2007年 02月 26日
「前人未踏の『フル・ネルソン』ゲーム」で一句
<06 GP2・第9大会第16戦>ピケが完璧な走りで優勝 - ハンガリー
【ブタペスト/ハンガリー 5日】06年GP2シリーズ・ラウンド9(2006 GP2 Series Round9 Hungaroring)の第1レース(第16戦)がハンガリー・ブタペストのハンガロリンクで行なわれ、ネルソン・ピケJr(Nelson Piquet Jr、Piquet)がポールポジションから優勝した。
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来る果報 寝て待つタイプ? ネルシーニョ
[解説]
2005年はニコ・ロズベルグに。そして、2006年はルイス・ハミルトンに。2年連続してGP2では「やられキャラ」を演じるハメになってしまった《ネルシーニョ》ことネルソン・ピケJr.。
巷では「才能ねえんじゃね?」とか「弱いよね?」みたいに言われてるみたいですが…。たしかにF1経験のあるティモ・グロックやジョルジョ・パンターノの後ろで押しの弱さをカンジさせる場面が何度かありました。
ピケ父ことネルソン・ピケ・シニアは、ネルシーニョのレースに関しては常に厳しく、「ハングリー精神」を鍛えるために私生活でも絶対甘やかすような事はしない(ピケ・スポーツの存在自体が十分《大アマ》だと思うんですけど…)らしいのですが、んな親の思いを知ってか知らずか…ここイチバンで「待つ」カンジがあるネルシーニョ。かつてのブラバム時代のコネクションが幅を利かせているF1界ですが、ピケ父にもここから先はどうしてやりようもない「弱肉強食の世界」。どうする?ピケJr.!
[雑感]
ハミルトンが、第6戦イギリスと第10戦トルコで劇的な「メイク・ドラマ」レースを1人で脚色・演出・主演してしまいましたが、その間の第7戦フランス、第8戦ドイツ、第9戦ハンガリーではどんなドラマが起きていたのでしょう?ご本人による詳しい話↓を読めば分かる事ですが、
http://www.actiblog.com/piquet/
その間のネルシーニョの奮闘ぶりをビデオを見ながらザッと振り返ります。
◆表彰台に届かなかったマニクール・レース1
前戦モナコでの敗戦でトップのハミルトンとのポイント差が22点となったネルシーニョ。予選5番手と振るわず、4番グリッドハミルトンの後ろ。弱冠出遅れ気味のスタートでしかも前を行くハミルトンがアデレード・ヘアピンでキャロルに軽く追突したあおりを食い、9位まで下がってしまいます。
中団グループの膠着状態から抜け出すために7周目に早めのピットイン。それが功を奏し、14位からみるみる追い上げ、途中プレマに最終シケイン区間で押し出されたりしながらも29周目には3位表彰台圏までポジションアップします。
しかし、長時間使用でタレてきたタイヤでコーナーを踏みとどまれず、残り3周という場面でロペスにパスされ4位フィニッシュ。優勝はグロック。追突でハンドリング不調に陥ったハミルトンがはるか後方、周回遅れの19位に終わったのが救いでした。
◆優勝に届かなかったマニクール・レース2
リバースグリッド5番手スタートのネルシーニョは、巧みなドライビングで1周終了時点で3位までポジションアップ。一方、ポールスタートのディ・グラッシは3周目にアデレードヘアピンでパンターノに抜かれ2位となります。そして6周目、今度はネルシーニョとディ・グラッシの間で激しい2位攻防戦が各コーナーごとで繰り広げられます。次の7周目、最終シケイン区間で見事ディ・グラッシをパスしたネルシーニョは次にトップを行くパンターノを目指し追い上げます。
10周目、パンターノの背後につけたネルシーニョ。しかし、そこからなかなかプレッシャーをかけきれません。延々と周回を重ねるしかない焦りからか180°ヘアピンで2度も大回りするミスを重ね、0.5秒差で2位フィニッシュに終わります。表彰台に昇ったネルシーニョですが、レース1〜2ともあと一歩上のリザルトを取り損ねたため、表情は冴えませんでした。しかもハミルトンは、19位から驚異の追い上げで5位フィニッシュ。ネルシーニョとの差をなかなか詰めさせてくれません。
◆ホッケンハイムの悪夢
2番グリッドスタートのネルシーニョは、トップのブルーニを抜けず、しかも後方からフェイントを仕掛けられたグロックにまんまとパスされてしまいます。仕切り直しのタイヤ交換をするためにピットイン。ところがこの時、ピットレーンの60Km/h速度制限を違反したために再度、ピットスルーペナルティーを受けるハメに。やっと復帰した時には7位までポジションダウンしていました。
27周目には、キャロルとホイール・トゥー・ホイールの激戦を制して5位。
34周目には、パンターノを攻略して4位。そして、残り3周で3位のグロックを攻めます。
しかし、最終周グロックに突っ込みかけて挙動を乱します。その途端にマシンが加速不能状態となりスローダウン。最終コーナーを曲がりきれないまま芝生の上にストップ。ゴールまで残り数100メートルを残してリタイア、ノーポイントに終わります。ハミルトンは2位。ここでまた、ポイント差が開いてしまいました。
しかし、ホッケンハイムでのネルシーニョの悪夢はこれに終わりませんでした。
翌日のレース2。フォーメーションラップでスタートできなかったネルシーニョ。ピットスタートしようにもトラブルが解決せず、そのまま1周も走ることなくリタイア。レース1〜2ともにノーポイント。一方のハミルトンは7位からまたも3位表彰台。ポイントを重ねます。
◆背水のハンガロリンク
予選中のスピンでマンを壊したハミルトンは結局、タイム計測できず最後尾スタート。方、24ポイント差まで広がって後がないネルシーニョは、予選からフリープラクティスまで一番時計を叩き出し続けポールポジションスタート。必勝の構えです。
スタートでもネルシーニョは抜群の加速を見せ、トップで1コーナーを抜けそのままぐんぐん後続を引き離しにかかります。一方のハミルトンは狭いコース幅と前を行く遅い車に阻まれ、いつものオーバーテイクショーを見せられません。業を煮やし2周目にタイヤ交換に入ります。ところが今度はハミルトンがピットレーン速度違反を犯し、ピットスルーペナルティーで逆にハンディを背負うハメになってしまいます。悪戦苦闘を続けるものの10位フィニッシュがやっとでした。
そんなハミルトンを尻目にトップを快走するネルシーニョは、19周目に悠々とピットインを済ませ、トップのままコースに復帰。圧勝過ぎて画面に写る回数が少なかった事くらいが不満でしょうか。2位グロックに約33秒もの大差をつけ優勝。F1初開催の86年、父ネルソンが初代ウィナーとなったここハンガロリンクで待ち遠しかったシーズン2勝目を挙げたネルシーニョでした。
◆水煙の果てに
翌日のレース2は、朝から激しい雨が降り続くフルウェット・コンディション。ハンガロリンク22年の歴史で初の雨天開催。しかもGP2今シーズン初めてのウェットレースでした。
8位スタートのネルシーニョ。彼の真後ろにはハミルトンがいました。
スターティング・グリッドは[1番ロペス[2番キャロル[3番プレマ[4番ネグラオ[5番ヴィソ[6番パンターノ[7番グロック[8番ネルシーニョ[9番ピレラ[10番ハミルトンでした。
異例のセーフティーカー先導でレース周回が始まります。あまり雨脚が弱くなったとも思えないまま4周目から本格的にレース開始。水煙を上げホームストレートを駆け抜けるマシン、案の定1コーナーでは次々とマシンがコースアウトしていきました。そしてトップを行くロペスまでが3コーナー手前の短いストレート上でスピン、ガードレールに接触リタイアとなります。
http://www.youtube.com/watch?v=X6pVILwJkxU
↑ハンガロリンクのレース2。加速スタート直後の模様です。よくあるテレビ録画をダビングしたモノでなく珍しいナマ撮り映像。ターン14(最終コーナー)前の客席から撮られたものと思われます。ターン11から目の前ターン14までを数回に区切ってぎこちなくパンしています。その素人臭さが妙に臨場感を感じさせます。
◆消えていくライバルたち
5ラップ終了時点の順位は1位キャロル-2位ネグラオ-3位プレマ-4位ネルシーニョ-5位ハミルトン6周目、今度はネルシーニョ同僚ネグラオが1コーナーでブレーキングミスしてコースアウト。激しくタイヤバリアに突っ込みリタイアします。その事故に一瞬ひるんだプレマの隙を突きネルシーニョが2位へアップします。そして7周目、先頭を行くキャロルが9コーナーの立ち上がりで単独スピン。ガードレールにノーズから突っ込んでしまいます。ネルシーニョは労せずいつのまにかトップに立っていました。
◆レイニー・サイドウェイ・ネルシーニョ
雨は、小康状態どころか時に激しさを増し、各所でスピンしたり、コースアウトするマシンが絶えませんでした。そんな中をネルシーニョは、コーナー出口でテールスライドするマシンにカウンターを当てながら立て直し1分51秒台の最速ラップを叩き出します。その豪快かつ繊細なスロットル&ハンドリングワークは往年のジル・ヴィルヌーブや《サイドウェイ》ロニー・ピーターソンを彷彿とさせるものがありました。雨のレースに滅法強いネルシーニョのドライビング・テクニックは、かなりハイレベルにある事を伺わせました。
◆フル・ネルソン
本来28周を戦うはずだったレース2は、45分制限のレースに切り替わります。そして、完走15台となった大荒れのレース2をネルシーニョは、2位ハミルトンにも約13秒の差をつけて圧勝。最終的には木曜日から始まるすべてのセッション&レースでトップタイムを記録したネルシーニョ。この誰ひとり手が出せなかったハンガロリンクでの週末をレスリングの《羽交い締め》状態に引っかけて誰かが『フル・ネルソン』と名付けました。実に上手いネーミングです。ここで11ポイント差まで詰めより、残り2戦4レースにチャンピオンシップ獲得の望みを繋ぎます。しかし、結果は…。
◆ネルシーニョの強さと弱さ
ハンガロリンクでは、ネルシーニョの強い面が如実に現れたレースでした。美しく華麗で完璧、まさに彼が望むレースそのものでした。しかし、その完璧さを求めるレーススタイルがシルバーストーンやイスタンブールでは、逆にネルシーニョの弱さとしてここ一番という時に足を引っ張ったような気がします。それは父ネルソンから受け継がれた欠点なのではないかと思います。
かつてのネルソン・ピケも「勝てる」時には流麗なハンドルさばきと絶妙な駆け引きでレースを支配しました。そんな時には、アラン・プロストですら手が届きませんでした。その反対に「勝てない」と判断したレースでは途端に気の抜けたようなレースに終始し、適当にポイントを取ってレースを終わらせます。それでもこまめに拾ったポイントでアラン・ジョーンズやニキ・ラウダ、プロスト、マンセルを相手に3度もチャンピオンシップの頂点に登り詰めたのです。そんな血統が息子ネルシーニョにも受け継がれているのだとすれば、あと2代目ネルソンに必要なのは絶対的な『運の強さ』です。
◆妬み?ルックスの良さも善し悪し
今回も某サイトでネルシーニョの動画を探し求めたのですが収穫は今ひとつ。
http://www.youtube.com/watch?v=PjdfoMfBwD8
↑コレなんか、出だしはカッコイイのに途中から後半にかけては「これがトリビュート?」と思えるほどネルシーニョの負け続ける姿が…。コメントもハミルトンを褒め称えるものが多いカンジ。ひょっとしてファンのふりしたネガティブキャンペーン?と疑ってしまいます。音がやたらデカイのでご注意。
サラサラヘアーにツンとした鼻。涼しげな目元に小さな頭。その格好良すぎるルックスのせいで反感を買ってるんでしょうか?もう少しガムシャラになりふりかまわない所でも見せれば、好感度も上がる気がしますが、きっとそんなスタイルは彼の美意識が許さないでしょうね。とにかくルノーのサードドライバーになった今年、去年より数少ない限られたチャンスをしっかり生かして、関係者にもっとアピールし、ニコやハミルトンとコース上で対等に戦える日が早くやって来る事を望みます。
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登録日:2007年 02月 26日 03:00:09
- プロフィール
- 斎藤モ吉
- (男)
- 福岡の片田舎でデザイナー兼ライター営業中。F1にハマったきっかけは、仕事関係で見始めた1987年のドイツGP。プロストとピケの麗しい姿に感動。
好きなレーサーは、ジル・ヴィルヌーブとアイルトン・セナ。好きなF1マシンはフェラーリ312T4。好きなF1マンガは『赤いペガサス』。好きなF1映画は『グランプリ』。好きな言葉はジル・ヴィルヌーブの『来年がやってくるってどうして言えるんだい? 』
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