「プーチンのロシア」下

 知り合いのロシア人からの揶揄はともかく、プーチン体制は今後8年間は続くと見てよいだろう。いわば「プーチン首相の院政」なのだから。

まずロシア経済だが、プーチン大統領はこの8年で「クレムリンからの経済支配」を確立したと見て取れる。簡単に言うと「ソ連時代に回帰したかのように」主産業を国の管理下に移した。経済支配を手中に収めたクレムリンは「環境破壊」など世界の大方を納得させる事の出来るテーマをぶつけて石油・ガスへの支配を外資から奪い取る事に成功した。一方、原油高を背景に国内経済は順調に伸びている。プーチン大統領はまさに「世界の経済の一端を捕まえた」わけである。

さて次に問題の「民主化」だが、プーチン大統領は「ロシアにはロシア式の民主化」があるとにべもない。ロシアは州制度だが、州知事は大統領の任命制に移行した。昨年夏のサハリン島ホルムスクで起こった地震への対応が遅いという理由で、サハリン州知事は一週間ほどで退任させられた。前知事は常々「世紀やガスの利潤をサハリンにも」と中央政府に要求していたといい、クレムリンの覚えが悪かったための報復人事だという噂がもっぱらである。またクレムリンの「威光をあまねく全土に広めるため」に大統領(=中央政府)の支配を強めた。全国を7つの連邦管区に分け、それぞれに全権代表を置いたのである。全権代表には主に旧ソ連の国家保安委員会の将軍や将校を配置したのは、まさにソ連時代を髣髴とさせる支配構造だ。

今回の大統領選でも見られた事だが、マスコミ支配も熾烈である。プーチン氏が政権を担ってから、それまであった3大テレビネットワークが事実上政府の支配下に置かれた。そのうちロシアを代表するRTRは国営化され政府の広報専門チャンネルになってしまった。弱小のテレビ局はこの辺の空気を読んで独自ニュース番組は廃止している有様だ。

プーチン大統領に言わせると、これが「ロシア式民主主義」なのかもしれない。広大な面積を持つロシア連邦という多民族国家、それも帝政ロシア時代から突然共産党政権時代になり、そして急激な市場経済のロシアへの変遷。愚直といってもいい程の大多数のロシア人を治めるには「強権政治」も必要だというわけだ。
その上、経済的にかつてなかった繁栄を国民が享受している事実が、国民をして「裕福な生活」への満足となって表れているのではないだろうか。中産階級の誕生が、プーチン大統領を後押ししているのである。

最後に、プーチン大統領は「テロとの戦い」を巧妙に自国の政治に取り入れた。チェチェン戦争においてである。この戦争に関してはここでは紙幅の関係で書かない。しかしこの点に関しては、ブッシュ米大統領がプーチン大統領最大の政治的パトロンといえる。何しろブッシュ大統領は「時の政権に対する反体制はすべてといってよいほどテロリスト」にしたのだ。プーチン大統領はこの論理に飛びついた。
そしてチェチェンへ。

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登録日:2008年 03月 08日 15:58:42

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