ツール第1ステージ(2)
【7月9日 AFP】2007ツール・ド・フランス(2007 Tour de France)、第1ステージ(ロンドンからカンタベリー、203キロメートル)。
≫続きを読む…
(c)AFP
レース後半では落車やメカトラブルが続出。第3山岳の手前で落者に巻き込まれていたのは、なんとR・マキュアン。プレディクトールのメンバーが戻って懸命にマキュアンを引きあげます。既に戦闘態勢に入っていたプロトンは速度を緩めません。逆にマキュアン落車を聞いて、クイックステップとランプレが速度を上げたように見えました。この段階でだれもが、この日のマキュアンの勝利はないと思っていたはずです。
ラスト1kmのアーチはミルラムトレイン先導で通過したが、ラスト500mでロバート・ハンター(南アフリカ、バルロワールド)がスプリントを開始。これによって集団は形が崩れ、トーマス・ヴァイクス(リトアニア、ディスカバリーチャンネル)を引き連れたハンターは先頭でゴールに向かうが距離がありすぎた。力つきたハンターに代わって後方から勢いよく上がってきたのはなんとマキュアンでした。
カンチェラーラのプロローグも驚異的でしたが、この日のマキュアンの走りは別次元のように見えた。集団に取り付くまでは同僚の懸命なサポートがありましたが、集団の中を自力で上がり、ゴール前の映像では全く写っていないところからの強烈な追い込みは、周りの選手が止まって見えるほどでした。2位がフースホフト、3位にボーネンでしたから、決して前が止まっていたわけではないはずです。こういう走りを見せられるとドーピングは大丈夫かな?と思ってしまうのは私だけでしょうか?昨年は17ステージでのランディスの驚異的な走りに感動を覚えましたが、結局、その後のドーピングで陽性反応が出てしまいましたから・・・
同僚に引かれて集団に復帰する途中も、右手を気にする仕草を何度も見せていたあのマキュアン?と自分の目を疑いたくなるほどの走りでした。ゴール後の英語のインタビューで、今日の勝因を聞かれたマキュアンが“frustration and anger”と答えていたのが非常に印象的でした。TVの解説者は“frustration”を強調していましたが、私は“anger”という単語のほうが気になりました。2003年のツール第9ステージ最後の山岳の下りでベローキが落車、それを避けようとしたマイヨジョーヌのランスがコースをはみ出し、ダートに突っ込み、ショートカットで何とかコースに戻るという大アクシデントがあった。その時、CSCのT・ハミルトンが先頭に出て、逃げ集団にペースダウンを求めたシーンを思い出します。
サイクルロードレースにはルールではないが暗黙の了解というものがあり、落車などのアクシデントで有力選手が遅れそうな場合はペースを落としてでも待つのが通常です。昨日もその前の落車では先頭を引くCSCは一度スピードを緩め、逃げ集団との差は一気に6分まで開いていました。少なくともマキュアン落車を聞いていたのなら、クイックステップもランプレもマキュアンが集団に追いつくまである程度ペースを落とすのが当たり前の世界なのです。ゴール直前というのならわかりますが、マキュアンの落車は20Kmも手前のことなのですから・・・
“frustration”というのは自分の落車とチームメイトに余計な負担をかけてしまったことを示し、“anger”はまさにこのことに対するマキュアンの怒りそのものだったのではないでしょうか?マキュアン自身後のインタビューで「スピードが上がったのは偶然ではない」とコメントしていました。この“anger”が彼の中でアドレナリンを全開にさせ、あの走りを生み出したと私は考えています。ドーピングは勿論ですが、サイクルロードレースはこうした選手間のモラルで成り立っている部分も多いのです。ランスが去り、ドーピングで有力選手が去り、レース・ディレクターが変わった2007年のツールですが、何か後味の悪さが残ってしまいました。
最後にちょっと驚いたことを書いておきます。それは、今年のディスカバリーはスプリントもやるんだということです。今年アージェードゥーゼールからT・ヴァイクスが移籍したことは先にも書きましたが、ハンターに続いてヴァイクスが飛び出したのには驚きました。01年には、U23の世界チャンピオンになっている25歳。昨年のジロ・デ・イタリア第9ステージでは、ベッティーニに競り勝ち区間優勝をしたのを憶えています。ゴールスプリントではまだまだ分が悪いようですが、登りゴールのロングスプリントになれば面白い存在になるかもしれません。昨年はマリアチクラミーノのベッティーニに競り勝っているのですから・・・
次の第2ステージは全くの平坦、続く第3ステージは4級山岳ひとつだけのほぼ平坦コースですから、純粋なスプリンターたちの舞台になるでしょう。第1ステージでマキュアンに出し抜けを喰ったスプリンターたちの巻き返しに期待しています。
カテゴリー[ 自転車 ], コメント[1], トラックバック[0]
登録日:2007年 07月 12日 13:11:50
コメント
はじめまして、「自転車魂」というブログをしている@kemiと申します。
深ーーーい洞察力で見ていらっしゃいますね!
読んでいて、うんうん、と感心しきりです!
勝手ながらリンクさせていただきました。支障がおありでしたらご連絡くださいませm(_ _)m
@kemi @ 2007年 07月 12日 14:25:24
コメントを追加
Trackback
この記事に対するトラックバックURL:
- プロフィール
- nori
- (男)
- 1955年12月15日
- 新Cycling Fan!!
- インターネットFAQ!!
- Mobile Life 2008
- 最近のエントリー
- [07/11] ブログ移転のお知らせ!!
- [07/09] リッコを優勝候補に押す理由!!
- [07/02] ドーピング検査は中立の第三国で!!
- [06/15] ツール・ド・スイス開幕!!
- [06/13] ドーフィネでバルベルデがリーダーに!!
- [06/08] カジノドライヴ無念の取り消し!!
- [06/04] 「ツール・ド・フランスに出場するために全力を尽くす」
- [06/04] コンタドールが安定した走りで総合優勝!!
- [06/01] コンタドールがマリアローザのままミラノへ!!
- [05/31] 余裕の4秒差・・・?
- 最近のコメント
- [07/07] ドーピング問題とスポンサー この一文はどうなのかな?
- [03/03] プレディクトールがサイレンスに・・? lottoman
- [03/01] 何故中国はここまで日本を憎むのか? 地球人
- [02/24] 何故中国はここまで日本を憎むのか? bacation
- [08/26] ドーピング報道のあるべき姿 かず
- [08/20] コンタドールがヴエルタ・エスパーニャを回避!! patrocle
- [08/02] ヤン・ウルリッヒ 引退を発表 nori
- [08/01] ヤン・ウルリッヒ 引退を発表 coba
- [07/31] ランディスの陽性反応を受けてフォナックが解散に!! coba
- [07/26] マイヨジョーヌのラスムッセン夢を果たせず!! coba
- 最近のトラックバック
- お気に入りリンク
- 検索