「ザナルディはミハエルより危険?」で一句

<F1>両足切断の元F1ドライバー ザナルディがBMWのテスト走行に参加 - スペイン

【チェステ/スペイン 25日 AFP】元F1ドライバーのアレッサンドロ・ザナルディ(Alessandro Zanardi)は、リカルド・トルモ(Ricardo Tormo)で行われたBMWのテスト走行に参加し、1999年シーズン以来7年振りにF1マシンを操縦した。
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(c)AFP/JOSE JORDAN

AFPBB News


古館アナ 「中華鍋」とは あんまりな

[解説]
プロレス実況で培った独特のネーミングセンスでセナを「音速の貴公子」と名付けては、その知名度を小学生からOLにまで広げ、止めどない1人語りを天衣無縫なボキャブラリーで展開しては、F1のイメージを異次元世界にまでワープさせた古館伊知郎アナ。
しかし、その独特の語り口が時に一部のF1ファンからは「不真面目」「意味不明」「ウザい」と激しく反感を買います。
今回、特にザナルディに注目しながら実況を見直していても「プッツン系」「札付きザナルディ」「イタリアの火薬庫」「走る二重人格」「要注意男」など…その悪意に満ちたネーミングの数々は、ファンならずとも「あまりにも《貶め》の度が過ぎるのでは?」と苦笑せずにいられませんでした。
特に94年マニクル。エンジンから炎を吹きながらリイアするザナルディをつかまえて「中華鍋のように火を噴いたザナルディ。おおっと〜まだ火を噴いている横浜中華街のようだぁ〜〜」は、ちょっと「あんまり」かと…同じGPで数周後、ミカ・ハッキネンのマクラーレンプジョーが同様に火を噴いた時、「中華鍋」とは言わず「活火山」と形容しました。その落差が意図したものは一体何だったのでしょうか?
そして、ザナルディをあくまで「アブナイ」と連呼し続けた根拠がどこにあったのか?全レースを振り返った今でも「よく分からない」のです…。

[雑感]
1994年、第3戦イモラ。ラッツェンバーガー、そしてセナ。取り返しのつかない悲劇がF1ワールドへ前代未聞の激震をもたらします。「安全」をめぐってレギュレーション、スポンサーシップ、ドライバーたちの意識に急激な異変や改革が沸き起こります。その混乱をあざ笑うかのように深刻な事故は続きます。94年シーズン、ザナルディに代わってロータスのレギュラーシートを獲得したペドロ・ラミーもそんな《不幸の連鎖》に巻き込まれた1人。一歩間違えば新たな惨劇となりえた大クラッシュ。命に別状はありませんでしたがラミーのレース続行は危ぶまれ、ロータスは再度、ザナルディへとステアリングを委ねます。

◆ラミーの大事故
スペインGP直前に行われたシルバーストーンでのテスト中、ペドロ・ラミーがアビーカーブへ時速270kmで進入した際に突然、ロータス107Cのリアウィングが支柱ごと吹き飛びます。
一気にダウンフォースを失ったマシンはスピンしながら空中に舞い上がり、インナーフェンスを跳び越えコンクリートウォールに激突。衝撃でエンジン&ギアボックスがもぎ取られたモノコックはラミーを乗せたままさらに2m飛び、防護フェンスを突き破って、コース下の歩行者用トンネルへ落下。タンクから漏れ出た燃料に引火し、モノコックが炎に包まれました。
「イモラの悲劇」以降、救護体制が整っていたため、いち早く駆けつけたコースマーシャルによって火は素早く消し止められ、意識を失っていたラミーも救護班により救命措置を受けた後、すみやかに病院へ移送されました。診断の結果、両膝の皿を粉砕骨折/右足首上部骨折/右手首骨折/両手親指脱臼/首ムチ打ち症など全身に重傷を負っている事が判明。緊急手術を受けて大事には至りませんでした。

◆復帰第一戦は無難に
ザナルディの復帰第1戦、スペインGPでは、またひと悶着が起こります。
「安全対策」の名の下にFIAによって強硬に進められるレギュレーション変更に対し、不信と不満を募らせた主要チームが金曜日午前の走行をボイコットしたのです。
FIAが折れる形で午後にはスケジュールも正常化しますが、ロータスの2台は低空飛行のまま決勝を迎えます。特に新車109を担当したハーバートはセッティングに悩み、古い107Cに乗るザナルディと大差ないタイムしか上げられません。
決勝は、大人しい走りに徹したザナルディはヒルやシューマッハにパスされる場面しか映らないまま9位でチェッカーを受けます。ハーバートは折り返しを過ぎた42周目にスピンオフしてリタイアでした。

◆続く悪戦苦闘
「イモラショック」によるレギュレーション変更の影響をモロに被ったロータスの94年型マシン109は、空力コンセプトの軌道修正もそこそこに投入された未完成品でした。新車を与えられたザナルディも低調。常に20位前後からスタートして、結果はリタイアかポイント圏外というレースが続きます。
第6戦カナダでは、黄旗無視による10秒ストップのペナルティで最下位転落。エンジントラブルで残り7周を残してリタイア。規定周回数により15位完走扱いでした。
第7戦フランスは、21周目にエンジントラブルでハデに炎を吹き、前年のサンマリノと同様そのままアデレードヘアピンまで走行を続けてリタイア。
第8戦イギリスは、ピットスタートから5周目にエンジンブロウでリタイア。
第9戦ドイツは、スタート直後の混乱でチェザリスと接触0周リタイア。
第10戦ハンガリーは、2度のピットインで5周遅れになりながら13位完走でした。

◆椅子取りゲームも金次第
ロータスチームは、苦悩していました。来期のチーム予算を温存すれば、今シーズンのテスト開発スケジュールを消化できず、テスト不足はマシンの熟成を妨げ、不完全なマシンは下位を低迷。望むリザルトが残せないチームはますます資金不足が深刻化…。差し当たり目先にぶら下がるお金には、手を出さざるを得ない状況でした。
チームは、ベルギー・ツーリングカー選手のフィリップ・アダムスを25万ドル(当時約2500万円)の持参金でベルギーGPとポルトガル、ヨーロッパGP(成績次第で日本、オーストラリアのオプション契約)に起用します。ザナルディは、アダムスの日程が合わないイタリアGPのみ出場が許されました。
ところが、アダムスにF1を走れるだけの力量がない事を母国スパのコースと気まぐれな天候がすぐ暴きます。雨にたたられた予選ではスピンばかりを繰り返し最後尾スタート。決勝ではトップ集団に道を譲ろうとして汚れた路面に乗りスピン&コースアウト。そのままリタイア。しかもレース中のベストラップがハーバートの6秒遅れ。これではお話になりません。

◆希望と絶望のモンツァ
ついにロータス待望の無限-ホンダ、ニューエンジンMF351Hが登場。そのパワーが高速サーキットのモンツァで遺憾なく発揮されます。たった1機の新型エンジンを託されたジョニー・ハーバートが期待に応え、なんとウィリアムズの間に割って入る4位セカンドロウを勝ち取ります。そんなハーバートの勢いが旧型エンジンを積むザナルディにも影響したのか、久々に中団13番グリッドをゲットします。
成績不振と資金不足でチーム存続すら危ぶまれるロータス。起死回生に希をつなぐ、何が何でも「絶に」落せないレース…しかし、意気上がるチームを絶望の淵へと叩き落とす瞬間はスタート数秒後訪れました。
絶妙のスタートダッシュでヒルを抜き、フェラーリ2台に続いて第1シケインへ飛び込むハーバート。そのテールを9位から飛び出してきたアーバインが止まりきれずにプッシュ。為す術もなくハーフスピンし、シケインを通せんぼする形で止まるハーバート。後続は大混乱となり7台のマシンがシケインをふさいだために赤旗再スタートとなります。しかし、マシンを壊してしまったハーバートの手元には旧型エンジンを載せたTカーしか残されていませんでした。
そして、再スタート。今度はザナルディに不幸が襲います。
1周を回りきらないうちにヨロヨロとピットインしてきたザナルディ。見ると左リアタイヤがバースト、サスペンションもダメージを負っていました。右リアタイヤを同じようにバーストさせたベネトン/フェルスタッペンとコース上で接触したものと思われました。
ピットスタートのハーバートは最後尾から14位まで追い上げますが、14周目にオルタネータの故障でヨロヨロとコースサイドに止まりリイアとなります。その直後、初ポール&初優勝の夢が無惨に砕け散ったジャン・アレジとティフォシの絶望の影に隠れがちですが、この週末にロータスが味わった絶望は、フェラーリのそれよりもずっと苦く深刻でした。

◆激変
モンツァ・ショックの影響か、第13戦ポルトガルGPでは下位グループへまた逆戻りしたロータスチーム。ここでも未熟なアダムスはポテンシャルの低さを露呈し、シムテックのグーノンにすら届かない最下位16位でレースを終えます。大金の持参金も見合った腕のないアダムスのクビをつなぐためにはいささか足りないようでした。
そして、ヨーロッパGP。ヘレスサーキットに立ったハーバートはロータスの緑ではなく、リジェの青いレーシングスーツを身にまといエントリーしていました。
移籍金120万ドルでリジェがハーバートを電撃的に買い取ったのです。
ザナルディはナンバー「12」番を受け継ぎます。そして「11」番シートにハーバートと入れ替わりにリジェからエリック・ベルナールが暫定的に座り、続く日本とオーストラリアには全日本F3000で活躍中だったミカ・サロが多額のスポンサーマネーを携えてナンバー「11」を手に入れます。

◆策士ブリアトーレの跳梁
ハーバートは、ヨーロッパGP後にベネトンのテストに参加して、そこでフェルスタッペンを上回るタイムを出します。それを見たブリアトーレは、来期ベネトンの『タイトル完全制覇構想』に欠けていた最後のパーツ「頼れるセカンド」にハーバートを抜擢する決断を下し、ラスト2戦の日本&オーストラリアから早速ミハエルのパートナーに据えます。
ブリアトーレ(ベネトンチーム代表兼リジェ・オーナー)のシナリオは、リジェへのハーバート引き抜きからすでに始まっていたのです。しかも彼の狙いはそれだけに留まらず、貪欲なその触手はロータスの心臓にまで伸びていました。その手がロータスの息の根を止めたとも言えました…。

◆ザナルディ、失意から栄光へ
雨の鈴鹿では、トップに2周遅れの最下位(13位)。そして最終戦アデレイドは、まだヒル&ミハエル疑惑の激突で騒然としている41周目にこっそりリタイア。原因はスロットルケーブルのトラブルでした。ザナルディの1994年シーズンは然したる結果もなく終わります。
そして、ロータスという名門がサーキットを去ると同時に行き場を無くしたザナルディは、失意のままアメリカへと渡ります。しかし、そこで彼を待ち受けていたのは、夢にまで見た栄光の日々でした。

(ロータスの末期&ザナやんアメリカへ行く編へ続く)

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登録日:2006年 12月 30日 18:39:47

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プロフィール
斎藤モ吉
(男)
福岡の片田舎でデザイナー兼ライター営業中。F1にハマったきっかけは、仕事関係で見始めた1987年のドイツGP。プロストとピケの麗しい姿に感動。
好きなレーサーは、ジル・ヴィルヌーブとアイルトン・セナ。好きなF1マシンはフェラーリ312T4。好きなF1マンガは『赤いペガサス』。好きなF1映画は『グランプリ』。好きな言葉はジル・ヴィルヌーブの『来年がやってくるってどうして言えるんだい? 』
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