ツール第8ステージ(3)-ラスムッセン山岳王返上か?
【7月16日 AFP】2007ツール・ド・フランス(2007 Tour de France)、第8ステージ(グランボルナンからティーニュ、165キロメートル)。
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(c)AFP
残り9km。先頭ラスムッセンは登り続ける。その登坂力に衰えは無い。一方、その後ろのモローグループは少しペースが弱まった。一番の注目はこのモローグループ。モロー、バルベルデ、シュレク、カシェチキン、エヴァンス、コンタドール、マヨ。この7人はラスムッセンから4分20秒遅れ、そしてメイン集団の1分前を走行している。どうするヴィノクロフ!
残り7km。モローグループとのタイム差は1分。ヴィノクロフのいるメイン集団はたまらずクレーデンが引き始めた。マイヨジョーヌのゲルデマンが遅れた!クレーデンのペースについていけない。残り4km。クレーデンのペースが速い。モローグループとメイン集団のタイム差が縮まっている。一方先頭ラスムッセンは快調にゴールに向かう。ラスムッセンのペースは落ちない。
クレーデンの引くメイン集団は既に10人ほどに縮小している。ライプハイマーやサストレ、メンショフといった優勝候補たちはこの中でまだヴィノクロフマークに徹している。そして、モローグループ内のコンタドールがパンク!マヴィックカーからホイールを受け取ったようだが、モローグループからは遅れてしまった。
残り3km。メイン集団に戻ったコンタドールは再びアタック!総合2位のクレーデンの引くメイン集団からコンタドールが飛び出した!クレーデンらのメイン集団を見る間に離して行く。すごい!!アルベルト・コンタドールは24歳ながら、すでにプロ5年のキャリアを持ち、今年は2度目のツール参戦。リバティセグロス時代の2005年のツールでは、ステージ優勝こそないが総合31位の実績を持っています。この前年の5月、彼はレース最中に突然倒れ落車、脳内出血を起こします。しかし、これは落車によるものではなく、脳の多孔性血管腫という病気だったのです。一時重体になりましたが、緊急手術の結果、一命を取り留めることができました。6カ月間の療養を経て、翌05年の1月には、豪州で開催されたツアー・ダウン・アンダーで復帰、区間優勝まで果たしています。ランス・アームストロングもそうだったように、重い病を克服した人は、なぜ強くなれるのでしょう。死の淵を見たからなのか、それとも同じ病に苦しむ人たちへのメッセージなのでしょうか?
コンタドールの走りに刺激されたのか、メイン集団からサストレがアタック!これにはヴィノクロフが反応できない!残り2km。ヴィノクロフはサストレについていけない。ヴィノクロフが無線でなにやら話し始める。そして、総合2位のクレーデンがヴィノクロフを待った。やはりエースはヴィノクロフなのだ。クレーデンはヴィノクロフを前に引き上げようとするが、サストレ、メンショフ、コンタドールにも追いつけない。ラスムッセンは最後の1級山岳を楽々と通過。この日だけで60ポイント獲得し、まず山岳賞を確定します。
残り1km。ラスムッセンの後ろではマヨが一人で飛び出している。モロー、エヴァンス、カシェチキン、シュレクはグループのまま。ラスムッセンが最後までスプリントしてゴールに向かう!マイヨジョーヌ獲得のためには1秒も手を抜かない。後続を大きく引き離しているのに、ハンドルから手も離さずにゴール。勿論、ガッツポーズもなし。彼らしいあまりに静かなゴールシーン。逆に裡に秘められたラスムッセンの熱い想いが見えた瞬間でもありました。
メンショフのアシストとして働き、数少ないチャンスを確実にものにして、2年連続の山岳賞を獲得。2005年には総合上位にいながら最後のTTで落車を繰り返し、ポディウムに立つことができなかった悔しさが、この日の走りには勿論、この静かなゴールインにも感じ取れました。
追走集団から飛び出したマヨが2分47秒差の2位でゴール。ツールでのマヨのこんな姿は久しぶりです。彼にはエウスカルテルでのバスクの期待が重すぎたのかもしれません。ドーフィネでランスを破ってから4年が経過しているんですね。
ゴール前のスプリントを征したバルベルデが3分12秒遅れの3位。4位モロー、5位シュレク、6位エヴァンス、7位カシェチキンまでが同タイム。パンクでのロスが響いてコンタドールは3分31秒遅れの8位でゴール。パンクがなければ3位はあったかもしれません。サストレとメンショフは3分35秒遅れ。リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、ディスカバリーチャンネル)はイニーゴ・ランダルーチェ(スペイン、エウスカルテル)とともに4分遅れでゴール。そしてクレーデンとヴィノクロフは4分29秒遅れでゴール。マイヨジョーヌのゲルデマンは5分5秒遅れでゴールしたため、マイヨジョーヌはラスムッセンのものになりました。
このステージを見た限りではアスタナのヴィノクロフとクレーデンの落車の影響が少なくないようです。コロムでラスムッセンをマークし、カシェチキンで最後のアタックを封じにいった作戦は見事でしたが、結局クレーデンが最後まで引きながらも4分29秒の遅れは痛いと思います。TTが得意ではないラスムッセンはともかく、プロローグでも上位に来ていたコンタドールやエヴァンスに1分もの差を付けられたのは誤算のはずです。アスタナはチームとして最高のレース展開をしながら、結局エースの不調でこの結果でした。ケースデパーニュは逃げにアローヨを送り込み、最後にバルベルデが自ら動いて3位に入り、総合でも4位にジャンプアップしています。このレースを見る限りではエースはO・ペレイロではなくバルベルデで来るでしょう。逆にちぐはぐなレースになってしまったのがディスカバリー。コンタドールのパンクやライプハイマーのメカトラブルもありましたが、結局、中途半端な逃げでヒンカピーとパウリーニョを使ってしまい、最後のティーニュの登りでコンタドールをアシストできたのはポポヴィッチ一人。ライプハイマーはヴィノクロフマークで最後まで動けず、サストレにも遅れを取ってしまいました。
今年のツールは最終的に誰がエースで望むのか、最後までわからないかもしれません。それだけ選手間の差がない状況です。ラボバンクがそれでもメンショフに拘るのか?ディスカバリーも明らかに能力上位のコンタドールをライプハイマーのアシストして使うのか?CSCはサストレなのかF・シュレクなのか?アスタナは最後までヴィノクロフに拘り続けるのか?優勝の行方はチームの考え方にかかってくるかもしれません。
休養日を挟んで最後のアルプスはイズランとガリビエという超級を2つ越える159km。ガリビエ山頂からゴールまで40kmもありますが、ステージの行方はガリビエの山頂で絞られるはずです。もう逃げて山頂通過が許されないラスムッセンに対し、他のチームはどう対処してくるのか楽しみです。他チームが積極的に動かなければ、マイヨジョーヌは第13ステージの個人TTまでラスムッセンがキープすることになるでしょう。最後のアルプスはガリビエの下りがポイントになりそうです。ここを勇気をもって果敢に攻めた選手に栄冠が待っているはず。3月のパリ-ニースの最終日に最後の下りを果敢に攻めて逆転で総合優勝を決めたコンタドールに期待したいと思っています。そのためにディスカバリーはチームが結束してガリビエの山頂までコンタドールをしっかりアシストする必要があります。
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登録日:2007年 07月 18日 06:41:05
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