい国」
「美しい国」安倍政権がウエブサイトでも一般募集を始めたという。
―首相直属の教育再生会議が道徳の教科化や「親学(おやがく)」の創設を提唱し、20日から首相官邸のホームページで「日本の何が美しいのか」を一般から募集するイベントも始めた。(毎日新聞)―
▲きれいな言葉である。「美しい国」という言葉は。そういえば、川端康成が1968年にノーベル文学賞の受賞式で「美しい日本の私」という講演を行った。そこで彼は「春は花夏ほととぎす秋は月冬雪さえて冷しかりけり」 道元。「形見とて何か残さん春は花山ほととぎす秋はもみぢ葉」 良寛の辞世を紹介。さらに「源氏物語」は古今を通じて、日本の最高の小説で、現代にもこれに及ぶ小説はまだないこと、文学から美術工芸、はては造園に至るまで「源氏物語」が深く広く、美の糧になり続けたと述べ「真萩散る庭の秋風身にしみて夕日の影ぞ壁に消えゆく」と永福門院を紹介。「日本の繊細な哀愁の象徴で、自分により多く近いもの=日本・東洋の虚空・無」と語った。
▲さて今、首相のいう「美しい国」は、(1)文化、伝統、自然、歴史を大切にする国 (2)「自由」と「規律」を知る、凛(りん)とした国 (3)未来に向かって成長するエネルギーを持ち続ける国 (4)世界に信頼され、尊敬され、愛される、リーダーシップのある国だという。
▲川端康成の「美しい日本」とは違ってなんとも形容のしがたい殺伐とした国なのだろう。文化、伝統、自然、歴史を大切に・・・といわれたって、「銃器社会」に市長候補者は殺され、伝統技術の世界では後継者難で、伝統芸術も技能も朽ち果てようとしている。美しいはずの自然はダム、林道、原電、埋め立てなどで「自然・死」して、歴史に至っては、たかだか半世紀ほどの歴史も捏造しだして・・・。
▲「自由」はテレビ局への法規制の強化や御用マスコミの氾濫で国民の「知る権利」も危うく、「規律」ばかりが強調されて国歌・国旗に対する「不敬罪」まがいの状況で、誰にとって「凛とした」国になりたいのか。
▲・・・。美しい国には「美しい私」が似合う。川端康成の講演を今一度紐解いてみたい。そして歴史に目を閉じて未来を誤ることにならないように気をつけなければ。
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登録日:2007年 04月 22日 11:39:08
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