2007年 07月
「“運がいい”はいつまで続くか?」で一句
【7月22日 AFP】F1第10戦・ヨーロッパGP(Europe Grand Prix 2007)、予選。
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(c)AFP
“その日”まで 続くロシアン ルーレット
[解説]
「F1速報ヨーロッパGP号」のコラムで西山平夫氏が書かれているように
ここ2ヶ月ほどの間にかなり心臓に悪い事故が相次いでいます。
▼カナダGPでのクビサのクラッシュ。
▼フランスGPで行われたGP2でのアーネスト・ビソのクラッシュ。
▼フォーミュラーニッポン鈴鹿でのブノワ・トレルイエのクラッシュ。
どれも「一歩間違えれば」悲劇的な結末であっておかしくない事故です。
あの「1994年5月1日」以降の安全強化活動の成果によって、
現代のドライバーたちはかなり「昔より」守られるようになっています。
しかし、「イモラの悲劇」がやってくるその日まで
誰もが「現代のF1は安全」と信じていたように
最近のレースを見ているとあの頃に似た「ゆるみ」のようなものを感じます。
いつか引き金を引く「誰か」の犠牲によってしか
誰も気づけない“その日”がまた来てしまうのでしょうか?
[雑感]
モントリオールのオールドヘアピン手前でクビサの乗ったBMWの白いコクピットが
まるで壊れたオモチャのようにグルグル回転しながらコースの端から端まで
カーボンファイバーの残骸をばらまいて止まるまでの数秒間。
息が止まるような思いでただ画面を見つめていました。
脳裏をよぎったのは、1988年メキシコGPでのフィリップ・アリオーの大クラッシュ。
http://www.youtube.com/watch?v=cw7IcNcdIOc
そして1990年スペインGPでのマーチン・ドネリーの大クラッシュ。
http://www.youtube.com/watch?v=QhGjuTpej3Q&mode=related&search=
前者は奇跡的に何事もなかったかのようにコクピットからはい出してきましたが、
後者はコクピットが粉砕され、ドライバー自身が路上に転がってピクリともしない状態でした。
クビサの場合、幸い(特にコクピットからむき出しになった足首も!)奇跡的に無事。
元気にフランスGPからレースにも復帰しています。
ところがそんなフランスGPで行われたGP2のレース中に
血の気も凍るような大クラッシュが起きました。
浮き上がったマシンは反転しながらまっすぐコースサイドのコンクリートウォールへ。
コクピット直前で激突し回転しながらウォールの向こう側へ。
コースマーシャルが逃げまどうすぐ脇へ破片を飛び散らせながらマシンが落下したのです。
http://www.youtube.com/watch?v=ASM74TUKFUM&mode=related&search=
この場面をクビサは見たのでしょうか?
はたして彼がどんな印象を持ったのか聞いてみたい気がします。
◆そして、ニュルブルクリンク予選Q3
ヨーロッパGP(なぜドイツGPと呼ばない?)の「ルイスクラッシュ!」に世界は動揺します。
コクピットの中でジタバタする足が「怪我した!?」と思わせたりもしましたが、
高速コーナーでのクラッシュにしては本人のダメージも少なかったようで、
翌日の決勝日には、いつもと変わりない元気な姿で10番グリッドに並びました。
◆疑問1 ホントにルイスは出場してよかったのか?
たしかにモントリオールでのクビサのクラッシュに比べれば、見た目は地味ですが
《ほぼ最高速→0》という急減速(35Gオーバー?)にさらされたルイスの身体。
やはり、ここはクビサと同じように1週間の休養期間を取るべきだったのでは?と思います。
今やハミルトンはドル箱スター。興行的メリットを優先したように思えてなりません。
◆大混乱のニュルブルクリンク3ラップ
1周目終了直前から降り出した突然のスコールでサーキット上は大混乱!
せっかく奇跡のオープニングラップがタイヤパンクでオジャンになったハミルトン。
運良くレインタイヤに履き替え再スタートと思ったのも束の間、
ヘービーウェット用タイヤの許容を越える雨量にたまらず1コーナーをスピンアウト。
ハミルトンのみならずバトン、スーティル、スピード、ロズベルグ、デビッドソン、リウッツィ。
総勢7台がサンドトラップへ次々とハマっていきました。
まるでレースゲームのジョークみたいな映像のように…。
http://www.youtube.com/watch?v=RK_LdxRjsGo&mode=related&search=
◆疑問2 ルイスだけが復帰を許された理由は?
この1コーナーでコースアウトしたほとんどのマシンがリタイアとなりましたが
ただ1人ルイス・ハミルトンだけが砂地獄からの復帰が許されます。
レッカー車に吊り上げられゆっくりとコース上で下ろされるというVIP待遇。
「ルイスだけがエンジンを止めなかった」から復活できたのは事実ですが…。
◆《グラベルスタック=即リタイア》じゃなかったっけ?
私たちはこれまで何度となく見てきたはずです。
グラベルや縁石の上でリアタイヤを空転させたドライバーたちが
「危険だからエンジンを止めろ」というマーシャルの制止によって泣く泣くリタイアした姿を。
◆ピットからの指示
この時、ルイスはピットに無線で連絡したそうです。
「1コーナーのグラベルでスタックしちゃった。エンジンまだ生きてるんだけど…どしたらイイ?」
すると、マクラーレンのレースエンジニアが答えます。
「ああ。そのまま待ってな。そんでオフィシャルに『コースに戻してちょ』ってお願いしてみ」
「オッケー」
そして、その通りにルイスはコースに復帰できました。
◆ふつうエンジンを止めさせられる理由
グラベルにスタックしたマシンのエンジンを止めさせる理由。
それはマシンの《速やかな排除》が必要だからです。
グラベル上に止まったマシンにまたコースアウトしてきたマシンが追突!
そうした「2次災害」を防ぐためにオフィシャルたちは短時間で
動けなくなったマシンからドライバーを下ろさせ、マシンを安全な場所へ移送しなければなりません。
だから、真っ先に「エンジンを止めてマシンから降りろ!」と言われるのです。
◆今回のハミルトンの場合
ではなぜ?ハミルトンだけそんな特別扱いが受けられたのでしょう?
それは「赤旗中断」されたからだと思います。
コース上にもうマシンがいません。だからオフィシャルもゆっくり排除作業が出来ます。
そんな中に「エンジンが生きてる」マシンがあれば出してあげる余裕もあるってもんです。
押し掛け再スタートでない限りは何ら「問題なし」なのです。
◆運がよかった(?)ルイス
そこまでしてコース復帰したハミルトンでしたが結局、9位フィニッシュ。
終盤に見せた神業オーバーテイクであのフィジケラを果敢にパスしましたが
ポイント圏内に届かず、デビュー以来続けてきた記録のほとんどストップしました。
残った記録は「デビュー連続完走」ぐらいです。
でも、本当にルイスは「ツイてなかった」のでしょうか?
豪雨の中、スタックしたマシンに飛んできたマシンが追突しなかった運の良さ。
コレに勝るものはなかったのではないかと思います。
さあ、後半戦へ向けて《ポイントリーダーの意地》の見せ所です。
決戦!!ハンガロリンク!
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登録日:2007年 07月 31日 23:16:23
「どんだけぇ〜〜〜運が悪いの?ライコネン」で一句
【7月23日 AFP】F1第10戦・ヨーロッパGP(Europe Grand Prix 2007)、決勝。
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(c)AFP
ニュルのキミ 女神の意地悪? 勝てぬのは
[解説]
あんまりジンクスとかは信じないのですが、
こう立て続けだと「やっぱり?」と思わざるを得ません。
「ニュルで勝てないライコネン」ジンクス。
あともうひとつのジンクスも進行中。それは
「ミハエルが来ると勝てないライコネン」ジンクス。
さて、ハミルトンのデビュー連続表彰台記録と連続入賞が同時に途切れたように
いつかはそんなジンクスにも終わりが来るのでしょうか?
来年の愉しみです。もっとも来年もニュルで開催されればの話ですが…。
[雑感]
しかし、面白い写真です。
貼り付けたような満面の笑みでアロンソの手を握るミハエル。
目をそらしてお義理で手を握り返す無愛想なアロンソ。
そんなミハエルを怪訝そうな顔で見つめるマッサ。
みんな、心情が「正直」に表情に顕れているトコロが。
しかし、アロンソってウソのつけない人ですね。
優勝したんだからもうちょっと大人の態度をとってもよさそうなものを
「ほらほら、ココ、ココ。マッサがぶつけた痕だよ。ダメダメね」
ってカメラにアピールするは、表彰台の控え室で
「おまえさ〜、アレやりすぎだろ?」
「スペインの時と同じじゃねーかよ。いい加減にしろよな!」
「ったく!ちったあ後ろを見るクセつけろよ。」
って、言ったかどーか知りませんが、
そんなカンジっぽい殺伐とした空気がビンビン伝わってきました。
マッサもナンか言い返してましたが、アロンソは「聞く耳もたず」。
まあ、10歩譲ってソッチはしょうがないにしても。
もっと、大人げないというか、ナンバーワンドライバーとしてどーよ?
と思ったのがロン・デニスへの態度。
「あんたキライ、ツ〜〜ン」なのがアリアリ。
よほどデニスの「ハミルトン贔屓」がハラにすえかねてるのでしょうか?
それに引き替え、デニスの気の毒なくらい「わざとらしい」笑顔。
こんだけ相好を崩すロンは、そうそうめったに見られません。
録画を残してる人は、ぜひ
「カナダGPの初優勝したハミルトンを表彰台裏で迎えるロン」
の表情と見比べてみてほしいと思います。
ロン・デニスって、つくづく
「ウラハラな人」だな〜ってコトがよく分かります。
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登録日:2007年 07月 23日 12:21:34
「10年に一度あるかどうかの超近接戦闘状態?」で一句
ハミルトン ヨーロッパGPフリー走行1回目でトップタイムを記録
【7月20日 AFP】F1第10戦・ヨーロッパGP(Europe Grand Prix 2007)、フリー走行1回目。
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(c)AFP
勝ち負けは 数センチ幅の 綱渡り
[解説]
ここまで9戦を振り返ってみると
確かにフェラーリとマクラーレンは抜け出た戦績を挙げています。
基本的に勝敗は、チーム力とマシンの出来とドライバーの才能
これらの総合力の差で決まるものです。
しかし、カナダでの琢磨-アロンソ戦を見ても分かるように、
マシンとレーサーの実力に差があったとしても
タイヤ選択ひとつでそのアドバンテージを逆転できるほど
各チーム間の実力差は極々わずかなのです。
それは数センチ幅のロープの上で綱渡りをしているようなもの。
上手く渡りきれたなら勝利の美酒と高い賞賛を味わえますが、
足を踏み誤れば、地獄のような日々へと真っ逆さまなのです。
[雑感]
バーニー・エクレストンやマックス・モズレーの思惑通り、
レギュレーション改正によってチーム力の平均化は順調に進んでいます。
それは予選タイムの差を見ればはっきりしています。
2007年、イギリスGPの首位ハミルトンの予選タイム《1’19’’997》
その1秒後ろ《1’20’’823》のリウッツィ(トロロッソ)まで
その間に14台のマシンがひしめきあっています。
セナ・プロスト時代、無敵のマクラーレンが席捲した1989年。
同じイギリスGP、首位セナの予選タイム《1’09’’099》
その1秒以内《1'09''863》のパトレーゼ(ウィリアムズ)まで
プロスト、マンセル、ベルガーのたった3人しかいない
そんな時代とは隔世の感があります。
◆第6戦 カナダ
期待の大型新人ハミルトンが初めてのサーキットで初ポール&初優勝。
一方の王者アロンソは型落ちマシンのスーパーアグリにパスされる屈辱。
<マクラーレン>
毎年、クラッシュするクルマが多く、セーフティーカーが出やすいサーキット。
ピットイン戦略はモナコ以上に重要だったはずなのに…
「タンクに燃料がなかったからペナルティ覚悟で入るしかなかった」
アロンソをそんな最悪のタイミングでピットインさせたマクラーレン。
モナコで釈明したほどのSC対処法がカナダでは活かされなかった事に疑問。
ハミルトンだけトラブルフリーで楽々と優勝を手にします。
<フェラーリ>
マクラーレン以上にピットインがグダグダだったフェラーリ。
マッサ、ライコネン2人同時ピットインでライコネンが後方へ脱落。
マッサは、不注意でピットレーンの赤信号を無視して失格。
◆第7戦 U.S.A.
ハミルトンがまたも初めてのインディーを制して連続優勝。
インディー有利と見られたフェラーリ。マクラーレンに着いていけないまま終了。
<フェラーリ>
マッサ・ライコネンどちらも燃料多めのタンクでスタート。
マッサは有利なソフト、ライコネンは不利なミディアムをタイヤ選択。
しかし、どれも快調マクラーレンを追い抜くほどの効果は得られず、
終盤、味方同士で3位争い。チームから「ポジションキープ指示」で手打ち。
<マクラーレン>
新人ハミルトンのブロックライン取りの巧さにアロンソ脱帽。
タイヤも燃料も条件はほぼイーブンでのガチンコ勝負はハミルトンの勝利。
GP終了後、ライコネンとアロンソにチーム移籍の噂が立ち始めます。
◆第8戦 フランス
チーム離脱を噂されるほどの不振ぶりから見違えるほど変わったライコネン。
ポールスタートの同僚マッサから首位を奪っての逆転勝利。死んだフリだった?
<マクラーレン>
アロンソは予選のマシントラブルで10位スタート。
エンジンの19000回転規制でオーバーテイクが難しく7位入賞がやっと。
スタートでいきなりライコネンにパスされたハミルトンは、3位キープのまま終了。
<フェラーリ>
F2007お得意のエアロサーキットのマニクール。
予選、絶好調のマッサはポールから、ライコネンは燃料多めで4番手スタート。
決勝は、ライコネンがピットイン直前の2回のクリアラップを有効活用、
マッサから優勝をもぎ取る。今期やっと2勝目でチャンプ候補としての面目躍如。
◆第9戦 イギリス
ポールポジション獲得で地元民を湧かせたハミルトン。
しかし、決勝は本気モード全開のライコネンがスキ無し2連勝。
<マクラーレン>
実力伯仲の2強による予選最終セッション。
アロンソがそれまでのトップタイムから燃料やや多めで勝負。3位。
ハミルトンはレース仕様ではフェラーリの方が有利と見たか?地元の意地か?
燃料軽めで首位奪還を目論む。ライコネンのミスに救われてポール。
タイヤ選択は、ハミルトンがコンサバなハード-ハード-ソフト。
一方のアロンソは、ソフトを短めの第2スティントに挟む戦略。
ハミルトンは第1スティントが短過ぎ、十分なマージンを稼げず3位転落。
2回目のハードもライコネンに阻まれてタイムが伸び悩み、アロンソに前を取られる。
前半で失ったタイム差を不利なソフトでは挽回ならず3位キープの走りで終了。
アロンソもハミルトンには勝ったもののライコネンには届かず無念の2位。
<フェラーリ>
金曜のフリー走行から自信のあったライコネンはポールトゥーウィンを目指す。
しかし、最終予選最終コーナー。攻めすぎて《上手の手から水》ポールを逃す。
それでも決勝では、マニクールと同じ《ピットイン直前ラッシュ走法》を披露。
必死に追いすがる敵に圧倒的なタイム差を見せつけ、これを沈黙させる。
堂々の2連勝。ライコネン&フェラーリの無敵ぶりをアピールする。
一方のマッサは、スタートでエンスト。ピットスタートへ回される不運。
かつての《バリチェロ・モード》にハマリ出した予感。
・・・・・・
フェラーリの北米2連戦不調の原因は、
「ワンメイクタイヤ」と「エンジン19000回転制限」というレギュ変更で
一番マージンの損失が大きかった事、「SC導入」の不確定要素が多すぎた事
などがに大きく響いたのかもしれません。
そして、モナコは最初からフェラーリにとって「捨てレース」だった…。
そう考えるとフェラーリの不調→復調は、「シナリオ通り」の展開で
マクラーレンの絶好調ぶりは
「単に運良く勝ち星を拾っただけ」なのかもしれません。
まもなく開かれるニュルブルクリンクでの決勝レース。
今年のチャンピオンシップの流れを見極める
もっとも重要なレースになるかもしれません。
去年、ここで開かれたGP2ではハミルトンが
レース1&2で信じられない圧勝劇を見せてくれたのですが…果たして。
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登録日:2007年 07月 21日 11:00:18
「北欧の白い牙キミ・ライコネン、完全復活!」で一句
【7月9日 AFP】F1第9戦・英国GP(British Grand Prix 2007)、決勝。
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(c)AFP
ジョンブルの 希望の翼 ドーバーに墜ち
[解説]
第2次大戦初期、ドイツの軍艦ビスマルクを撃沈し、
イタリア艦隊に大打撃を与えたイギリス海軍航空隊の複葉機「ソードフィッシュ」。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ソードフィッシュ_%28雷撃機%29
そんな複葉戦闘機に似たフロントウィングを持つMP4-22で
フェラーリ艦隊を完膚無きまで叩き伏せたかに思われたマクラーレン軍団。
その真価が問われたドーバー海峡をはさんむ英仏2連戦。
驚異の天才ルーキー・ハミルトンに地元優勝の期待は沸点を越えます。
そんな英国民たちのフィーバーに冷水を浴びせたのは、
北欧の銀シャチ、キミ・ライコネンでした。
予選ではハミルトンにポールを奪われて激高したものの、
決勝レースではルーキーにはプレッシャーをかけるべく激しく攻め、
トップに立ってからはスーパーラップを連続で叩き出し、
後ろから追いすがろうとするチャンピオンに絶望感を与える。
ライコネンの「白い牙」と「尾のひとふり」にまったく歯が立たず、
マクラーレン2機は、撃ち墜とされドーバー海峡に沈んでしまいました。
[雑感]
開幕戦以来、久しぶりに見たキミの表彰台での笑顔。
やっとフェラーリのマシンとブリヂストンタイヤに馴染んできたライコネンが
マニクールとシルバーストーンで本来のキレた走りを取り戻し、
アンタッチャブルなレース運びで他を圧倒しました。
こうなるとあの北米2連戦のフェラーリ低迷がいよいよ不可解です。
マクラーレンの策略で使えなくなったフレキシブルフロアの影響?
スペインGP後に起きた風洞のムービングベルト破損事故のあおり?
ウソかマコトかナイジェル・ステップニー内部破壊工作のせい?
川井氏の言う「マシンの空力特性とコースの相性の問題」なのでしょうか?
では、フェラーリお得意のインディアナポリスで絶不調だった理由は?
そのへんのヒントを探すために今一度、
2007年前半戦のフェラーリvsマクラーレンをプレイバック。
◆開幕戦 オーストラリア
いきなりライコネンの移籍直後の初V。
F2007によるシーズン独走を匂わせるレースでした。
<フェラーリ>
ミディアムタイヤでスタートした第1スティントからラップ毎、
後続に1秒のタイム差をつける快走を見せたライコネン。
移籍後いきなりポールトゥーウィンを決め、「眠くなった」と余裕のコメント。
マッサの予選でのギアトラブルだけがマシンの不安材料でした。
<マクラーレン>
第1スティントでBMWハイドフェルドにアタマを押さえられ、
フェラーリとの差を決定的に広げられ勝利を失います。
予選で「ここ一発!」の速さを見せたアロンソもスタートでは出遅れ、
BMWのみならず新人ハミルトンにまで抜かれ後塵を浴びる始末。
ピット2回目の「時間調整」でやっと元チャンピオンの対面を保つ姿に疑問符。
◆第2戦 マレーシア
マクラーレン、1年半ぶりの勝利。
しかも堂々の1-2ウィンで完全復活を高らかに宣言。
<マクラーレン>
ポールのマッサをマクラーレン2台が攻略。
アロンソ先行、後ろのハミルトンがフェラーリ2台を押さえ込むチームプレイ。
ハミルトンの功に支えられレースは、マクラーレンが1-2位の圧勝。
決勝記録を見て面白いのは、このサーキットでマクラーレンの2台は
どのセクター区間でも最高速が遅め(バトン、琢磨、ブルツ以下の区間も)
だったにも関わらず、全ての区間でトップタイム1-2を計測している事です。
<フェラーリ>
せっかく手にしたポールを棒に振ったマッサは、墓穴を掘り続け後方へ。
ライコネンは、レース中盤を流し、終盤「ハミルトン攻略」に激烈な攻めを見せます。
全ラップで0.5秒上回るタイムで攻めるもタフな新人のミスは誘えませんでした。
F2007の「熱に弱い」という弱点が判明。
◆第3戦 バーレーン
開幕2戦の失策でバッシングの嵐に晒された
マッサが起死回生のポールトゥーウィンで勝ち名乗り。
<フェラーリ>
前回の汚名返上とばかりにマッサがポールから好スタート。
追いすがるハミルトンに対して、わずかなタイム差を重ねつつリードを広げ優勝。
勝負の決め手は、第2スティントで装着した“皮むきミディアム”でした。
ライコネンは、スタートでアロンソに先行されても慌てず騒がず、
エンジンを温存するためにマイペースな走りに徹して3位表彰台を確保。
<マクラーレン>
ここバーレーンで2人の明暗がくっきり分かれます。
新人ハミルトンは、フリー/予選/決勝すべてにおいてアロンソを上回ります。
マッサを追い抜く事はできませんでしたが、アロンソにもライコネンにも
背後を脅かされる事なくレースを終え、その評価をより高めます。
一方のアロンソは、「チャンピオンらしさ」を見せる事なくズルズル後退。
決勝全区間で最高速を記録しているのが、逆に「あがき」に見えます。
◆第4戦 スペイン
マクラーレンがフロントに2段ウィングを投入。
フェラーリ、マクラーレンともにチーム内下克上が浮上。
<マクラーレン>
地元スペイン。王者凱旋を待ちわびた国民に果たすべき義務。
「絶対勝利」のプレッシャーに耐えながら苛烈な走りを見せるアロンソ。
それをことごとく邪魔したのは「空気を読まない男」マッサ。
無念の予選2位から逆転勝利を目指した1コーナーの飛び込み。接触コースアウト。
優勝以外に価値のないアロンソの母国レースは、そこで終わった。
ハミルトンはまたもマッサの後ろで2位。
リスクを避け、確実にポイントを積み上げる新人離れしたクレバーさ。
スペイン国民からはブーイングされても世界評価は高位置をキープ。
<フェラーリ>
アロンソ相手に一歩も引かない負けん気を見せたマッサが2連勝。
基本的にレーススタイルは“先行逃げ切り”型。
コンスタントに好タイムを積み重ねて、リードをコツコツ築くタイプ。
一方のライコネンは、マシントラブルでリタイア。1回休み。
◆第5戦 モナコ
マクラーレン通算150勝目を伝統のモンテカルロ。
しかも圧倒的な差をつけ1-2フィニッシュ。チームオーダー疑惑さえなければ…。
<フェラーリ>
ここでF2007の2つの弱点が露呈。
ロングホイールベース(前後輪間が長い)による低速サーキットで反応の鈍さ。
ライコネンの予選でのクラッシュが操作性の悪さを物語ります。
それとタイヤに優しいマシン特性による「1発タイム」の出にくさ。
ファステストでマクラーレン2人にきっちり1秒の差がつけられています。
<マクラーレン>
モナコを独走したマクラーレン勢。それゆえに目立ったのは「ピット采配」。
ラップタイムで常にアロンソを上回り続けたハミルトン。
アロンソとハミルトンの白熱した一騎打ち、となるはずでした。
モナコ決勝の結果は、ピットインのタイミングで決まったと言えます。
・・・・・・
久しぶりなのでやたら長文になってしまいました。
ここらでひとまずブレイク。
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登録日:2007年 07月 20日 15:59:52
- プロフィール
- 斎藤モ吉
- (男)
- 福岡の片田舎でデザイナー兼ライター営業中。F1にハマったきっかけは、仕事関係で見始めた1987年のドイツGP。プロストとピケの麗しい姿に感動。
好きなレーサーは、ジル・ヴィルヌーブとアイルトン・セナ。好きなF1マシンはフェラーリ312T4。好きなF1マンガは『赤いペガサス』。好きなF1映画は『グランプリ』。好きな言葉はジル・ヴィルヌーブの『来年がやってくるってどうして言えるんだい? 』
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