コンタドールが安定した走りで総合優勝!!

コンタドール 初出場でジロ・デ・イタリアで総合優勝

【6月2日 AFP】第91回ジロ・デ・イタリア(2008 Giro d'Italia)第21ステージ・個人タイムトライアル(チェザーノ・マデルノからミラノ、28.5キロメートル)。
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(c)AFP

AFPBB News


 グランツールの覇者が全員顔を揃えた第91回ジロ・デ・イタリアの最終日はミラノまでの28.5kmの個人TT。

 中盤にスタートした選手たちが好タイムでゴールする中で、後半にスタートした総合争いの上位陣のタイムが全く伸びない。

 本来TTを得意にしているメンショフやブルセギンがTOP10にも入れないという予想外の結果に終わった。

 優勝はイタリアのTTチャンピオンマルコ・ピノッティ(チーム・ハイロード)。2位にも7秒差で同じハイロードのトニー・マルティン(ドイツ)が、さらに4位にもハイロードのブレッドレー・ウィギンズ(イギリス)入ると結果に終わった。

 総合上位陣では唯一マリアローザのアルベルト・コンタドールが39秒差の11位が最高順位だった。

 ブルセギンやメンショフとというTT得意の総合上位陣が次々と遅れてしまったところを見ると、最後のドロミテからスイス・アルプスにかけての山岳コースがいかに厳しかったかが分かる。

 これまでのグランツールの最後の個人TTは総合上位陣の争いになるのが通例だった。ところが今年のジロ・デ・イタリアは最後の山岳ステージが相当に総合上位陣のスタミナを奪ってしまっていたようだ。

 グランツールのように3週間にも及ぶ長いステージレースの個人TTはナショナル選手権などの個人TTとは全くその性格を異にする。

 コンタドールが昨年のツール・ド・フランス以降個人TTが得意と言われるようになっているが、彼の体型を見る限りランス・アームストロングやヤン・ウルリッヒのような選手とは明らかに異なるタイプである。

 コンタドールはワンデイでヨウイドンのTTなら決して上位に食い込むことは多分できないはずだ。グランツール後半の個人TTは単に絶対的なスピードだけでは勝てないレースなのである。

 3週間に及ぶステージレースは確実に選手個々の体力を確実に奪ってゆくからである。各国のTTチャンピオンが最後の個人TTではどうしても遅れてしまうのはそのためだ。

 昨年のツール・ド・フランスではロンドンのプロローグを圧倒的なスピードで後続を千切ったカンチェラーラが最後の個人TTではライプハイマーやエヴァンス、コンタドールにも遅れを見せるのがグランツール終盤の個人TTの特徴といえる。

 ところが今年のジロ・デ・イタリアは後半の山岳ステージがあまりにも厳し過ぎたたため、総合優勝争いを繰り広げた選手たちの疲労はピークに達していたのだろう。その結果、最後の山岳をグルペットで体力の温存が可能だった選手たちが一機に台頭したと私は見ている。

 従ってコンタドールは決してTTが得意な選手だとは今でも考えてはいない。山岳のスペシャリストの中ではTTを苦手にはしていない選手のひとりに過ぎないはず。

 ただ、彼の最大の特徴は若さに似合わずクレバーでステージレースでのペース配分が非常に上手いという点だ。

 今年のジロ・デ・イタリアを振り返ってみてもコンタドールが山岳で積極的に動くことは一度もなかったと記憶している。

 それがリッコとのタイム差がわずか4秒にまで詰まってからも同じであった。仮にこの差が1秒であっても、仮にタイム差を逆に1分程度付けられ、マリアローザを一度手放していたとしても、コンタドールは慌てることはなかったと推測している。

 多分、ヨハン・ブリュイネールの指導が大きいと思っているが、晩年のランス・アームストロングはアシストの負担を軽くするために、意図的にマイヨジョーヌを手放すことが度々あった。これもヨハン・ブリュイネールの指示によるものと私は考えている。

 ディルーカのように一機に勝負に出る選手も魅力的だが、一発勝負で総合優勝を手にするのは3週間のグランツールでは非常に難しい。

 それができる選手は全盛期のマルコ・パンターニやランス・アームストロングくらいなものだろう。今のコンタドールはまだまだ完成途上で、ひとつの登りゴールで相手に大差をつけるだけの力はまだない。

 それを知り尽くしているブリュイネールはコンタドールにグランツール全体を俯瞰してトータルのタイム差の範囲で走りをコントロールする術をコンタドールに教え込んでいると私は推測している。

 だからこそディスカバリーの解散の後、コンタドールは移籍先としてブリュイネールのいるアスタナを選んだはず。本来なら地元スペインのケースデパーニュ辺りに移籍してもよかったはずである。移籍金も年俸もそちらの方が良かったに違いない。

 ランス・アームストロングのツール・ド・フランス7連覇という偉業もブリュイネールという名匠がいてこそ可能だったと私は考えている。ブリュイネールとの出会いがなければランスのツール・ド・フランスの連勝は4程度終わっていたに違いない。

 過去9年でツール・ド・フランス8勝という快挙はブリュイネールの頭脳の賜物といえるだろう。

 今年のジロ・デ・イタリアは急遽参戦が決まりチームとしての準備がほとんどできていなかったはずだ。それはライプハイマーの不調やクレーデンのリタイヤを見ても明らかだろう。コンタドールにしても体調万全で臨んだとはとうてい思えない。

 ブリュイネール自信にとってジロ・デ・イタリアの優勝は2005年のサヴォルデッリ以来の2勝目となったわけだが、今年のジロ・デ・イタリアは彼のキャリアの中でも難しいレースだったに違いない。

 ブリュイネールはアスタナのGMであり、直接監督車から指示を出す立場にはないが、彼の意向は確実にチームに伝わっていたはずだ。

 さすがだと思ったのは第19ステージでLPR勢の思わぬ下りでの奇襲があり、総合のタイム差が一機に詰まってしまった後の対応である。

 ライプハイマーで不調でクレーデンに大きな負担がかかってしまった。その結果が第20ステージのガビア峠でのクレーデンのリタイヤに繋がったと見ている。

 そしてアスタナが最も怖れたのは第20ステージで再びLPRの下りでの仕掛けだったはず。そこでアスタナはアシストの中で最も調子の良かったコロムの逃げを選択した。

 結局LPRには下りで再度仕掛けるだけの余力は残っておらず、ディルーカは大きく遅れることになったが、モルティローロの下りでコンタドールに合流したコロムはリッコにプレッシャーをかけることには成功している。

 セッラやシモーニが最後に動いた時にリッコが動かなかったのは、コロムの存在があったからだと私は推測している。ピエポリを怪我で欠いたリッコは単独走行を強いられていた。そこに4秒差とはいえアスタナが二人になった状況では、リッコが動けばコロムがマークに入ることは明らかな情況だった。

 翌日のTTを考えれば、それでもリッコは動くべきだったと私は考えている。万が一にも個人TTでコンタドールに勝つことは不可能な状況なら、一か八かの賭けに出るのが追う立場の選手の使命だろう。

 ディルーカはその賭けに出て敗れはしたが、リッコが本気でマリアローザを狙っていたのならセッラのアタックに反応するべきだったと私は思っている。ディルーカには総合2位も着外も同じだった。彼はあくまでも総合優勝を狙って前日の賭けに出た。対するリッコはあくまでも表彰台に拘った結果、何もできないまま終わってしまった。

 今回のジロ・デ・イタリアは若いリッコには学ぶべきことが数多くあったと思っている。ピエポリが無事なら総合優勝も夢ではなかったはずなのだ。

 昨年のツール・ド・フランスも最後の最後でマイヨジョーヌのラスムッセンが去り、繰上げでマイヨジョーヌを手にしたコンタドールだが、今回のジロ・デ・イタリアもピエポリの怪我がコンタドールに幸運をもたらした。

 運も実力のうちだが、一度は死をも覚悟しなければならなかった大病を克服したコンタドールには今勝利の女神が取り付いているのではないかと思いたくなる。

 開幕直前まで参加することさえ、考えていなかったジロ・デ・イタリアでマリアローザを獲得してしまったのだから・・・

 これで未だアスタナのツール・ド・フランス参戦を拒否しているASOに対する風当たりが益々強くなるだろう。

 昨年の3大ツールの覇者が顔を揃えた今年のジロ・デ・イタリアはツール・ド・フランスの覇者に凱歌があがった。加えて12年振りにイタリア人以外から優勝者が出た。

 さらに今年はコンチネンタルプロチームの活躍も異常なほどに目立っていた。おそらく全ステージの半分以上がコンチネンタルプロが勝っているはずだ。3大ツールの主催者がそろってUCIから離脱をし、UCIのプロツール制度がほとんど機能しなくなっていることを如術に実証したことになる。

 有力選手はこの後、ツール・ド・スイスやドーフィネリベレなどをステップにしてツール・ド・フランスを目指すことになる。

 ガゼッタは急遽アスタナを参戦させたことでツール・ド・フランスのチャンピオンが最も強かったことを証明してしまうことになった。しかし、ガゼッタの行動は間違ってはいなかった。過ちを正すのに遅すぎるということはないのだから、ASOもアスタナの参戦を認めるべきだと思っている。

 ASOへは抗議のメールを送ってみようと思っている。最後にこの過酷なジロ・デ・イタリアをを完走した選手たちには「お疲れ様」と「ありがとう」というメッセージを送りたい。

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登録日:2008年 06月 04日 17:03:43

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