「罪と罰」の狭間に隠された「フシギ」
【9月14日 AFP】F1、フェラーリ(Ferrari)の機密情報がライバルチームのマクラーレン・メルセデス(McLaren-Mercedes)へ流されたとされる一連のスパイ疑惑で、国際自動車連盟(Federation Internationale de l’Automobile:FIA)は、今シーズンのコンストラクターズポイント剥奪と1億ドル(約114億円)の罰金をマクラーレンに科した。
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(c)AFP
「F1」を見ていると、「フシギな事件」がよく起きます。
その度にいろんな「オトナの世界」を学べます。
数年越しになって、解き明かされる「フシギ」もあれば
永遠に分からないままになる「フシギ」もあります。
「セナの死」も裁判沙汰にまで発展しましたが、
「コントロール不能」となった原因は分からず終いという「フシギ」。
もしも、あの時セナが死ななかったなら…。
モンツァでのライコネンのクラッシュ同様、
「バンプに乗って挙動を乱した」事で済まされていたでしょう。
この夏の間中、F1パドックを騒がせ続けた
《フェラーリ・マクラーレン間におけるスパイ疑惑》
「マクラーレン有罪。2007年の全ポイント剥奪、罰金1億ドル」
という裁定によって、一応の決着はつきました。
マシンの重量配分、フレキシブルウィング、ブレーキシステム…
「タイヤの充填ガスの成分」などをマクラーレンのドライバーが知っていた。
メールの通信履歴から「事実が確定」されたそうです。
マクラーレンが、得た情報を「使った」かどーかは問題ではなく
「手元にあった」というだけでアドバンテージを得て、
「競技の公正または自動車スポーツの利益を阻害する性質を有する
詐欺行為または不正行為」(国際モータースポーツ競技規則 151条C項)
を働いたとされ「有罪」判定を下されたのです。
これから以降、F1の世界では、どんな「ツマラナイ」情報だろうと
「見聞きした事実」があるだけで「スパイ行為」と見なされるそうです。
これからパドック内では、知り合い同士で
ちょっとした「オフレコ話」はメールでやりとりしてはいけません。
FIAから「目」をつけられた時点で“おしまい”です(笑)
冗談はさて置き、事件を巡る漠然とした「フシギ」感は残ったまま。
フェラーリは、「“マクラーレン”がスパイ行為をした」と言い張ったのです。
だったら、「マクラーレンの誰それが具体的な“スパイ目的の指示”をした」
という物的証拠が必要ではないでしょうか?
《婦人服》ブランドMの企画担当が
《婦人服》ブランドFの企画担当と知り合いだった。
この秋冬新作のデイスプレイ方法や宣伝文句など
数百ページの企画書をFがMに送って教えた。
その話がMの企画部内で話題になり、広報部の人間が
今度の会議の議題にするため、企画担当にくわしい内容について質問した。
企画担当は、知っている内容を答えた。
今回のメール内容で分かったのは、この程度の内容です。
「企業人としての自覚に欠けた個人的行為」の存在は認められます。
それを不用意に使用しようとした「軽率な行動」の形跡もあります。
ただ、それだけの《状況証拠》だけでブランドFの社長は、
ブランドM全体が「産業スパイ」を働いたと訴えられるでしょうか?
F1界の裁判長マックス・モズレーは、
「ロンは、私の信頼を裏切った」という個人的怒りも上乗せ、
「個人的な罪も、組織は負うべきである」として
マクラーレンチームを強引に断罪したのです。実に「フシギ」です。
かつて、これとまったく逆の裁定が下された事があります。
2002年。オーストリアGP「A1リンク」。
かの有名な《フェラーリチームオーダー事件》。
この時、裁かれたのはチームではなく、ドライバー個人。
表彰台の立ち位置を変えた「ミハエルの勝手な行為」だけが裁かれたのです。
肝心の「チームオーダーの是非」は、問われませんでした。
この時は「組織の罪も、個人が負えばオッケイ」なのでした。
物凄く「フシギ」でした。
往々にしてこういう「フシギ」な事件の場合、
明らかにされない部分に《核心》が潜んでいるような気がします。
たとえば、今回の件で言えば
「3月11日から7月3日までの期間、
コフランとステップニーの間で交わされた288通のSMSメッセージ。」
ちなみに
マクラーレンが《フレキシブルフロア》についての上申書をFIAに送ったのは、
“ライコネンが圧勝”開幕戦オーストラリアGP決勝のあった3月18日以後。
ナイジェル・ステップニーの“チーム内妨害工作”が表沙汰になったのが
“マクラーレン3連勝”したアメリカGP決勝(6月17日)直後の6月22日。
あるいは“ライコネン奇跡の復活”フランスGP約1週間前と言うべきか。
そして、いよいよ《ステップニー・ゲート》として
秘密漏洩問題が大々的に取り沙汰されるようになったのが
“ライコネン2連勝”イギリスGP直前の7月3日の事。
この間に2人が、ショートメッセージでどんな内容をやりとりしたか、
ぜひ「内容」を読んでみたいと思いませんか?
◆ここでまた“究極のタラレバ”
もしも今年、マクラーレンがフェラーリに対して
《フレキシブルフロア使用》の邪魔さえしなかったなら。
・フェラーリのマシンは、何勝していたでしょうか?
・チャンピオンシップは、誰と誰によって争われていたでしょうか?
・そもそも《ステップニー・ゲート》など取り沙汰されたでしょうか?
ハンガリーGP最終予選。
「チーム内ゴタゴタ」に内政干渉してまで、
マクラーレンからチームポイントを剥奪していった一件。
アレもよく考えれば「フシギ」な裁定でした。
なんだか、今回の「予行演習」だったように思えてきます。
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登録日:2007年 09月 23日 17:27:24
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- プロフィール
- 斎藤モ吉
- (男)
- 福岡の片田舎でデザイナー兼ライター営業中。F1にハマったきっかけは、仕事関係で見始めた1987年のドイツGP。プロストとピケの麗しい姿に感動。
好きなレーサーは、ジル・ヴィルヌーブとアイルトン・セナ。好きなF1マシンはフェラーリ312T4。好きなF1マンガは『赤いペガサス』。好きなF1映画は『グランプリ』。好きな言葉はジル・ヴィルヌーブの『来年がやってくるってどうして言えるんだい? 』
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