ドーピング問題とスポンサー

T-モバイル ツール・ド・フランスのテレビスポンサーから撤退

【6月10日 AFP】ドイツの携帯電話会社で自転車競技チームを所有するT-モバイル(T-Mobile)は9日、7月7日に開幕するツール・ド・フランス(2007 Tour de France)のドイツ国内放送のスポンサーから撤退する意向であることを明らかにした。
≫続きを読む…
(c)AFP

AFPBB News


 2007ツール・ド・フランス(2007 Tour de France)においてチームのパトリック・シンケウィッツ(Patrik Sinkewitz、ドイツ)から高濃度のテストステロン(testosterone)が検出されたことが明らかになった後、スポンサーからの撤退を検討していたT-モバイルが2010年までのスポンサー継続を発表した。
 T-モバイルは前身のテレコム(Telekom)時代から16年間スポンサーを務めているが、ヤン・ウルリッヒのオペラシオン・プエルト問題以降、テレコム(Telekom)時代のドーピング問題が次つぎと明らかになり、ついにビャルネ・リースが96年のマイヨジョーヌを剥奪される事態にまで発展したことを受けて、2007ツール・ド・フランスのドイツ国内放送のスポンサーから撤退する意向であることを明らかにしていた。
 こうした状況にありながらスポンサー継続を表明したT-モバイルとは対照的に、過去10年で8度のツール・ド・フランス総合優勝という輝かしい成績を残しているテイルウィンド・スポーツがスポンサーを失うことになってしまった。アメリカとヨーロッパの国柄の違いといってしまえばそれまでだが、英雄ランス・アームストロングの力をもってしてもアメリカでスポンサーを見つけることができなかった。
 MLB,NFL,NBA,NHLというメジャースポーツを抱えるアメリカという国にとって自転車ロードレースはあまり魅力的なスポーツとはいえないに違いない。しかし、MLB,NFL,NBA,NHLなどに比べればスポンサーとしての負担は大きくないことは確かである。また、国際的な企業が多いアメリカにとって、全世界を駆け回る自転車ロードレースでの宣伝効果は計り知れないものがある。にもかかわらず、アメリカでのスポンサーが見つからないのである。
 そこには間違いなく自転車ロードレース界が慢性的に抱えているドーピングの問題があったに違いないと推測している。最近のアメリカのTVドラマにもドーピング問題が取上げられることが多くなっている。MLB,NFL,NBA,NHLというメジャースポーツの選手に自転車ロードレース並みのドーピング検査を課したらどのような結果になるかは明らかだ。NFLと選手会は、来季からドーピング検査に関する基準を引き上げることに合意したと発表しているが、内容は持久力のあるエリスロポエチン(EPO)を新たに検査対象に加え、シーズン中に毎週行われる検査の対象の人数が各チーム7人から10人に増やすというものに過ぎないのである。
 裏を返せばNFLでは今までEPOは検査対象にもなっていなかったということであり、全ての選手に試合後のドーピング検査が義務付けられているわけでもないのである。これがアメリカのプロ・スポーツの現状である。WADAのバウンド会長がNFLの選手を見ればほとんどの選手がドーピングをしていると確信するに違いない。アメリカン・フットボールはオリンピック種目ではないためIOCの制約をほとんど受けることはない。従って、その上部組織であるWADAも口出しができないのである。
 そういう意味でも自転車ロードレースの選手はアメリカ国内で最もドーピングに関してクリーンなのかもしれない。しかし、ドーピングに関して鷹揚で曖昧な態度を見せてきたアメリカでも国民の目がドーピングに向き始めている。NFLのドーピング検査に関する基準の引き上げ発表もそうした国民の意向の表れだろう。こうした状況下でアメリカのスポンサーにとってドーピングスキャンダルは致命傷になりかねない状況にあるのである。アメリカのスポンサーは自転車ロードレースに魅力を感じていないわけではなく、UCIの管轄下においてドーピングスキャンダルにまみれることを怖れているだけなのである。UCI(国際自転車競技連盟)がドーピングに揺れるロードレース界にあってスポンサー継続を発表したドイツの2チーム、Tモバイルとミルラムの姿勢を賞賛した理由もそこにあるような気がしている。
 UCIが最も怖れている事態が起きつつある。それはドーピング問題によるスポンサーの撤退である。UCIプロツアーに参加するチームから加入料を取っているUCIにっとて、スポンサー撤退によるテイル・ウインドのような有力チームの解散は痛手に違いない。昨年解散に追い込まれたフォナックとは全く事情が異なるからである。コンタドールのドーピング疑惑が再燃しているもののディスカバリーというチームは比較的ドーピングに関してクリーンなチームである。中にはアメリカの国力を背景に疑惑を逃れているという噂もないではないが・・・世界最大の経済大国のスポンサー撤退はUCIにとって最大の痛手であるに違いない。日本企業がUCIプロツアーチームをスポンサードしていないのもアメリカと同じ理由ではないかと推測している。
 日本でもアメリカでもプロスポーツのドーピングに関する罰則は金銭面に大きくシフトしていて、出場停止期間は概ね数週間から数ケ月程度であることが一般的だ。先日、養毛薬に含まれる成分がドーピング違反で処分を受けたソフトバンク・ホークスのガトームソン投手の場合制裁金は750万円だが、出場停止期間はわずかに20日間である。ちなみにMLBでは1回目の違反で50試合、2回目で100試合の出場停止処分となり、3回目で永久追放となる。それでも、1回目の違反で2年間の出場停止処分を受ける自転車ロードレースとは大きな開きがあることは確かである。一回の違反で有力選手を2年間も欠いてしまってはプロスポーツをスポンサードする企業が現れないのは当然といえば当然である。日本やアメリカのような利益優先の企業ではリスクの方が高いのかもしれない。

カテゴリー[ ドーピング ], コメント[1], トラックバック[0]
登録日:2007年 08月 12日 09:44:30

コメント

>全ての選手に試合後のドーピング検査が義務付けられているわけでもないのである

NFLはFAの権利を持つ選手の中から2万人をランダムで選んで検査する手法をとっており
その数自体は自転車のそれとは比較にならないのではないでしょうか?

またEPO自体持久力を伸ばすドーピングであり、アメリカンフットボールでのその効果は微々たる物などの競技性を踏まえて考察なさっていますか?

>そういう意味でも自転車ロードレースの選手はアメリカ国内で
>最もドーピングに関してクリーンなのかもしれない。

もしかしてこの一文を栄えさせたいだけの理由で他の競技を引き合いに出されたんですか?

この一文はどうなのかな? @ 2008年 07月 07日 17:42:36

コメントを追加

Trackback

この記事に対するトラックバックURL:

カレンダー
< 2007年 08月 >



1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール
nori
(男)
1955年12月15日
新Cycling Fan!!
インターネットFAQ!!
Mobile Life 2008
最近のトラックバック
[11/21] しゃぶりんぴっく!
お気に入りリンク
検索