2007年 09月

「スパ、印象変わったなあ〜」で一句

ライコネン ベルギーGPを制しフェラーリが1・2フィニッシュ

【9月17日 AFP】F1第14戦・ベルギーGP(Belgian Grand Prix 2007)、決勝。
≫続きを読む…
(c)AFP

AFPBB News


ココはドコ? 面影もない バスストップ

モンツァでは、アロンソが独走。
ところが今回のスパでは、ライコネンが独走。
「極端だなあ」って思っていたら、
ブリヂストンの浜島さんが鋭い指摘。
「マクラーレンは、どのコースでも一定の水準をキープしているのに
フェラーリは、コースによって得意不得意の差が激しいように思います」
さらに
「縁石の段差が激しい場所でフェラーリは上下動の抑えが効かないカンジ」
だそうです。さすが、フェラーリを知り尽くした男。
(CS「F1GPニュース」より)

現代F1の空力バランスやメカニカルグリップも実にセンシティブ。
圧倒的に見えながらも、ごくごく僅かなライバルたちとの差。
僅かなマージンがコース上でコンマ数秒の差に広がるシビアさ。
F1って、つくづく大変だと思います。

そんな地味な話より、やはり「レースの華はバトル」
優勝したライコネンより“熱く”レースを盛り上げてくれた2人。
BMWのクビサ。そして、我らが琢磨。最高でした。

クビサは、コバライネンやクルサードを相手に延々とバトル状態。
ただ速く走るだけでも大変なこの難物サーキットで
緊張状態を維持しながら最終周まで集中力を切らしませんでした。
結果は残らなかったけれど、カッコ良かったなあ。

一方の琢磨。またもホンダに「恩をアダで返す」大外刈り一閃。
ケメルストレート後半のブレーキ勝負で因縁浅からぬバトンをオーバーテイク。
実に琢磨らしい豪快なレース魂を見せてくれました。
ホンダのマシンは不調を抱えていた様子ですが…。
《富士》直前、新たな不安材料?

しかし、ライコネン。スパには滅法強く3連勝。
ここは「文句なく速いレーサー」だけが勝てるサーキット。
ミハエル、セナ、クラーク、ファンジオ、錚々たる面々が名を連ねます。
しかし、ここで2回以上勝ったレーサーでチャンピオン未経験者はライコネンだけ。
「無冠の帝王」ライコネン…スターリング・モスみたいでイイかも。

一方、2連覇王者のアロンソは、スパでの優勝経験はナシ。
これまた興味深い記録です。

◆新コースの印象
かつての[パーマネント+公道]というハイブリッドサーキットにありがちだった
ワイルドでツギハギした印象はすっかり無くなりました。

まるで全面パーマネントコースのような「綺麗で整頓された印象」。
剥き出しだった路肩の排水溝のフタにもグリーンの人工芝が張られ、
テレビ画面でもコースがすっきりして見えるように生まれ変わっています。

ただ昔の「スパルタン」な雰囲気が好きだった人には、
軟弱な物足りない印象を受けるかもしれません。

◆スパの形
スパ=フランコルシャンのコースの形は
「ツバサを垂らしたシッポのないカラス(左向き)」です。
http://en.wikipedia.org/wiki/Image:Circuit_Spa_2007.png

スタート/ゴール地点は「くちばしの下」
走り出してすぐ鋭角的に曲がる「くちばしの先」が《ラ・ソース》
2005年までは「船型」だったコーナーが
今年からは「くちばしの先型」のコーナーに変わりました。

ラ・ソース過ぎてすぐ右カーブ(名無し&ターンナンバーもなし)
そこからやや下り気味に駆け抜ける直線が「くちばしの上」部分。
そしてスパ名物《オー・ルージュ》へ。

全開で坂を駆け上がる左-右の3次元S字《オー・ルージュ》
前方視界ゼロのまま突っ込む高速左コーナー《ラディヨン》
ここが「カラスのアタマ」部分にあたります。

ココから大きな「背中」。
アクセル全開で駆け抜ける最高速区間《ケメル・ストレート》
かつて、ミカ・ハッキネンがミハエル・シューマッハを
今回は佐藤琢磨がジェンソン・バトンを
300km/hオーバーで追い抜いたハイスピード激戦区。
ストレートの突き当たり「シッポのないおしり」が右コーナー《レ・コンブ》
(スパってソースとかコンブとかおいしそうな名前が多い)

シケイン先の「短い足のカカト」右コーナーの《マルメディ》
「足の裏」にあたる短いストレート。この中間地点までが昇り。
この先から一気にジェットコースターのような下り区間が続きます。

「つま先」に当たるのが180度右コーナーの《リバージュ》
短い直線「足の甲」から「足首」の直角左コーナー
ここから「お腹」をはい上がるようにやや長めの直線。
その突き当たり「翼の付け根」左複合コーナーが《プーオン》

ここからは「垂れた翼」部分。
短い直線「真ん中の羽先」直角右コーナー《レ・ファーニュ》
S字の先「切れたツバサの先」右コーナー《スタブロー》
ここから「翼の上ライン」を駆け抜ける大きなゆるいS字区間。
そして「翼と胴体の接点」高速《ブランシモン》を全開のまま駆け抜ける。
そして、ホームストレート手前の「のど仏」《バスストップシケイン》で急減速。

また「くちばしの下」ホームストレートに戻れば1周です。

今回の改修でガラッと印象が変わったのはラ・ソースとバスストップ。

《ラ・ソース》は、コースから観客席までの全面改修。
圧迫感のあった真っ赤な「VIP席(?)」が無くなり、開放的になりました。
エスケープゾーンが復活し、走るべきラインがキチンと整理されました。

《バスストップ》は有名無実化し、ただのS字シケインになりました。
改修以前のゴチャゴチャしたシケインに比べれば、ずっと洗練されています。
でも、せめて“面影”くらいは残してほしかった…のが正直な気持ちです。

カテゴリー[ F1・全般 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 09月 25日 12:55:14

「罪と罰」の狭間に隠された「フシギ」

マクラーレン ポイント剥奪と罰金1億ドルが科せられる

【9月14日 AFP】F1、フェラーリ(Ferrari)の機密情報がライバルチームのマクラーレン・メルセデス(McLaren-Mercedes)へ流されたとされる一連のスパイ疑惑で、国際自動車連盟(Federation Internationale de l’Automobile:FIA)は、今シーズンのコンストラクターズポイント剥奪と1億ドル(約114億円)の罰金をマクラーレンに科した。
≫続きを読む…
(c)AFP

AFPBB News


「F1」を見ていると、「フシギな事件」がよく起きます。
その度にいろんな「オトナの世界」を学べます。
数年越しになって、解き明かされる「フシギ」もあれば
永遠に分からないままになる「フシギ」もあります。

「セナの死」も裁判沙汰にまで発展しましたが、
「コントロール不能」となった原因は分からず終いという「フシギ」。
もしも、あの時セナが死ななかったなら…。
モンツァでのライコネンのクラッシュ同様、
「バンプに乗って挙動を乱した」事で済まされていたでしょう。

この夏の間中、F1パドックを騒がせ続けた
《フェラーリ・マクラーレン間におけるスパイ疑惑》
「マクラーレン有罪。2007年の全ポイント剥奪、罰金1億ドル」
という裁定によって、一応の決着はつきました。

マシンの重量配分、フレキシブルウィング、ブレーキシステム…
「タイヤの充填ガスの成分」などをマクラーレンのドライバーが知っていた。
メールの通信履歴から「事実が確定」されたそうです。

マクラーレンが、得た情報を「使った」かどーかは問題ではなく
「手元にあった」というだけでアドバンテージを得て、
「競技の公正または自動車スポーツの利益を阻害する性質を有する
詐欺行為または不正行為」(国際モータースポーツ競技規則 151条C項)
を働いたとされ「有罪」判定を下されたのです。

これから以降、F1の世界では、どんな「ツマラナイ」情報だろうと
「見聞きした事実」があるだけで「スパイ行為」と見なされるそうです。
これからパドック内では、知り合い同士で
ちょっとした「オフレコ話」はメールでやりとりしてはいけません。
FIAから「目」をつけられた時点で“おしまい”です(笑)

冗談はさて置き、事件を巡る漠然とした「フシギ」感は残ったまま。
フェラーリは、「“マクラーレン”がスパイ行為をした」と言い張ったのです。
だったら、「マクラーレンの誰それが具体的な“スパイ目的の指示”をした」
という物的証拠が必要ではないでしょうか?

 《婦人服》ブランドMの企画担当が
 《婦人服》ブランドFの企画担当と知り合いだった。
 この秋冬新作のデイスプレイ方法や宣伝文句など
 数百ページの企画書をFがMに送って教えた。
 その話がMの企画部内で話題になり、広報部の人間が
 今度の会議の議題にするため、企画担当にくわしい内容について質問した。
 企画担当は、知っている内容を答えた。

今回のメール内容で分かったのは、この程度の内容です。
「企業人としての自覚に欠けた個人的行為」の存在は認められます。
それを不用意に使用しようとした「軽率な行動」の形跡もあります。
ただ、それだけの《状況証拠》だけでブランドFの社長は、
ブランドM全体が「産業スパイ」を働いたと訴えられるでしょうか?

F1界の裁判長マックス・モズレーは、
「ロンは、私の信頼を裏切った」という個人的怒りも上乗せ、
「個人的な罪も、組織は負うべきである」として
マクラーレンチームを強引に断罪したのです。実に「フシギ」です。

かつて、これとまったく逆の裁定が下された事があります。
2002年。オーストリアGP「A1リンク」。
かの有名な《フェラーリチームオーダー事件》。
この時、裁かれたのはチームではなく、ドライバー個人。
表彰台の立ち位置を変えた「ミハエルの勝手な行為」だけが裁かれたのです。
肝心の「チームオーダーの是非」は、問われませんでした。
この時は「組織の罪も、個人が負えばオッケイ」なのでした。
物凄く「フシギ」でした。

往々にしてこういう「フシギ」な事件の場合、
明らかにされない部分に《核心》が潜んでいるような気がします。

たとえば、今回の件で言えば
「3月11日から7月3日までの期間、
コフランとステップニーの間で交わされた288通のSMSメッセージ。」

ちなみに

マクラーレンが《フレキシブルフロア》についての上申書をFIAに送ったのは、
“ライコネンが圧勝”開幕戦オーストラリアGP決勝のあった3月18日以後。

ナイジェル・ステップニーの“チーム内妨害工作”が表沙汰になったのが
“マクラーレン3連勝”したアメリカGP決勝(6月17日)直後の6月22日。
あるいは“ライコネン奇跡の復活”フランスGP約1週間前と言うべきか。

そして、いよいよ《ステップニー・ゲート》として
秘密漏洩問題が大々的に取り沙汰されるようになったのが
“ライコネン2連勝”イギリスGP直前の7月3日の事。

この間に2人が、ショートメッセージでどんな内容をやりとりしたか、
ぜひ「内容」を読んでみたいと思いませんか?

◆ここでまた“究極のタラレバ”
もしも今年、マクラーレンがフェラーリに対して
《フレキシブルフロア使用》の邪魔さえしなかったなら。
・フェラーリのマシンは、何勝していたでしょうか?
・チャンピオンシップは、誰と誰によって争われていたでしょうか?
・そもそも《ステップニー・ゲート》など取り沙汰されたでしょうか?

ハンガリーGP最終予選。
「チーム内ゴタゴタ」に内政干渉してまで、
マクラーレンからチームポイントを剥奪していった一件。
アレもよく考えれば「フシギ」な裁定でした。

なんだか、今回の「予行演習」だったように思えてきます。

カテゴリー[ F1・全般 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 09月 23日 17:27:24

お詫びと訂正<(_ _)>

ロン・デニス代表 ハミルトンのアロンソへの批判に取り合わず

【9月18日 AFP】F1に参戦しているマクラーレン・メルセデス(McLaren-Mercedes)のロン・デニス(Ron Dennis)代表は17日、ベルギーGP(Belgian Grand Prix 2007)決勝で所属するフェルナンド・アロンソ(Fernando Alonso)がチームメイトであるルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)のコースを塞ぎ、その結果コースアウトしたハミルトンがアロンソを批判したことについて言及し、この件を特に問題視しない姿勢を明らかにした。
≫続きを読む…
(c)AFP/Andrew Fagan

AFPBB News


ホント。申し訳ありませんでした。

「ニコラス・トッドは、ハミルトンのマネージャー」
なんてまったくのウソを平気で書いてしまいました。
ここにお詫びして、訂正させていただきます。

「ニコラス」はマッサのマネージャーで、
ハミルトンのマネージャーはお父さんの「アンソニー」さんでした。

そりゃ、そーですよね。
常識的に考えれば当たり前のコト。
なのに、
GP2時代ハミルトンのスタート前、傍らに立つニコラスの姿を見て、
「えっ?ニコラスってハミルトンのマネージャーもやってんの?」
なんて「間違った思い込み」を、ずっと記憶し続けていたのです。

ニコラスは、GP2時代にハミルトンが所属した「ART」チームの代表でした。
だから、ハミルトンの隣に立ってたのですね。

ああ〜恥ずかしい。
「ニコラス・トッド」で検索したらトップ4番目にこのブログ出てるし…。
自戒の意味も込めて、このまま「晒し上げ続け」というのも考えましたが、
ナニも知らない人がうっかり「真に受けてしまう」キケンもあるので
早速、修正するコトにします。

もしも、友だちにこのブログから
「ニコラス・トッドってさ〜ハミルトンのマネージャーもやってるって」
などと間違って言ってしまった人がいたなら、
ゴメンなさい。謝ります。ナニも弁償できませんが許してください。

あと読み方も「ニコラ・トッド」が正式なのかも。
「F1速報」では、そう書かれていますね。
クビサは「クビカ」。どっちが正しいんですかね?

・・・・・

さて、ハミルトン。ここに来てかなり「焦り」が見えてきました。
今回のアロンソ批判もそんな「焦り」が言わせてる感じがします。
恩師ロン・デニスも「勝手にやったら」みたいな投げやり感が…。
そりゃ、全ポイント剥奪じゃあ、誰だって腐りたくもなるでしょう。

ドライバーズ&コンストラクターズダブルタイトル獲得を花道に
「今年、いっぱいで代表辞任」計画(あくまで噂)もこれでオジャン。
まさに「飼い犬(ハミルトンだけでなく)に手を噛まれる」は、
「泣き面にハチ」だわの踏んだり蹴ったり状態。

コトここに至っては、ロン・デニスが八つ当たりな分も含めて
ハミルトンに対して「可愛さ余って、憎さ百倍」になったとして
誰がロンを責められるでしょうか?

ハンガリーでの一件が、ここに来てすべて“裏目”になってる感があります。
ますますマクラーレン内で居づらくなるのは、ハミルトンの方かも…。
あの時、父アンソニーがスチュワードに抗議しなければ…。

これからもっと「プロに徹したい」のなら、
ハミルトンも身内意識を捨てる覚悟が必要かと…。

未来の「ハミルトンのマネージャー候補」がもういつでも
手ぐすね引いて待っている事でしょう。勿論、ニコラ・トッドも含めて…。


・・・・・

まだ、自分の勘違いを
なんとか「正当化」しようとあがいてます(苦)

カテゴリー[ F1・全般 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 09月 20日 09:26:08

ショック…あのコリンが死ぬワケない

故マクレー氏に各界から追悼の言葉

【9月17日 AFP】現地時間15日にスコットランド中央の町ラナーク(Lanark)の雑木林に墜落したヘリコプターから発見された4人の遺体のうち身元が判明した2体は、元世界ラリー選手権(World Rally Championship)王者のコリン・マクレー(Colin McRae、英国)氏と、マクレー氏の5歳の息子ジョニー・マクレー(Johnny McRae)くんのものであることが地元警察の発表により明らかとなった。
≫続きを読む…
(c)AFP

AFPBB News


信じられない。
生前は、ゴーマンさがあんまり好きじゃなかった。
でも、あんなに「ダイハード」だったヤツが。
幼い息子と一緒にだなんて…残酷過ぎる。
たまらない。


悲しい。ツライ。

カテゴリー[ その他のモータースポーツ ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 09月 17日 11:58:12

「10倍返しなキケンな2人」で一句

FIA会長がロン・デニス代表を非難

【9月16日 AFP】国際自動車連盟(Federation Internationale de l’Automobile:FIA)のマック・モズレー(Max Mosley)会長は、マクラーレン・メルセデス(McLaren-Mercedes)のロン・デニス(Ron Dennis)代表が、同チームのスパイ疑惑に関する捜査で嘘をついたと非難した。
≫続きを読む…
(c)AFP

AFPBB News


やられたら 10倍返しが キマリじゃけ

スゴイですね〜「F1仁義なき戦い」場外乱闘編
なんかもうサーキット以上に燃え上がってきてます。

虚実いろんな情報が錯綜していてますけど、
今回の騒動はマクラーレンによる
《フェラーリの可動式アンダートレイ封じ》から端を発しています。

パドック内で誰もがすでに知っていた、フェラーリの“動くアンダートレイ”。
そんな時、今年序盤にあえてマクラーレンからFIAに出された“お伺い”
「私らこんなアンダートレイ考えてますねんけど、コレって“オーケイ”だすか?」
コレがFIAによって却下。
コレによってフェラーリは、間接的に《可動式アンダートレイ》を奪われてしまった。

まあ、それ自体はよくある事。
敵のマージンをコロすためなら手段を選ばないのは「F1の常」。
(去年の《マスダンパー禁止》騒ぎも似たようなもの)
しかし、フェラーリはこの時にマクラーレンから提出された内容を吟味した結果
(フツウなら“極秘事項”だから《第三者》は見れないはず…ですけどね)
「オイ。コレって、詳し過ぎネ?」
てな事で、フェラーリ内部の《内通者》の存在が疑われ…
ほんでもって『ステップニー・ゲート』へと発展したというのが一連の流れ。

「ロン・デニスは、いつ頃、どこまで知っていたのか?」という「大疑問」から
「そんな機密文書をふつう街中のコピーサービスで大量にするか?」という「小疑問」
はたまた「コレってフェラーリの自作自演臭くネ?」なんてコトは置いといて
私が一番、興味深いのはジャン・トッドの異様な食いつき加減。

どうも一連のトッドの動きは「対モンテゼモーロ」に向いているような気がします。

去年のルカ・モンテゼモーロ主導により進められた「ライコネン移籍」
以来、ジャン・トッドとモンテゼモロの間がうまく行ってないのは周知の事実。
ミハエルの「早すぎた引退」もこの一件による影響が強いと言われるし、
今年のフェラーリチームの「ぎこちなさ」「ちぐはぐさ」の
根本的な原因もそこにあるような気がします。

「ライコネンをメインにしたチームづくり」の方が
チャンピオン争いを戦う上で“効率が良い”事が分かっていながら
マッサを「第2のバリチェロ」にしないトッドの胸の内。
多少は親バカ(マッサのマネージャーはトッドの息子)もあるかもしれないが、
それ以上に“バカ会長への当てつけ”的な要素が多分に強いはず。

ところが、その悪影響…っていうか当然の成り行きとして、
ドライバーズ・チャンピオンシップは風前の灯火。
それだけならまだしも、コンストラクターチャンピオンまで危うい状況。
これはジャン・トッドには「サイアクのシナリオ」です。
下手するとバカ会長に「解雇」される口実を与えてしまいます。

そこで最大の武器《ステップニーゲート》を使って
マクラーレンを“ナニがなんでも”コンストラクターズ・チャンピオンシップから
“引きずり下ろす事が絶対必要”なワケです。

それに比べたら、ドライバーはどーでもいい。
下手にライコネンがチャンプになってバカ会長の高笑いを聞くくらいなら
マクラーレンのどっちかになってもらった方がずっといい。
バーニー・エクレストンの商売の邪魔をしない方が得策なのは、
ジャン・トッドもちゃんとわきまえてますから。

しかも、このまま「ライコネン、ダメじゃん!」って気運が高まって、
ライコネンと一緒にバカ会長の口も封じ込める事が出来たら一石二鳥。
もしも「ライコネン放出」にでもなったら?

まさか「ハミルトン・アロンソの確執」まで
トッドにシナリオは書けないと思うけど…。
もしも、ジャン・トッドが
ロン・デニスの手からハミルトンを奪い取ったなら…。
ほんでもって、ハミルトンをフェラーリでチャンピオンになんか
しちゃったりなんかしちゃったりしたなら…。

100倍…いや10000倍返しだね。
ロン・デニス、真っ白な灰になっちゃうかもね…。

カテゴリー[ F1・全般 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 09月 16日 10:15:08

「ルイス、聖地モンツァでキミを撃沈」で一句

ハミルトン イタリアGPを2位でフィニッシュ

【9月10日 AFP】F1第13戦・イタリアGP(Italian Grand Prix 2007)、決勝。2番グリッドからスタートしたマクラーレン・メルセデス(McLaren Mercedes)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)は、1時間18分43秒868を記録して2位でフィニッシュした。(c)AFP

AFPBB News


画像

1コーナー ルイス炸裂 オーバーテイク

「モンツァの歴史は、F1の歴史」
そう言われるほど、人々の記憶に鮮烈なレースの残像を刻みつけ
数々のドラマを生み出してきたF1の聖地モンツァ。
今年のイタリアGPも、見せ場の多いドラマチックな一戦でした。
なんと言っても最高の見せ場は、
ルイス・ハミルトンがキミ・ライコネンを1コーナーでパスした瞬間。

GP2時代からハミルトンを応援し続けてきたファンが、
「待ってました!」と思わず身を乗り出すような
実に“ハミルトンらしい”鮮烈なオーバーテイクシーンでした。

◆モンツァのコースの覚え方
モンツァのコース図を絵にすると、
左手で掴みやすく置かれたピストル(ブローバック型自動拳銃)のカタチをしています。
銃口が相手側、銃把(グリップ/握り手)が左側を向いているカンジです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Image:Circuit_Monza.png

そうするとスタート・ゴール地点は銃身のちょうど真ん中あたり。
手前に向かって、薬莢の排出口あたりが「1-2コーナー」
(オールドファンには、レティフィロ・シケインと言った方が通りが良いでしょうか)
グルッと回り込む「クルバ・グランデ」が撃鉄まわり(今回クルサードがクラッシュした場所)
銃の握りの凹み部分(ちょっと下過ぎるけど)が「バリアンテ・デラ・ロッジア」
グリップの底全体が「クルバ・ディ・レズモ」
(細かく“レズモの1個目・2個目”と言い分けたりします)
指で握るグリップの緩いカーブあたりが「クルバ・デル・セラグリオ」
(陸橋のある森の深い部分。今回ライコネンがクラッシュしたのはこの先)
グリップのラインが銃身に突き当たる部分が「クルバ・デル・ヴィアローネ」
様々なドラマの舞台となるシケイン「バリアンテ・アスカリ」はまさに《引き金》部分
銃身の下部分の長い直線を抜けた先、丸みを帯びた銃口が最終の高速カーブ「パラボリカ」

以上でモンツァの1周が完了です。
ちなみに「クルバ」というのは「カーブ(コーナー)」の事。
「バリアンテ」は「シケイン」。(イタリア語で「異なる」の意味)
どうでしょう?なんとなく覚えられたでしょうか?

もっとカンタンに覚えたいなら
《レティフィロ - ロッジア - アスカリ》の3つのシケイン。
その間に《グランデ - レズモ - パラボリカ》の3つの大きなカーブがある。
という風に覚えましょう。

◆アロンソの遺恨
思い返せば1年前。アロンソはここモンツァで煮え湯を飲まされました。
最終予選中、フェリペ・マッサの進路を妨害したとしてベストタイム3つを抹消。
抗議する事すらできず、泣く泣く10番手スタートとなります。
それでも決勝では、懸命の走りを見せ表彰台圏内まで登り詰めた…ゴールまで残り10周。
追い上げによるムリが祟ったのか、ルノーエンジンが白煙を上げてストップ。
ミハエル・シューマッハとの間にあった12ポイントのマージンが一瞬で2ポイントに。

そんな遺恨を晴らさんばかりにアロンソは、フリー走行から快走してみせます。
そして、決勝でも“アンタッチャブル”なポールトゥーウィン。
今回ばかりは、ルイス・ハミルトンにまったく付け入る隙を与えませんでした。
完璧なレースで10ポイント追加。同僚との差を3ポイントまで詰めます。

◆ライコネンの不運
2年前、ライコネンがアロンソとチャンピオンシップを争っていた時。
ここモンツァでライコネンは見事ポールポジションを獲りました。
しかし、午前中にエンジン交換していたためにポジション降格。
11番手スタートを挽回するため1回ピット作戦を予定。
激走に次ぐ激走で2位までポジションアップしたところでピットイン。
しかし、交換したリアタイヤに不調が発生し、再度ピットイン。
せっかくの苦労が水の泡。
それでもライコネンはあきらめず、ファステストを出しながら4位フィニッシュ。
しかし、同僚モントーヤの優勝を見れば全てが徒労にしか思えませんでした。
結局、このシーズンはアロンソにチャンピオンシップを奪われます。

そして、去年。ポールスタートだったライコネン。
しかし、最初のピットインでミハエルの先行を許してからは手も足も出ず。
最終的に2位キープの走りで収まってしまいます。
「来期フェラーリへの移籍を前にわざとミハエルに花を持たせた?」
などと穿った見方もチラホラありましたが、チャンピオンシップにも無関係なので、
次戦ベルギーへ向け、エンジンにもムリをさせたくなかったのでしょう。

そして、今年。
フリープラクティスでの高速クラッシュで痛めた首で激走。
しかし、ハミルトンにオーバーテイクされてからは気力が落ちたのか、
あるいは、より有利な次戦ベルギーのためにエンジンを温存するためか、
ガックリとペースが落ちました。ライコネンの不運がこれで終われば良いのですが。

◆マッサの可能性
モンツァでリタイア/ノーポイントとなったマッサ。
彼のチャンピオン獲得の可能性はいよいよ厳しくなりました。
もしも、残り4戦をマッサがすべて勝ったとして、総得点は109ポイント。
ハミルトンが勝つために必要なのは「18ポイント」。4位を4回で逆転可能です。
アロンソは「21ポイント」。3位を4回で逆転可能です。
ライコネンが勝つために必要なのは「36ポイント」2位4回では逆転できません。
同僚には勝てるチャンスはありますが、マクラーレンの2人を負かすためには
よほどの奇跡でも起きない限り“実現”は難しいでしょう。

◆ハミルトンの本領
今回のライコネン攻略。実に見応えのあるオーバーテイクでした。
しかし、ライコネンがクラッシュによってダメージを受けている事。
ソフトタイヤ交換直後によるアドバンテージの大きさなどを考えれば、
あの1コーナーでの出来事は「実力6:好運4」ぐらいの結果でしょうか。

同僚のアロンソに、まったく付いていけなかった事。
それを考慮に入れるとチャンピオンシップ競争はイエローランプ点灯状態です。
残り4戦でアロンソに3ポイント差。果たして逃げ切れるのか?
ここからは未曾有のプレッシャーが襲いかかる、経験がモノを言う世界。
逆上して暴言を吐くような精神状態では、勝ち目はないでしょう。

◆ちょっとヤな感じ
そこでちょっとヤなのが『マクラーレンスパイ疑惑に関する聴聞会』の存在。
すでに「ポイント剥奪」をチラつかせながら情報提供を
マクラーレンのドライバー3人(デ・ラ・ロサも?)に対して強制しようとしてるとか…。
こんな押し詰まった状況で「上半期のポイント剥奪」なんて事になっちゃって、
フェラーリの2人にチャンピオンシップ争いが移行…なんて事もまんざらではナイかも。
ヤだな〜そんな事でライコネンがチャンピオンになっても。

後ちょっと気になった事。
ライコネンのクラッシュシーンの映像。
マシンが壊れた瞬間、肝心の「コンマ数秒」が間引かれている事。
フェラーリの意向?FIAの思いやり?ちょっと気になる。

◆ロズベルグの活躍
今回は、ロズベルグの活躍が目立ったのもうれしい。
かつての名門ウィリアムズも凋落傾向に歯止めが利かない感じなので
こうしてコース上で元気な活躍を見せる事でチーム状況も上向いてほしいトコロ。
それはスーパーアグリにも言える事。琢磨には、もう一踏ん張りお願いします。
バトン、バリチェロのホンダ勢もガンバレ。
ラルフ、トゥルーリのトヨタ勢もガンバレ。

◆今回の残念賞
去年のモンツァで大暴れしたBMWのクビサ君は、実に残念でした。
あのフロントジャッキのひっかかりで失った10秒以上のタイム。
アレさえなければ終盤、ハイドフェルドとのガチンコ同門対決が見られたのに…惜しい。

カテゴリー[ F1・全般 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 09月 14日 00:14:45

「追憶の《セナプロ時代》その1」で一句

アロンソ トルコGPで3位入賞を果たす

【8月26日 AFP】F1第12戦・トルコGP(Turkish Grand Prix 2007)、決勝。
≫続きを読む…
(c)AFP

AFPBB News


画像

オーガバトル セナ・プロストの エゴと意地

四天王時代、2強対決。
20年前の“熱き時代”をトレースする煽り文句。
コース内外で繰り返されるいつか見た確執と煩悶。
デジャヴか、パブロフの犬か
脳裏に甦るのは、トラウマの風景。
血で血を洗う文字通りの《真剣勝負》…。

ロン・デニスも若く髪は多かったが、経験値はまだ少なかった。
何よりセナとプロストという当代随一のドライバー2人が
コース上で《喰人鬼=オウガ》と化し、死力を尽くして戦った。

だから、醜悪で陰惨だった。
故に、純度100%の燦めきがあった。

そんなセナとプロストの時代。
《1988年・激突編》を数回に分けてご紹介。
(思い込み&事実誤認ご容赦/不定期御免)

“死闘”の幕開け
アイルトン・セナには、確信があった。
自分は、誰にも負けない《パーフェクトな存在》だという確信が。
それを証明するために、いくつかカードが必要だった。

やがて「ホンダ」という「キラーカード」を手中にしたセナは、
1988年、ついに《マクラーレン・ホンダ》という
“ロイヤル・ストレート・フラッシュ”並みの手札を完成させる。
ただそこに1枚、余計なカードが混ざっていた。

「アラン・プロスト」という名の“ジョーカー”。
そのままの状態でも、セナには十分、勝算はあった。

ただ、セナという人間は、
如何なる時も“不完全”という状態を嫌い、
レーシング・ドライバーとして─「勝利」に対しては特に─
病的なほど《潔癖症》過ぎた。

セナは、ある事を決断する。

セナの決断
それはプロストから全てを「奪う」事。
誰もが認めた「旧き王者」の栄光と尊厳を破壊し、
その影すら跡形もなくテリトリーから払拭し、
自分が「新時代の王」である事を高らかに宣言する事。

それはセナにとって、当然の権利だった。
神から授けられた“己が才能”を世に知らしめる事。
それこそが自分が生まれ持った使命。
そこに一片の疑いもなかった。

プロストがその事を理解するために数ヶ月を要し、
ロン・デニスに到っては、3年後にやっと認めざるを得なかった。

用意された“試練”
開幕戦・母国ブラジルで、セナはポールポジションを獲得。
幸先の良い出だしだった。
セナは、最終予選後のインタビューでこう答えている。

「素晴らしいね。母国で、しかもマクラーレン・ホンダに
チーム移籍した最初のレースでポールを獲れるなんて。
重要なのは、ココで僕たちの車のポテンシャルの高さを見せつけられたって事。
この時点での大きな格差は将来的に《僕とチームにとっても》ハッピーな事だね。
ただまだ、僕自身がマシンについて学ばなければならない点が多いから、
明日のレースが実際のトコロどうなるか分からないけど、
多分、エキサイティングなレースにしてみせるよ。」

在る意味、これは予言に近いコメントだった。
決勝は、ほぼその言葉通りの展開となる。
ただ勝者が、彼本人でなかっただけで…。

プロストは予選中のTカー乗り換えなどもあり3番手がやっと。
予選中、終始快調だったセナとは対照的にプロストの予選は散々だった。
フリー走行でのフロント翼端板の破損によりハンドリングに不調を抱えてしまったのだ。
セナは、レース序盤の敵をまず隣のマンセルに狙いを定める。

決勝レース開始を告げるグリーンフラッグが振られ、フォーメーションラップが始まった。
トップを行くセナは、周回後半、極端にペースを落とす。
排熱効率の悪い[FW12]に乗るマンセルを牽制する作戦だった。

ところが、“策士、策に溺れる”。
1番グリッドについた数秒後、セナのマシンの方に異常が起きた。
エンジン停止。両手を振り「始動不能」をアピールするセナ。
後方では、無関係なイヴァン・カペリのマシンが煙を吐く。

一斉にイエローフラッグが振られ、スタート中断。
水温計が危険域に達していたマンセルは、ただ1人スタート。
観客から水ボトルを投げつけられても構わず、クールダウンを続ける。

実は、セナのマシンは決勝直前からすでに不調を抱えていた。
グリッドにつく直前にバッテリー交換をしていたのだ。
トラブル原因の掴めないセナは、やむなくTカーにマシンを交換する。
せっかく獲得したポールポジションも水の泡。不覚のピットスタート。
カペリを後ろに従えピット出口で待つセナ。
優勝の可能性は、ほぼ無くなったと誰もが思った。
実際、この時点でセナは、レース参加資格をすでに失っていたのだが…。

静かな序盤
2度目のフォーメーションラップが開始される。
後方にまだ準備の終わっていないマシンがいたが、再度グリーンフラッグが振られた。
チームクルーが慌ててコースサイドの芝生へ退避する中、各マシンは爆音を上げながら発進。
全車、順調に周回を終え、再びグリッドへと戻って来る。
プロストの前には、空席の1番グリッドが開いていた。
何の問題もなく(マーシャルがスタート直前、コースに寝転がろうとする人間を排除しながら)
レッド・シグナルからグリーン・シグナルへと変わり、決勝レースがスタートした。

プロストは、セナ不在の空間を活かしスタートダッシュを決める。
マンセル(ウィリアムズ)を置き去りにし、
オープニングラップをトップで戻ってくるプロスト。
予選までの不調が、まるで「ウソ」のようだ。
以後、プロストはマンセルを抜いた2位ベルガー(フェラーリ)との差を
1周ごとに着実に1秒強ずつ広げ始める。

1位プロスト、2位ベルガー、3位マンセル、4位ピケ。ターボ勢が上位を占める展開。
ただその後方では、ティエリー・プーツェンが極彩色のベネトンB188を自在に操り、
5位ミケーレ・アルボレートの乗るフェラーリをオーバーテイクしていた。
やがて来る自然吸気エンジン時代の足音。ターボ時代の終焉を感じさせた。

勢いに乗るベネトンは、前を行くピケ(ロータス)との差を詰め始める。

“破・急”の展開
そんな8周目、画面が空撮へと切り替わる。
信じられないスピードで純白と赤のマシンが前走車を追い抜いて行く。
「プロストが周回遅れをパスし……いや。セナ!セナです。なんと11番手!」
アナウンスも狼狽えるほど、セナの走りは鮮烈だった。

ほとんど映らなかった序盤から常識外れのペースで追い上げてきたセナ。
“ターボ”と“自然吸気”の差は縮まる…という前評判は、その瞬間に雲散した。
《マクラーレン・ホンダ》とその他の間に存在する「ポテンシャルの格差」。
インタビューでのコメント通り、その実力差を見せつけるように遅い車を追い抜いて行く。
セナにとって、それらはまるで「存在しない」も同然だった。

13周目には、アルボレート(フェラーリ)をパスして6位入賞圏内へ。
さらにセナは、小競り合いを続けるプーツェンとピケの2台にも急接近していく。

16周目には、まずベネトンをバックストレートで、直線スピードの差を活かしパス。
続く17周目には、因縁あるピケさえも同じ場所で、あっさりパスしてしまう。
同じホンダエンジンと思えないほど、ポテンシャルの差は歴然だった。

セナ4位。ここまでオーバーテイクしてきたマシンは19台。
表彰台がもうそこまで見えていた。

そんな18周目。マンセルがタイヤ交換のためにピットイン。
しかし、マンセルがピットを出る事はなかった。
ピット上でエンストしたジャドエンジンは、その息を永遠に止め、
マシン後部から致命的オーバーヒートを示す蒸気だけが吹き出していた。

翌周には、フェラーリのベルガーがタイヤ交換でピットへ。
セナは、ついに2位。プロストの後ろまで辿り着いた。
しかし、セナはまだピットインしていないため、この2位も暫定的なものだった。

無情のブラックフラッグ
26周目にプロストがタイヤ交換でピットイン。
この時、マクラーレンのピットクルーはらしくないミスを犯す。
左フロントタイヤの交換に手間取り5秒余分にタイムをロスしてしまう。

27周目。セナのタイヤ交換。
しかし、セナのマシンはまたここでもエンジンが止まってしまう。
セナは指でエアスターター始動の指示を送る。

しかし、ピットクルーはまたもやミスを犯す。
エアスターターのエア残量が足りずエンジンを始動できなかったのだ。
結局、セナのピットアウトは32秒後。
25秒ものタイムロスは、セナを一気に6位まで後退させてしまう。
だが、セナの闘志の火はさらに燃え上がったように思われた。
それは遠く日本で見ていた多くのF1初心者たちの気持ちが燃え上がった瞬間かもしれない。

しかし、CM明けにそんな日本の視聴者たちが目にしたのは、
セナへ向けて提示される無情のブラックフラッグだった。

「レース開始の合図であるグリーンフラッグ提示後のマシン交換禁止」規定違反による「失格」。

しかし、見ていた多くのにわかセナファンたちには、その理由も意味も分からなかった。
ただセナが、不当かつ一方的に「失格」を言い渡されたようにしか思えなかった。
ピットレポート・森脇氏の「あまりに理不尽」という言葉や
解説・今宮氏の「出すならもっと早く出すべき」という意見がさらにその不当性を強調していた。

処分がここまでズレ込んだのは、スチュワードの裁定に対してロン・デニスが抗議したため。
レース映像見ると、確かに2回目のスタートでグリーンフラッグは振られている。
レギュレーションの言葉尻だけとらえれば「違反してないじゃないか!」とも言える。
しかし、グリッド上に残ったマシンは1周多く走ったマンセルも含めて燃料の追加給油をしていない。
そこで満タンのセナがピットからスタートする…コレはフェアなレースとは言えない。

しかし、本来、レースやり直しの時点で「全車再給油を許可」すべきだったのだ。
結局、セナはレース主宰者側のミスをムリヤリ押しつけられた形で「失格」となった。

もしもセナが「失格」にならなければ
ここでまたもや究極の「タラレバ」。
「セナ失格」がなければ、果たしてセナはプロストを破り、優勝できただろうか?

私もずっと「セナはブラジルで優勝する機会を奪われた」と思っていたのだが、
実はレースをよく見直してみると「それは絶対なかった」と思わざるを得ない。

現代のようにリアルタイムで表示してくれない
1周近くタイムラグのあるタイム表示を見つめながら
プロストの恐るべきレースコントロール術をじっくり堪能した。

セナが序盤に遅い車をガンガン抜いていた11周目。
プロストとセナのタイム差は33秒600

フェラーリ、アルボレートをパスした13周目
プロストとセナのタイム差は33秒209

豪快にロータス、ピケを料理した17周目
プロストとセナのタイム差は35秒129

そして、マンセル、ベルガーのピットインでセナが暫定2位になった後

21周目 プロストとセナのタイム差は30秒379

22周目 プロストとセナのタイム差は32秒197

24周目 プロストとセナのタイム差は33秒265

この後は、プロスト-セナのピットイン。
セナの失格などもあり、タイム差表示はここまで。

しかし、セナがベルガーを攻略し、2位に上がっても、プロストとの差は、
最後まで33秒前後から縮まる事はなかっただろうと思う。

セナの失格後、プロストは2位ベルガーに対しても安全圏に達するまで
決してタイム差を縮める事を許さなかった。

まさにプロフェッサーの名に恥じない鉄壁のレース戦略。
予選での「不調」「イライラした素振り」まで全て計算でやっていて
そうやってワザとセナの油断を誘ったのではないか?…などと疑ってしまう。

ゴール後、すぐにコース脇に止めて「燃費ギリギリだった」ように見せかけるプロスト。
ベルガー、ピケ、中嶋など誰もが汗だくになり、疲れた表情を見せる中、
ただ1人、汗ひとつ流したように見えない、ゴール後も落ち着いた表情だったプロスト。

セナの野望を知ろうが知るまいが…
プロストによるセナ攻略は、それ以前からすでに進行中だったのでは?

そう思わせるほど、プロストは平然とマイペースにレースを勝って見せた。
そうやってチャンピオン候補たるレーサーの格の違いを見せつけ、
「王者」のレースとは何かを「失格者・セナ」に見せつけようとした。
開幕戦・ブラジルとは、そんなレースだったように思える。

ただセナは、まだプロストの恐ろしさに気づいておらず、
それ以前に、セナは己の中の敵にも気づいていなかった。

カテゴリー[ F1・昔ばなし ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 09月 04日 00:44:33

カレンダー
< 2007年 09月 >






1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30





プロフィール
斎藤モ吉
(男)
福岡の片田舎でデザイナー兼ライター営業中。F1にハマったきっかけは、仕事関係で見始めた1987年のドイツGP。プロストとピケの麗しい姿に感動。
好きなレーサーは、ジル・ヴィルヌーブとアイルトン・セナ。好きなF1マシンはフェラーリ312T4。好きなF1マンガは『赤いペガサス』。好きなF1映画は『グランプリ』。好きな言葉はジル・ヴィルヌーブの『来年がやってくるってどうして言えるんだい? 』
最近のトラックバック
お気に入りリンク
検索