2006年 05月 23日
「アロンソ、母国GP初優勝」で一句
【モンメロー/スペイン 14日 AFP】F1第6戦・スペインGP(Spanish Grand Prix)・決勝。3番グリッドからスタートしたフェラーリ(Ferrari)のミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)は、順位を1つ上げるもタイムが伸びず2位でレースを終え3連勝を逃した。(c)AFP/DAMIEN MEYER
アロンソも 待ちくたびれの 母国WIN
[解説]
最近のGPシーンにおける楽しみのひとつ。それがアロンソのウィニングポーズ。
「エヘン!イバリ!」とか「お耳ピロピロ〜」とか。
今時の表現で言えば「エロかっこいい」ならぬ「ヘンかわいい」。
彼の妙なお茶目さは、歴代のチャンピオンたちには絶対見られなかったもの。彼らしい若々しさと奔放さを感じさせて好きです。
しかし、前回のスペインGPでのポーズ。あれは一体何だったのでしょうか?
まるで老人のように腰を落として、腕を背中に回そうとするチンパンジーようにカラダを左右に揺する姿。私は「ひいひい。重かったよ〜母国優勝のプレッシャー」のポーズだと勝手に解釈しましたが、さて、そのココロやいかに…。
[雑感]
◆アロンソは、早いのか?遅いのか?
スピードの話ではなく、母国優勝に関しての話です。
彼のデビューイヤーは2001年ですから、今年で6年目。これは、母国優勝記録としては、あまり早いとは言えません。ワールドチャンピオン最年少記録更新という快挙もあり、とんとん拍子に成功した印象のあるアロンソですが、実は意外と苦労人なのです。弱冠19才でミナルディからデビューしたものの、翌年にはルノーへ移籍。まるまる一年間テストドライバーとして下積みを経験します。そんな回り道が母国優勝の記録にも影響しています。
◆母国優勝は難しい?
母国優勝は、ドライバーにとって難しい事なのでしょうか?テレビの解説では、よくジンクスのように語られます。でも、それはアイルトン・セナ以降という気がします。卓越した才能を持つ天才ドライバー・セナが何故か母国ブラジルでは勝てず、優勝を勝ち取るまでに8年もかかった。その印象が強すぎたせいではないでしょうか。
◆1991年 ブラジルGP
小雨降るインテルラゴス。ついに念願の母国優勝を成し遂げたセナ。チェッカーフラッグを受けた直後、嬌声とも絶叫とも言えない彼の叫びがマイクから届きました。コース上に止まったMP4/6の中で、泣きじゃくる姿が延々と画面に映し出され、全世界にその感動を伝えたのです。
◆ジンクスにしたい人々
あの時の夢よ、もう一度。そう願う人たちが、なかなか母国で勝てないドライバーを捕まえては、無理矢理ジンクスとして語ろうとする節がなきにしも…。ところが今年のアロンソは、千載一遇の感動シーンでこともあろうにエッサッサーダンスを披露。F1ロマンチストたちの期待を木っ端微塵に打ち砕いてくれました。
◆他のドライバーはどうだったのか?
セナ以前のトップドライバーたちの記録を見てみると、みんな比較的簡単にデビュー間もない時期に、母国優勝を成し遂げています。
セナの宿敵とされたアラン・プロストはデビュー2年目。しかもGP初優勝。セナの憧れでもあったジル・ヴィルヌーブもデビュー2年目、78年に母国カナダで初優勝を上げています。また、アロンソが破るまで最年少チャンピオン記録保持者だったエマーソン・フィッティパルディは、デビュー3年目に、しかも母国ブラジルでの初開催という晴れの舞台でしっかり優勝。これまたスゴイ記録です。
◆母国で強いドライバー
母国でなかなか勝てないドライバーもいれば、母国でガンガン強さを発揮するドライバーもいます。ナイジェル・マンセルは、その典型的なドライバー。
大器晩成型だったマンセルは、デビュー5年目の85年、母国ブランズハッチで記録的に遅いGP初優勝を遂げます。それ以後、めきめき頭角を現し、母国優勝も5回達成します。特に1986年から1992年の7年間、毎年、イギリスGPでファステストラップを記録し続けました。「速さでは、誰にも負けない」そんな意地とプライドをコース上で見せる姿が「大英帝国の息子」として母国ファンに愛されたのでしょう。
◆1988年 イギリスGP
この年、最強だったホンダエンジンを失ったマンセルは、非力なジャッドエンジンを駆って毎戦のようにリタイヤを繰り返していました。ノーポイントで迎えた母国イギリスGP。高速サーキットのシルバーストーンは雨。言う事を聞かないリアクティブサスペンションを捨て、マンセルは自分らしい走りを取り戻します。予選11位から水煙を蹴立てて、コース幅いっぱいを使い縦横無尽に前走車をパスして行きました。結果、優勝こそ逃したものの、セナに次ぐ2位表彰台。それは単に運の良さではない、マンセル自身が持つポテンシャルの凄さを世に知らしめたレースでした。
◆近年のドライバーたち
ミハエル・シューマッハもまた「母国で勝てない」ジンクスで語られた一人です。
難コースとして知られるスパ・フランコルシャンで鮮烈なデビューを飾り、直後にチームを電撃移籍するなど、アロンソよりもはるかに駆け足で栄光の階段を上り詰めたシューマッハ。彼もまた、母国優勝までに6年もの歳月をかけています。
ところが現代では、彼よりもっと「母国で勝てない」ドライバーたちがいます。年間18〜19戦も行われていながら、キミ・ライコネンやファン・パブロ・モントーヤたちの母国フィンランドやコロンビアではGP自体が開かれる可能性がありません。そう考えると母国優勝に特別な意味を持たせようとする事自体、無意味に思えてきます。
◆これからのアロンソ
何はともあれ、これからアロンソは、母国でも母国以外でも次々と優勝を重ねていく事でしょう。勝つ事がまるで当然のように。それは、彼の勝ち方を見れば明らかです。
スムーズでミスの少ないアラン・プロストのようなクレバーさと、アグレッシブな走りを持続させるマンセルのようなタフネスさを兼ね備えた走り。それをあのM・シューマッハ相手に見せてくれるグレートなアロンソ。
次は、彼がシューマッハの打ち立てた記録をどれだけ破っていくのか。
そして、彼がどれだけ変なポーズを見せてくれるか。
それが、これからのGPの楽しみです。
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登録日:2006年 05月 23日 01:53:42
- プロフィール
- 斎藤モ吉
- (男)
- 福岡の片田舎でデザイナー兼ライター営業中。F1にハマったきっかけは、仕事関係で見始めた1987年のドイツGP。プロストとピケの麗しい姿に感動。
好きなレーサーは、ジル・ヴィルヌーブとアイルトン・セナ。好きなF1マシンはフェラーリ312T4。好きなF1マンガは『赤いペガサス』。好きなF1映画は『グランプリ』。好きな言葉はジル・ヴィルヌーブの『来年がやってくるってどうして言えるんだい? 』
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