2007年 07月 31日

「“運がいい”はいつまで続くか?」で一句

ハミルトン ヨーロッパGP予選でクラッシュを起こす

【7月22日 AFP】F1第10戦・ヨーロッパGP(Europe Grand Prix 2007)、予選。
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(c)AFP

AFPBB News


“その日”まで 続くロシアン ルーレット

[解説]
「F1速報ヨーロッパGP号」のコラムで西山平夫氏が書かれているように
ここ2ヶ月ほどの間にかなり心臓に悪い事故が相次いでいます。
▼カナダGPでのクビサのクラッシュ。
▼フランスGPで行われたGP2でのアーネスト・ビソのクラッシュ。
▼フォーミュラーニッポン鈴鹿でのブノワ・トレルイエのクラッシュ。

どれも「一歩間違えれば」悲劇的な結末であっておかしくない事故です。
あの「1994年5月1日」以降の安全強化活動の成果によって、
現代のドライバーたちはかなり「昔より」守られるようになっています。
しかし、「イモラの悲劇」がやってくるその日まで
誰もが「現代のF1は安全」と信じていたように
最近のレースを見ているとあの頃に似た「ゆるみ」のようなものを感じます。

いつか引き金を引く「誰か」の犠牲によってしか
誰も気づけない“その日”がまた来てしまうのでしょうか?

[雑感]
モントリオールのオールドヘアピン手前でクビサの乗ったBMWの白いコクピットが
まるで壊れたオモチャのようにグルグル回転しながらコースの端から端まで
カーボンファイバーの残骸をばらまいて止まるまでの数秒間。
息が止まるような思いでただ画面を見つめていました。

脳裏をよぎったのは、1988年メキシコGPでのフィリップ・アリオーの大クラッシュ。
http://www.youtube.com/watch?v=cw7IcNcdIOc

そして1990年スペインGPでのマーチン・ドネリーの大クラッシュ。
http://www.youtube.com/watch?v=QhGjuTpej3Q&mode=related&search=

前者は奇跡的に何事もなかったかのようにコクピットからはい出してきましたが、
後者はコクピットが粉砕され、ドライバー自身が路上に転がってピクリともしない状態でした。

クビサの場合、幸い(特にコクピットからむき出しになった足首も!)奇跡的に無事。
元気にフランスGPからレースにも復帰しています。
ところがそんなフランスGPで行われたGP2のレース中に
血の気も凍るような大クラッシュが起きました。

浮き上がったマシンは反転しながらまっすぐコースサイドのコンクリートウォールへ。
コクピット直前で激突し回転しながらウォールの向こう側へ。
コースマーシャルが逃げまどうすぐ脇へ破片を飛び散らせながらマシンが落下したのです。
http://www.youtube.com/watch?v=ASM74TUKFUM&mode=related&search=

この場面をクビサは見たのでしょうか?
はたして彼がどんな印象を持ったのか聞いてみたい気がします。

◆そして、ニュルブルクリンク予選Q3
ヨーロッパGP(なぜドイツGPと呼ばない?)の「ルイスクラッシュ!」に世界は動揺します。
コクピットの中でジタバタする足が「怪我した!?」と思わせたりもしましたが、
高速コーナーでのクラッシュにしては本人のダメージも少なかったようで、
翌日の決勝日には、いつもと変わりない元気な姿で10番グリッドに並びました。

◆疑問1 ホントにルイスは出場してよかったのか?
たしかにモントリオールでのクビサのクラッシュに比べれば、見た目は地味ですが
《ほぼ最高速→0》という急減速(35Gオーバー?)にさらされたルイスの身体。
やはり、ここはクビサと同じように1週間の休養期間を取るべきだったのでは?と思います。
今やハミルトンはドル箱スター。興行的メリットを優先したように思えてなりません。

◆大混乱のニュルブルクリンク3ラップ
1周目終了直前から降り出した突然のスコールでサーキット上は大混乱!
せっかく奇跡のオープニングラップがタイヤパンクでオジャンになったハミルトン。
運良くレインタイヤに履き替え再スタートと思ったのも束の間、
ヘービーウェット用タイヤの許容を越える雨量にたまらず1コーナーをスピンアウト。
ハミルトンのみならずバトン、スーティル、スピード、ロズベルグ、デビッドソン、リウッツィ。
総勢7台がサンドトラップへ次々とハマっていきました。
まるでレースゲームのジョークみたいな映像のように…。
http://www.youtube.com/watch?v=RK_LdxRjsGo&mode=related&search=

◆疑問2 ルイスだけが復帰を許された理由は?
この1コーナーでコースアウトしたほとんどのマシンがリタイアとなりましたが
ただ1人ルイス・ハミルトンだけが砂地獄からの復帰が許されます。
レッカー車に吊り上げられゆっくりとコース上で下ろされるというVIP待遇。
「ルイスだけがエンジンを止めなかった」から復活できたのは事実ですが…。

◆《グラベルスタック=即リタイア》じゃなかったっけ?
私たちはこれまで何度となく見てきたはずです。
グラベルや縁石の上でリアタイヤを空転させたドライバーたちが
「危険だからエンジンを止めろ」というマーシャルの制止によって泣く泣くリタイアした姿を。

◆ピットからの指示
この時、ルイスはピットに無線で連絡したそうです。
「1コーナーのグラベルでスタックしちゃった。エンジンまだ生きてるんだけど…どしたらイイ?」
すると、マクラーレンのレースエンジニアが答えます。
「ああ。そのまま待ってな。そんでオフィシャルに『コースに戻してちょ』ってお願いしてみ」
「オッケー」
そして、その通りにルイスはコースに復帰できました。

◆ふつうエンジンを止めさせられる理由
グラベルにスタックしたマシンのエンジンを止めさせる理由。
それはマシンの《速やかな排除》が必要だからです。
グラベル上に止まったマシンにまたコースアウトしてきたマシンが追突!
そうした「2次災害」を防ぐためにオフィシャルたちは短時間で
動けなくなったマシンからドライバーを下ろさせ、マシンを安全な場所へ移送しなければなりません。
だから、真っ先に「エンジンを止めてマシンから降りろ!」と言われるのです。

◆今回のハミルトンの場合
ではなぜ?ハミルトンだけそんな特別扱いが受けられたのでしょう?
それは「赤旗中断」されたからだと思います。
コース上にもうマシンがいません。だからオフィシャルもゆっくり排除作業が出来ます。
そんな中に「エンジンが生きてる」マシンがあれば出してあげる余裕もあるってもんです。
押し掛け再スタートでない限りは何ら「問題なし」なのです。

◆運がよかった(?)ルイス
そこまでしてコース復帰したハミルトンでしたが結局、9位フィニッシュ。
終盤に見せた神業オーバーテイクであのフィジケラを果敢にパスしましたが
ポイント圏内に届かず、デビュー以来続けてきた記録のほとんどストップしました。
残った記録は「デビュー連続完走」ぐらいです。
でも、本当にルイスは「ツイてなかった」のでしょうか?

豪雨の中、スタックしたマシンに飛んできたマシンが追突しなかった運の良さ。
コレに勝るものはなかったのではないかと思います。
さあ、後半戦へ向けて《ポイントリーダーの意地》の見せ所です。
決戦!!ハンガロリンク!

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登録日:2007年 07月 31日 23:16:23

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プロフィール
斎藤モ吉
(男)
福岡の片田舎でデザイナー兼ライター営業中。F1にハマったきっかけは、仕事関係で見始めた1987年のドイツGP。プロストとピケの麗しい姿に感動。
好きなレーサーは、ジル・ヴィルヌーブとアイルトン・セナ。好きなF1マシンはフェラーリ312T4。好きなF1マンガは『赤いペガサス』。好きなF1映画は『グランプリ』。好きな言葉はジル・ヴィルヌーブの『来年がやってくるってどうして言えるんだい? 』
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