2007年 07月 20日

ツール第11(2)ステージ-アスタナが奇襲攻撃の意味は?

ロバート・ハンター 第11ステージを制す

【7月20日 AFP】2007ツール・ド・フランス(2007 Tour de France)、第11ステージ(マルセイユからモンペリエ、182.5キロメートル)。
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(c)AFP

AFPBB News


 ヴィノクロフの落車がなければ、彼がマイヨジョーヌを着て、アスタナがこのようなコントロールをしていたのかもしれない。結果としてアスタナのこの作戦は、クレーデンの総合成績を前日の8位からひとつ順位を上げ、モローを総合争いから脱落させることに成功した。しかし、この日に支払ったアスタナの代償は大きなものになるだろう。ディスカバリーもケースデパーニュも総合上位陣はしっかり集団の中で脚を溜めていたし、マイヨジョーヌのラスムッセンもしっかり集団の中にいた。第5ステージでもヴィノクロフを引き上げるためにアスタナのアシストは相当脚を使っている。ピレネーを前にした平坦ステージでこんな激しいレースにアシストを使って、アスタナは大丈夫なのだろうか?7連覇時代のランス・アームストロングもアシストの負担を考え、あえてマイヨジョーヌを手放したこともあったほどなのだ。アシストを最大限に酷使して得られたものはあまりに小さかったと言わざるを得ない。
 残り1キロ、ゴールスプリントを控えた選手たちが左コーナーにかかると、数名の選手が防御柵に激突し落車する。この事故に巻き込まれたジュリアン・ディーン(クレディアグリコル)、ボーネンらを欠いたゴール前の争いは、ロバート・ハンター(バルロワールド、南アフリカ)がカンチェラーラの追撃をわずかに振り切って勝ちとった。コンチネンタルプロチームとして今大会2勝目の大金星、南アフリカに初めての区間優勝をもたらす結果となった。それにしてもあわやこのツール3勝かと思わせたカンチェラーラはすごい!スプリンターのムリロ・フィッシャー(ブラジル、リクイガス)やフィリッポ・ポッツァート(イタリア、リクイガス)を圧倒していた。本来ならチームのスプリンター・スチュアート・オグレディの舞台のはずだった。彼のリタイヤで自分がという気持ちもあったのだろう。それにしてもリクイガスは中途半端なレースをしてしまったようだ。どちらか一方で勝利を狙えば優勝も可能だったはずなのだから。
 この日の平均時速は風が強かったにもかかわらず時速48.1km。前半のめまぐるしい展開に後半の厳しいスピードと、選手たちにとっては平坦ステージといえども疲労こんぱいの一日となっただろう。特にアスタナのアシストたちにとっては・・・このステージでアスタナは存在感を示すことには成功した。レース後ヴィノクロフは「昨日はリタイアも考えたぐらいだったけど、今日は調子が上向きだった。でもまだ完調じゃないから、シャンゼリゼで勝った時のような飛び出しは出来なかったよ。調子がよかったからチームメートに言って集団のスピードを上げたんだ。(中略)チームにとって今一番重要なことは、チーム一丸となって出来る限り多くの勝利をものにすることだ。とにかく今日はいいリズムを取り戻せていることが明らかだった」とコメントしている。ヴィノクロフ自らが先頭を引き、果敢なアタックを見せるなど、まるでT-モバイル時代のヴィノクロフだ。確かにヴィノクロフは死んでいないというアピールは理解できたが、第8ステージでクレーデンを呼び戻したことといい、今日の奇襲といいヴィノクロフの焦りでなければいいのだが・・・
 この日の目に見えない功労者はヒンカピーだ。横風区間では自ら体をはってコンタドールを守っていた。闘い方を知っているディスカバリーならではの気遣いだ。大きな動きこそ見せていないが、これはTTとピレネーでのディスカバリーの自信を伺わせるに充分なものだと思う。アローヨを逃げに乗せることはできなかったが、ケースデパーニュも余裕のゴールだったはず。「大山鳴動して鼠一匹」といった感のあるアスタナとは好対照の落ち着きを見せていた。パリでのマイヨジョーヌはどうやらこの2チームに絞られたのかもしれない。
 この日もマイヨジョーヌを守ったラスムッセンはレース後「アスタナが加速し始めた時、僕はうまく前線にポジションをとっていたんだ。チーム全体が加速の準備をしていることは見て取れた。だから驚いたりしなかった。マイヨ・ジョーヌを出来るだけ長く守りに行く。それに最初の個人タイムトライアルは、僕にそれほど不利なコースでもないしね。もしも個人TT後にマイヨを失ったら、取り戻すためにまたアタックするだろう」という余裕のコメントを残しているが、こうしたアスタナの動きが続けば、次に脱落するのは彼だろう。

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登録日:2007年 07月 20日 17:47:51

ツール第11ステージ-アスタナが奇襲攻撃の意味は?

ヴィノクロフ 第11ステージを54位で終える

【7月20日 AFP】2007ツール・ド・フランス(2007 Tour de France)、第11ステージ(マルセイユからモンペリエ、182.5キロメートル)。アスタナ(Astana)のアレクサンドル・ヴィノクロフ(Alexandre Vinokourov、カザフスタン)は、3時間47分50秒の54位で第11ステージを終えた。(c)AFP

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 第11ステージは、序盤に4級山岳が1つあるだけのマルセイユからモンペリエまでの182kmの平坦コースだったが、マイヨジョーヌを着るラボバンクにメイン集団をコントロールする力がないことがはっきりしたので、予想通り序盤から細かなアタックが繰り返されたようだ。しかし、7分33秒遅れのダビ・アローヨ(スペイン、ケスデパーニュ)を含む逃げ集団は2分以上の差が許されなかった。チーム総合でケースデパーニュを追うディスカバリーが黙ってはいるはずがない。
 さらに細かなアタックが繰り返され、プロトンは85km過ぎまで安定しなかった。TV中継が始まってからもまだ積極的なアタックが繰り返されていた。レースはめちゃくちゃハイスピードで進んでいる。最初の1時間の平均時速はなんと50.8kmだったらしい。残り100km地点で集団の先頭にヴィノクロフが上がり、吸収されたシャヴァネルらの集団に手を挙げて何事か叫んでいる。「今日はもうアタックをやめよう!」というアピールらしい。しかし、選手たちはおかまい無しに飛び出していく。82kmを走ってまだレースは安定していない。ファビアン・ウェーグマン(ドイツ、ゲロルシュタイナー)とフィリップ・ジルベール(ベルギー、フランセーズデジュー)ら4人が飛び出した。ようやく4人の逃げを許し、次いで飛び出したデービット・ミラーも加わり、5選手が最大7分30秒のタイム差をつける。レース2時間目の平均時速は48.0kmをマーク。
 補給ポイントを過ぎた115km地点、アスタナが突然大集団前方に集結させ始めた。彼らは強い横風区間で、突如大集団を強力に引き始める。突然急加速したために、慌てる選手たち。この奇襲攻撃は24分間にわたる。過去にもCSCのヤルノ・リースが取った作戦だ!
 厳しい横風のために中切れを起こした大集団は、3つに分断される。ヴィノクロフがアシストたちに作戦終了を告げた時、すでに後続集団とのタイム差は1分20秒まで開いていた。ここでアスタナのメンバーは後ろに下がった。代わってメイン集団の先頭に上がったのはケスデパーニュやクイックステップだ。このままペースダウンすれば、モローが後ろから追いつく。追いついてしまえばアスタナの努力が報われないのだ。この点だけ見ても、アスタナの奇襲は後ろとの差を広げるためではなく、前を追うためのものだったのではと考えられる。集団のコントロールがままならない状況にいらだっていたヴィノクロフが自ら先頭に立ち、集団はこうしてコントロールするんだという手本を示すと同時に、チームとしてのアスタナの力をまざまざと見せ付けたのだ。
 ヴィノクロフも前に出て引いている。エース自らが集団を引くには相当の理由があるのだろう。彼らは総合上位陣のなかで、大集団後方にいる有力選手を陥れるために奇襲したのだろうか?この術にはまったのは、前半落車に巻き込まれていたクリストフ・モロー(フランス、アージェードゥーゼル)だけだった。むしろ、自分の静止を振り切ってまで逃げた先頭の5人の逃げは絶対に許さないというヴィノクロフのプライドがそうさせたに違いない。第2集団に残されたモローは、この日3分17秒もの遅れをとり、前日の総合6位から14位まで転落してしまう。序盤に落車し、左足を負傷した彼には、まったくひどい一日となったようだ。
 第3集団にいたエリック・ツァベルとトル・フースホフトも、ゴールスプリントへの参加資格を剥奪されてしまう結果になってしまった。ヴィノクロフの思惑通りに、逃げ集団の5人もあっという間に差を詰められ、残り38kmを残してメイン集団に吸収されてしまう。ここまで集団のペースが上がってしまえばもう誰も逃げられない。ランスが7連覇中のディスカバリー(元USポスタル)を髣髴とさせる見事な集団コントロールだ!ここで集団のコンセンサスが生まれる。総合上位のモローを引き離すためと、スプリント争いからフースホフトやツァベルといったスプリンターをふるい落とすというコンセンサスが。

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登録日:2007年 07月 20日 16:28:55

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