2006年 10月 22日
「ミハエルついにラストラン」で一句
<F1・第18戦 ブラジルGP>マッサ 地元GPで今季3度目のポールポジションを獲得 - ブラジル
【サンパウロ/ブラジル 21日 AFP】F1・第18戦(最終戦)・ブラジルGP(Brazilian Grand Prix)、公式予選。フェラーリ(Ferrari)のフェリペ・マッサ(Felipe Massa)は、ベストラップ1分10秒680をマークし、鈴鹿に続いて2戦連続、今季3度目となるポールポジションを獲得した。(c)AFP/ANTONIO SCORZA
終わる夢 残る寂寞 滲む赤
[解説]
1991年スパ・フランコルシャンでミハエル・シューマッハが衝撃デビューをして、はや16年。思えば随分長い年月が経ったように思う。しかし、まだその走りには他の追随を許さないものがあり、鉄人リカルド・パトレーゼの記録を抜いて、まだF1界に君臨し続けられる余力を残しながらの引退。
フェラーリ上層部、特にルカ・ディ・モンテゼモーロとの確執があった、などというキナ臭い噂話も漏れ聞こえるが、「楽しいから走る」という彼のレーサーである原初的動機より守るべきものが多くなってきたというのが一番の理由ではないかと思う。
とにかく、今日は私たちがミハエルの走りをリアルタイムで目にできる最後の日。チャンピオンシップの結果はどうあれ、彼の走り様をじっくり楽しもうと思う。
[雑感]
チャンピオンになれるレーサーとは?
その問いに簡単に答えるなら、他のレーサーにないものを持っているレーサーと言える。ミハエルは、デビュー当初からその点ではくっきりと他との違いが際だった存在であった。そんな彼のデビュー間もない頃の状況を振り返る。
◆生意気発言
「3度も世界チャンピオンをとった人間の行動と思えない」
明らかにトラブルを抱えたマシンで後続を執拗にブロックし続けたアイルトン・セナを激しく批難したミハエル。まだ勝った経験のない新人レーサーによるこの発言は当然、まわりの反感を買い、「生意気な新人」というレッテルが貼られた。
◆マンセルの印象
「シューマッハのせいで110%の力を出してドライブしなければならない」
最強マシンのウィリアムズルノーを駆るナイジェル・マンセルの目から見ても、気がつけば表彰台の隣に必ず立っているこの若者は驚異と映っていた。
ところが当のミハエルはマンセルの走りを「バカ」呼ばわりしていた。
◆テスト好き
いろいろ類似点のあるミハエルとセナ。そんな彼らの一番違う点は、テストへの積極性。シーズンオフは、休養にしっかり充てるセナと違って、ミハエルはマシン開発チームに協力し、テストドライブにも精力的に参加する。それはデビュー当時から一環していた。ベネトン移籍後初のシーズンオフでも、新レースエンジニアとなったパット・シモンズ(現ルノー・エグゼクティブエンジニアリングディレクター)と協力して、データに基づいたマシンと走りの開発を進めた。それが1992年シーズン開幕からの大躍進となって現れた。このチームとの密接な関わり合いは、ベネトンからフェラーリへと移籍した後もミハエル独自のスタイルとして続けられている。
◆フィットネス好き
個人マネージャーであるウィリー・ウェバー。ミハエルのフィットネスメニューに1週間つきあってのコメント。
「あれは休日なんてもんじゃなかった。ほとんど死にそうだったよ」
◆ベネトンでの給料
契約金/30万ドイツマルク(当時約2500万円)
ポイントボーナス/1ポイントごとに5000ドル(当時約65万円)
表彰台ボーナス/2〜3位獲得時1万5000ドル(当時約200万円)
優勝ボーナス/5万ドル(当時約650万円)
ちなみにこの年のミハエルの成績は、
《優勝1回》+《2〜3位7回》+《獲得ポイント53ポイント》なので42万ドル(当時約5460万円)つまり、ボーナスだけで契約金の倍以上稼いだ計算になる。
ただし、この中から年間6万ドイツマルク(当時約480万円)の保険金と20%のマネージャー料が少なくとも差し引かれる。
それでもフェラーリとの契約金だけで50億とも言われる現在とは隔世の感がある。
◆同僚マーティン・ブランドルの感想
「ミハエルは、当時のステファン・ベロフ(伝説の84年雨のモナコでセナに肉迫していたドイツの有望新人。翌年スパのレース事故で死亡)と比較してもずっとプロフェッショナルだね。当時23歳だったセナと比べてもミハエルの方がより完成されているとさえ言える」
◆デビューレース裏話
デビュー初レースは、難コースとして有名なスパ。ジョーダンのチームミーティングでベテランのアンドレア・デ・チェザリスがバスストップシケインにあるバンプでマシンが「ナーバスな動き」をする事を問題視していた。そこでミハエルにも同じ箇所の印象を尋ねたら、
「僕は最初のバンプを5速で入り、途中で6速に上げて、それから左足でブレーキングした。マシンは次のコーナーへ落ち着いた挙動を見せたよ」と事も無げに言った。
チェザリスは、そんな方法があることすら知らなかった。バンプでマシンが挙動がナーバスになるのは自然な事であり、その解決策はドライバー自身の技量でカバーする事がミハエルにとっては至極当たり前な事だったのだ。
恐らくこの辺がチャンピオンになれるレーサーとそうでないレーサーとの違い?
<参考>
F1グランプリ特集 Vol.63 マイケル・シュミット取材記事
クリストファー・ヒルトン著 だれも知らなかったアイルトン・セナ 5年目の真実
カテゴリー[ F1・ミハエル・シューマッハ ], コメント[2], トラックバック[2]
登録日:2006年 10月 22日 11:50:43
- プロフィール
- 斎藤モ吉
- (男)
- 福岡の片田舎でデザイナー兼ライター営業中。F1にハマったきっかけは、仕事関係で見始めた1987年のドイツGP。プロストとピケの麗しい姿に感動。
好きなレーサーは、ジル・ヴィルヌーブとアイルトン・セナ。好きなF1マシンはフェラーリ312T4。好きなF1マンガは『赤いペガサス』。好きなF1映画は『グランプリ』。好きな言葉はジル・ヴィルヌーブの『来年がやってくるってどうして言えるんだい? 』
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