「おかえりザナやん」で一句

<F1>両足切断の元F1ドライバー ザナルディがBMWのテスト走行に参加 - スペイン

【チェステ/スペイン 25日 AFP】元F1ドライバーのアレッサンドロ・ザナルディ(Alessandro Zanardi)は、リカルド・トルモ(Ricardo Tormo)で行われたBMWのテスト走行に参加し、1999年シーズン以来7年振りにF1マシンを操縦した。
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(c)AFP/JOSE JORDAN

AFPBB News


不運?はあ? どっこいザナやん ここに有り

[解説]
ホンダエンジンを駆っての2年連続チャンピオン。
後方集団から見事な追い抜きで優勝をさらい、優勝後にコース上に白煙を上げながらドーナツを描く。そんな豪快な走りに魅せられたCARTファンは今も親しみを込めて「ザナやん」と呼びます。
不幸な事故で再起すら危ぶまれた彼は、ハンデもナンのその。世界ツーリングカー選手権で元気にレースを続け、優勝しちゃったりしています。BMWの粋な計らいで久しぶりにF1マシンに、しかも「義足をつけたドライバーとして初めて」テスト走行にも参加。現役ドライバーにヒケをとらない走りを見せ「健在ぶり」を証明してみせるザナルディの姿に改めて畏敬の念を強くします。

[雑感]
よく「レーサー」と「ドライバー」は違うと言われます。ただ単にマシンを運転しているに過ぎない者は「ドライバー」、戦い競い合う事に意義を見いだす者を「レーサー」と。
F1の世界で「アレッサンドロ」ザナルディは「ドライバー」と見られ、アメリカへ渡りCARTの世界で「アレックス」と名乗った彼は「真のレーサー」と呼ばれました。
しかし、不幸な事に彼の勇姿をF1では、まったく知る事ができませんでした。

◆ジョーダンからデビュー
彼のF1デビューは1991年、第14戦スペイン。ミハエル・シューマッハのベネトン電撃移籍&ジョーダン離脱の余波から実現となります。抜け目のないエディー・ジョーダンは、ミハエルの抜けた穴をベネトンから放出されたロベルト・モレノ流用で急場をしのぎ、スペイン戦からはF3000で注目されていたザナルディを起用します。

◆え?ドコドコ?
しかし、そのデビューを日本で何人の人が意識していたでしょう?
この年限りで引退する中嶋悟、そして来季ラルースから参戦する片山右京のニュース。そして、セナ対マンセルのチャンピオン争い。ザナルディがスペイン戦で画面に映ったのは、スタートの1〜2秒。後は欧州ラストランの中嶋を捉えようとフジTVが持ち込んだカメラに写っていた数秒間だけでした。

◆幻のオーバーテイク
続く日本GP。注目はやはりセナ・マンセル対決と中嶋鈴鹿ラストランでした。
古館アナによるグリッド紹介もない(ロータスのハッキネンも同様)ままスタート。
シケイン後の最終コーナーでの多重クラッシュで同僚チェザリスが戦線離脱。波瀾の幕開けを匂わせた序盤、CM明けの8周目。あっけなくギアトラブルでコースサイドにマシンを止めたザナルディが初めて画面に大写しとなりました。
実はこのリタイア直前、ザナルディはシューマッハをオーバーテイクしていたらしいのですが…。

◆雨に流されたベストリザルト
そして、最終戦オーストラリア・大雨のアデレード。
中嶋もシューマッハもマンセルもベルガーも続々とスピンリタイアし、雨レースが得意のセナさえも続行不可能を訴える最悪のコンディション。そんな大荒れの中、着実にコース上にとどまり続けていたザナルディ。結果的にはレース中止、14周までの順位で終了とされ、記録上は9位となっていますが2位ベルガー、3位マンセルも赤旗中断された16周の時点ではリタイアしていましたから、もし、あのままレースが続行していたら入賞圏内フィニッシュもありえたレースでした。

◆消えた最有力候補
プロストとピケという大物2人の去就が騒がれた91-92年シーズンオフ。結局2人とも92年のF1シートを失いますが、その影でザナルディもいくつものチームの間で去就が揺れます。
当初、F3000を共に戦った新興チーム「イルバローネ・ランパンンテ」がティレルを買収しベネトンジュニアチームとしてF1参戦するという話があり、その契約ドライバー最有力候補としてザナルディの名が挙がっていました。しかし、ベネトン/トム・ウォーキンショーの暗躍で買収金額が不当なまでに吊り上がってしまい、結局「イルバローネ」の参戦自体がお流れとなってしまいます。

◆金とともに去りぬ
ジョーダン残留の線が濃厚となり、一度はテスト参加(クラッシュしてマシンを破損=テスト中止となってしまいますが…)していましたが、多額のスポンサーマネーとともにレイトンハウスからグージェルミンがやってくるとエディ・ジョーダンはザナルディをポイ。
次はティレル枠からエントリーリストに乗り、これで来季はほぼ確定と思われました。
しかし、いざ開幕戦を迎えたら、ティレルのシートに収まっていたのはマルボロマネーを抱えたアンドレア・デ・チェザリスでした。
中嶋引退とともにホンダエンジンを失ったティレル。持参金額でドライバーを選ばなければ生き残れない苦しい財政事情から下された「背にハラ」な決断でした。
こうしてザナルディは、92年シーズンの浪人生活が決定してしまいます。

◆ブリアトーレの手
しかし、そんな哀れなザナルディに救いの手が差し伸べられます。
ベネトンのテストドライバー採用でした。申し出たのはフラビオ・ブリアトーレ。この行動は、ヴェネチア財界のドンの娘婿が主催する「イル・バローネ・ランパンテ」F1進出計画がオジャンになった事に対する罪滅ぼし?とも受け取れますが、どちらかといえばマーティン・ブランドル追い出し工作的意味合いの方が濃厚でした。
実はこの頃のベネトンはトム・ウォーキンショウ率いるイギリス派とブリアトーレ側のイタリア派の間で主導権争いが続いており、少しでもイギリス派の勢いを削ぎたいブリアトーレがザナルディを利用していると噂されました。

◆ミナルディからスポット参戦
フランスGPの予選中にミナルディのクリスチャン・フィッティパルディが事故で首に重傷を負います。その代役にザナルディが抜擢されます。しかし、ミナルディのマシンは、ハンドリングが劣悪でした。
イギリスGPでは、予選2日目が雨にたたられ初日のタイムで予選順位が決定。ブラバムに乗るデーモン・ヒルに0.08秒およばず予選落ち。
ドイツGPでは、予選24位スタート。たった1周目にクラッチトラブルでリタイア。
代役最後のハンガリーGPでは、予選中にスピン。押しがけスタートでコース復帰したため、レギュレーション違反として2日目のタイムを抹消され、またも予選落ち。
わずかなチャンスが逆に仇となり、世間での彼の評価は失墜します。「SPORT AUTO」のマイケル・シュミット氏などは「ベルモンド・ナスペッティ・アマティ」らと同レベルとしてザナルディを「F1に必要ない者」と切り捨てます。ザナルディの92年シーズンは失意のまま終わり、またベネトンのテスト作業へ戻って行きました。

◆落日の名門ロータスからリスタート
TWRへの出資に伴い、ルチアーノ・ベネトンとともにTWR役員となったブリアトーレ。計画通りブランドルをチームから追い出し、ウィリアムズからパトレーゼを獲得。いよいよイタリア色を強め、ウォーキンショウ包囲網は着実に進んでいました。そんな政治色強まるベネトンから抜け出すチャンスがザナルディへ巡ってきます。
マクラーレンへの移籍が決まったミカ・ハッキネンの後釜として、名門ロータスがザナルディを指名したのです。おそらくベネトンでのアクティブサス開発に携わっていた点が高く評価されたと思われます。

◆いい人なのになあ〜
ハッキネンの契約不履行で賠償金をせしめるとか、せめて持参金ドライバーにシート争奪戦をさせスポンサーマネーを吊り上げるとか、某チーム代表みたいな錬金術的方策も取れたはずなのに…こういう誠実的で良心的過ぎるところがロータスチーム代表だったピーター・コリンズの長所であると同時に、結局はロータスF1撤退を避けられなかった点かも…。
しかし、ハッキネンやハーバートの才能を信じて使い続けるなどドライバーの資質を見抜く力には長けていたコリンズ。ザナルディの潜在能力もきっと見抜いていたはずだったのですが…。

(ロータス編・ウィリアムズ編に続く)

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登録日:2006年 12月 14日 10:08:01

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プロフィール
斎藤モ吉
(男)
福岡の片田舎でデザイナー兼ライター営業中。F1にハマったきっかけは、仕事関係で見始めた1987年のドイツGP。プロストとピケの麗しい姿に感動。
好きなレーサーは、ジル・ヴィルヌーブとアイルトン・セナ。好きなF1マシンはフェラーリ312T4。好きなF1マンガは『赤いペガサス』。好きなF1映画は『グランプリ』。好きな言葉はジル・ヴィルヌーブの『来年がやってくるってどうして言えるんだい? 』
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