2007年 03月 27日

「スーパーアグリを揺らすカスタマーカー問題」で一句

<07 F1・第1戦 オーストラリアGP>決勝、佐藤 順位を上げられず12位に終わる - オーストラリア

【メルボルン/オーストラリア 18日 AFP】F1・2007年シーズン開幕戦・オーストラリアGP(Australian Grand Prix 2007)、決勝。10番グリッドからスタートしたスーパーアグリ(Super Aguri)の佐藤琢磨(Takuma Sato)は、1時間26分9秒506でレースを12位で終えた。(c)AFP/William WEST

AFPBB News


また見たい ワークス負かした モスの夢

[解説]
たしかにスパイカーのオーナー、コリン・コレスの主張する「純然たるコンストラクターでない一部チームは、コンストラクターチャンピオンシップから排除されて然るべきである」という言い分は《至極正論》だと思いますし、そう言わざるを得ない彼自身の立場も理解できます。しかし、現実問題として資金力において貧弱なチームが作ったオリジナルマシンがワークスのフェラーリやルノー、メルセデスを相手に戦って勝てる確立は果たして何万分…いや何億分の1以下でしょうか?そんなどん詰まりな現実にこだわるより型落ちでいいか『下克上』できそうなマシンを下位チームに使わせる方がずっと「夢」のある将来の可能性が広がるのではないでしょうか?

[雑感
そんな「夢」を実現させたレースが過去には何度かありました。そんな幻のレースをまざまざと現代に甦らせてくれる貴重な投稿映像をタイミングよく見つけました。私自身、ずっと見たい見たいと思っていた伝説の「1961年開幕戦・モナコGP」そのダイジェスト版です。いつ消去されるか分からないので、お早めにチェックされる事をオススメします。

◆1961年・開幕戦モナコ「前夜」
1.5リッターエンジンによるF1がこの年から始まりました。それまで2.5リッターエンジン存続を訴えていた英国勢(クーパー/ロータス/BRM)らはマシン開発ですっかり出遅れてしまいます。そんな英国勢を尻目にフェラーリが満を持して投入してきたニューマシン“156”(シャークノーズ)は前評判通りの戦力を発揮し、グリッド上位を占めます。しかし、ポールポジションの位置につけたのは、なんとプライベーターである《ロブ・ウォーカー・チーム》所属のスターリング・モス。前年度に引き続きモナコ連覇を期待させます。しかも彼が乗るマシンは1年前と同じロータス18。ワークス勢が乗る新型・ロータス21を差し置いて型落ちマシンによる首位獲得にロータス総帥コーリン・チャップマンも顔色を失います。

◆パート1
http://www.youtube.com/watch?v=fmOMdZIQ63g
モンテカルロのコース全体がゆ〜っくりと紹介されます。カメラは自転車にでも乗って撮影されたんでしょうか?46年経っても変わらない部分と全然変わっちゃった部分があって実に興味深い映像です。コースに並べられた当時の主流だった「スペースフレーム」マシンのシンプルさ(華奢さ?)に注目。現代のブリヂストンタイヤとは比べものにならない、細いタイヤに足踏み式ポンプで空気を充填させる姿に隔世の感があります。人の膝あたりの高さしかない低いガードレールにも驚愕。安全への意識がまだまだ低かった時代です。

◆パート2
http://www.youtube.com/watch?v=d4P_ifDWDPk
《シャークノーズ》フェラーリ156はやはりカッコイイ〜です。そして、フィル・ヒル、ウォルフガング・フォン・トリップス、リッチー・ギンサーのフェラーリ・ドライバー3羽ガラス。特にフォン・トリップスはこの年、ランキングトップでフェラーリの地元モンツァに乗り込みますが、そこでジム・クラークと絡み、観客14名を巻き込む悲劇的大事故によって命を落とします。
決勝エントリードライバーを紹介するアナウンサーの格好が何とも奇天烈。大きなハンチングにサングラス。黒地に白の横ストライプのシャツ。何だか宮崎駿アニメ『紅の豚』の世界を彷彿とさせるキャラクターです。

◆パート3
http://www.youtube.com/watch?v=WjLwcNn_xh4
フェラーリ156のセクシーな車体が舐めるようなアングルで紹介されます。フェラーリドライバーを代表してフィル・ヒルのインタビュー。小柄なのに上半身の筋肉がスゴイです。
次にポルシェのマシン718/2を紹介。まるでカブトムシやカナブンのような甲虫みたいな後ろ姿。あまり格好いいとは言えない気がします。ポルシェドライバー代表のヨアキム“ジャック”ボニエのインタビューの後、いよいよレースへ。
コース上でレギュレーションを読み上げるレース競技長(?)がヘリコプターの爆音に邪魔され声がかき消されのを怒る姿が面白い。
レースはパレードラップもなしにいきなりスタート。スタートラインは現在と違って海側(現在のプールサイドあたり。当時はプール自体がなく海沿いの直線道路でした)で、各車はガスワークスヘアピン(現在の最終コーナー・例のラスカスコーナーあたり)を目指して飛び込んでいきます。

◆パート4
http://www.youtube.com/watch?v=zVRaPYE4FuU
現代よりずっと《公道》っぽい当時のモンテカルロのコースを予選2位のリッチー・ギンサー(フェラーリ)が抜群の飛び出しで首位に躍り出ます。後続にはモス(ロブ・ウォーカー)ボニエ(ポルシェ)フィル・ヒル(フェラーリ)らが続きますが、序盤ギンサーにグングン引き離されて行きます。
歩道も現代よりきっちり段差があり、排水溝のフタなんかも剝きだし状態。トンネルを抜けた先のシケインは木の板で作られています、それを後ろから支えているのは砂袋…ここにマシンが突っ込んだら…と想像するとちょっと恐ろしいものがあります。ワラ積みのクッションも「いざ」という時どれほどの役に立った事やら…。しかし、その危うさゆえかコースアウトする車の確立は現代よりずっと低いように見えます。それも絶対的速度が格段に遅いせいかもしれませんが、それ以上にドライバー同士のラインどりやバトルに対する危険意識がまるで違うように思えます。

◆パート5
http://www.youtube.com/watch?v=I5cKT2G4Wa8
これだけは絶対必見!無冠の帝王と謳われたスターリング・モス、伝説の走りです。ワークス・フェラーリを相手に、俗にキットカーと呼ばれた華奢なマシンのロータス・クライマックスを操り孤軍奮闘。激走に次ぐ激走を見せます。車体重量を少しでも軽くするためにコクピットサイドのパネルを外し、スペースフレームやその内側にある足をむき出したまま、ドリフト気味にコンクリート・ウォールやガードレール脇スレスレを走るモスの姿は、実にスリリングで勇壮です。
ついに40周目。フェラーリの数センチ後ろ、テールツーノーズ状態でガスワークスヘアピンから立ち上がったモス。ホームストレートを超高速で駆け抜けるとサン・デボーテ、ボー・リバージュの上り加速でギンサーに並びかけ、ホテル・ド・パリ手前でパス。カジノスクエアをトップで駆け抜けたままミラボー、ロウズヘアピン、ポルティエコーナーまでの下り坂区間で一気に差を広げ、トンネルを抜けた頃にはフェラーリ勢をブッチ切っていました。
ワークスの面子にかけても負けられないリッチー・ギンサー(4年後、ホンダ初優勝の立役者)とフィル・ヒル2台のフェラーリは、時にタイヤのサイドウォールを縁石に擦らせるほどの激しい走りで猛然と前を行くモスを追い上げます。しかし、後一歩がなかなか届きません。
そんな激戦の中、まだモナコマイスターと呼ばれる以前のBRM時代のグラハム・ヒル(デーモン・ヒル父)や才能の片鱗を見せ始めた若き天才ジム・クラーク。いぶし銀の走りを見せる老獪なジャック・ブラバムなどが次々とリタイアして行く姿もとらえられます。

◆パート6
http://www.youtube.com/watch?v=Qf5gZbrRe_E
ついにチェッカー。人の身長ほどもあるドでかいチェッカー・フラッグを受け、スターリング・モスが優勝。見事、モナコ2連覇達成です。ロイヤルボックス前にマシンを止め、国家元首じきじきにトロフィー授与という受賞スタイルは現代にも受け継がれていますが、現代と決定的に違うのはこの後。
首に月桂樹の輪をかけたモスが仲間にタバコに火をつけてもらい、くわえタバコのままウィングラップをします。何とものどかな時代です。
レーシングハーネスを着けない当時のレーサーが、マシンからサッと降りて、パッと乗り込む姿にも時代の違を感じさせます。

◆パート7
http://www.youtube.com/watch?v=Tc1AoEbn0IY
前パートに引き続きスターリング・モス自身によるレース解説&プレイバック映像。プールサイドで胸毛もあらわに上半身裸でインタービューを受けるモス。
まるで往年のハリウッドスターのようなオーラと男臭さを漂わせ、しっかりカリスマ性も感じさせます。こういう《大人な男》の雰囲気があるスタードライバーって現代にはほとんどいませんねえ。
最後に意味不明なニュース映像が付いています。これは個人所有のビデオテープなのでしょうか?何はともあれ貴重な映像です。

◆スーパーアグリに期待
いきなりのQ3突破に舞い上がってしまいましたが、決勝レースでは順位を落とす展開となったスーパーアグリ。予選が出来過ぎだったとは思いますが、それでもワークス・ホンダよりも優れた結果を上げ、ワークス・トヨタも射程に収められる位置まで来ています。他のワークス勢も徐々に本領を発揮してくれば、スーパーアグリにも『ツライ現実』が突きつけられるようになるでしょうが、琢磨とアンソニーには一瞬でもいい、46年前にスターリング・モスが見せてくれた「夢」の再現をぜひとも期待したいと思います。

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登録日:2007年 03月 27日 19:35:47

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プロフィール
斎藤モ吉
(男)
福岡の片田舎でデザイナー兼ライター営業中。F1にハマったきっかけは、仕事関係で見始めた1987年のドイツGP。プロストとピケの麗しい姿に感動。
好きなレーサーは、ジル・ヴィルヌーブとアイルトン・セナ。好きなF1マシンはフェラーリ312T4。好きなF1マンガは『赤いペガサス』。好きなF1映画は『グランプリ』。好きな言葉はジル・ヴィルヌーブの『来年がやってくるってどうして言えるんだい? 』
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