2006年 10月 08日
「タイヤ交換で足をとられたアロンソ」で一句
<F1・第16戦 中国GP>アロンソ 総合ポイントでM・シューマッハに並ばれる - 中国
【上海/中国 1日 AFP】F1・第16戦・中国GP(Chinese Grand Prix)、決勝。
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(c)AFP/Peter PARKS
泣きっ面に 割れたシャンパン 嫌な予感
[解説]
こういう時、ちょっとした出来事が気にかかるものです。
中国GPでの表彰台。ボトルに残ったシャンパンを表彰台下で待つチームスタッフへ渡そうとした場面で、ミハエルのボトルはフェラーリスタッフの腕の中へ受け止められましたが、アロンソのボトルはルノースタッフの腕をすり抜けて地面へ……関係者の笑顔が一気にひきつる不吉なシーンでした。
「前輪だけタイヤ交換」したためにマシンバランスを崩し、勝てるレースを失ったアロンソ。八つ当たり気味に「チームの中にオレの足を引っ張るヤツがいる」とコメントしたそうですが、何もかも人の責任にするのはどうかと思います。
割れたシャンパンは元に戻りません。でも、スタッフとの信頼度は取り戻せます。優勝へ向けてチーム一丸となる気持ちが、いま一番大切ではないでしょうか。
[雑感]
しかし、アロンソだけでなく、今回の中国GPでは、クビサや左近など若い選手たちは一様にタイヤ交換の難しさを学んだレースとなりました。特に前回の活躍でちょっと有頂天になったクビサ。この苦い経験をぜひ、次のレースに生かす事を期待します。怒りにまかせた荒っぽいピットインで膝をひっかけたチームスタッフに、クビサは謝ったのでしょうか?タイヤ交換が終わり、車が出て行くまで痛みをこらえたあの右フロント担当は、素晴らしいプロ根性の持ち主でした。クビサは、色々な点を猛省すべきでしょう。
◆1993年 第2戦 ブラジルGP
雨といえば、セナ。雨のレースにトラウマのあるアラン・プロストが、途端に生彩を失うのと対照的にセナは雨が降り出すとますます走りにキレを見せました。
特にこの93年のブラジルGPは、セナが物理的に圧倒的不利な立場を《ドライ>レイン》《レイン>ドライ》のタイヤ交換のタイミングだけで大逆転してみせた奇跡のレースとして記憶に残ります。
◆1993年 第3戦 ヨーロッパGP
続く第3戦、雨のドニントンパーク・サーキットを舞台にしたヨーロッパGPもまた、セナが雨の味方につけ奇跡を呼び込んだレースとして、有名です。
特に4番グリッドから出遅れ、いったん5位に落ちた後から、ベンドリンガー、シューマッハ、ヒル、プロストを見る間に抜き去り1位に躍り出た奇跡のオープニングラップばかりで語られますが、実はこの後、セナのタイヤ交換の妙があってこそ初めて成り立っているお話なのです。
実はこの後、《レイン>ドライ》へのタイヤ交換でマクラーレンはミスを犯し、セナはプロストにトップを譲ってしまいます。しかし、プロストが《ドライ>レイン》へと替える時期を焦ったばかりにせっかく築いたリードを失ってしまいます。結局、プロストはずるずる合計7回ものピットインを繰り返し、同僚ヒルにまで周回遅れにされる大失態を演じてしまいます。
このレースによって、プロストは栄誉や信頼など多くを失い、ついにシーズン終了までそれを回復できなかったように思います。ウィリアムズとの複数年契約を破棄し、引退を早めたきっかけと言われるレースです。
◆1992年 第12戦 ベルギーGP
しかし、そんなセナも完全にタイヤ交換を失敗した事もあります。それがこの92年のスパ・フランコルシャンです。
圧倒的なウィリアムズFW14B&マンセルにダブルタイトルを前戦ハンガリーで決定された直後。せめて、得意とするスパで一矢報いたいという焦りでしょうか。セナは激しい雨の中をドライタイヤで走り続ける賭けに出ますが、完全にタイミングを逸し順位を落としてしまいます。
このレースを見事に勝ち抜いたのが、若きミハエル・シューマッハ。実にデビュー一年後の初優勝でした。
ミスでコースオフし、同僚のマーティン・ブランドルを先行させます。その時にブランドルの履くレインタイヤにブリスターが出来つつあるのを目ざとく見つけ、ベストのタイミングでドライタイヤへ履き替えた事が勝機を呼び込みました。ワールド・チャンピオンを決めたウィリアムズ・ルノー&マンセル(トラブルを抱えていたとも言われますが)を相手に非力なフォードV8で勝ち取った堂々たる勝利。ミハエルの才能に疑問を持っていた多くの人々も次世代のチャンピオン候補が誰なのかを認めざるを得ない、まさに世代交代を印象づけたレースでした。
◆アロンソやライコネンが学ぶべき遺産
ミハエルは、すでに今年限りの引退を表明しています。しかし、その引退はアラン・プロストの時よりも「惜しい」余力を多く残した決断です。
アロンソやライコネンは、時に挑発的な発言でミハエルを口撃していますが、確かに純粋な速さでは彼を凌駕しつつあるかもしれません。しかし、年間を通じたレース戦略やチームを奮起させ統率するほどのカリスマ性という点ではまだまだミハエルに及びません。
実地訓練となるレースも残り2戦。アロンソもライコネンも、そして新人のクビサもミハエルの仕事ぶりから「真の帝王学」をもっと真摯に学んでほしいなあと思います。
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登録日:2006年 10月 08日 02:50:22
- プロフィール
- 斎藤モ吉
- (男)
- 福岡の片田舎でデザイナー兼ライター営業中。F1にハマったきっかけは、仕事関係で見始めた1987年のドイツGP。プロストとピケの麗しい姿に感動。
好きなレーサーは、ジル・ヴィルヌーブとアイルトン・セナ。好きなF1マシンはフェラーリ312T4。好きなF1マンガは『赤いペガサス』。好きなF1映画は『グランプリ』。好きな言葉はジル・ヴィルヌーブの『来年がやってくるってどうして言えるんだい? 』
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