F1グランプリ〜栄光の男たち〜

画像

1973年のF1に興味がある人にだけオススメ。

ただし、雰囲気重視で編集された映像は、かなり不親切。

モナコかと思えば、シルバーストーン、次のカットはニュルブルクリンクと
パッチワークのようにレースシーンが目まぐるしく入れ替わる。

当時、世界の一線で活躍していた日本人音楽家「ツトム・ヤマシタ」監修の音楽に乗って、いきなりサイケ調にエフェクト処理された映像が延々流れたり、マシンそのものの美しさを愉しみたい向きには、ちょっとイラっとする場面もあり。

・・・・・・

本編は、当時の常勝チーム・ティレルがメイン。

最多優勝を誇るジャッキー・スチュワートのニュルブルクリンク攻略ガイド。
絶世のプレイボーイレーサー、フランソワ・セベールの肉体美を愛でるオフ影像。
など、ティレルマニアには堪えられない影像が次々と流れる。

マシンは、ティレル005&006。JPSカラーがまぶしい名車ロータス72D。
この後数年にわたってサーキットを席捲する名車マクラーレンM23などがフィーチャーされる。

個人的には、もっと72Dを振り回すロニー・ピーターソンをガッツリ映してほしかった。白いガードレールが陽炎に揺れるモナコの1コーナー、サン・デボーテをロータスの2台を先頭に、キラキラ光るマシンたちが駆け抜ける影像は、夢のように美しい。

逆に、将来を期待された新鋭ロジャー・ウィリアムソン(マーチ)が、デビュー2戦目で非業の死を遂げるマシン炎上シーンは残酷。
自分のレースを放棄して、逆さまに横転して燃えさかるマシンに消火器をかけたり、必死にマシンを持ち上げようと孤軍奮闘する同僚デビット・パーレイの姿がいっそう憐れを誘う。必死にレースを辞めるようアピールするパーレイの脇を高速で駆け抜ける他のマシンたち。
レースの悲惨な暗黒面を見る思いがする。

ただし、それよりもさらに残酷な運命は、この映画撮影の後に待ち受けていた。

映画の中では快活に笑い、将来への夢に満ちあふれたフランソワ・セベール。
彼が、最終戦アメリカGPが開かれるワトキンズ・グレンで予選中の事故に巻き込まれて命を落とす。

高速S字コーナーでコントロールを失ったマシンは、210キロのスピードでガードレールに接触、弾かれたマシンは裏返り、反対側のガードレール上に鋭角的に突き刺さった。
前戦カナダGPでセベールと接触リタイアして、一悶着を起こした相手ジョディー・シェクターが、係員が制止するのを振り切って現場を見た途端、あまりの惨状にその場に立ちつくし、ボロボロ涙をこぼした。
「そこはまるで屠殺場のようだった」
セベールの体は、足の付け根から顎の下まで真っ二つに裂けていた。

シルバーストーンでの優勝シーンが紹介されるピーター・レブソンも翌年、南アフリカGP直前テストで事故に巻き込まれ死亡。インタビューを受けていた2輪王者マイク・ヘイルウッドも1981年には交通事故で息子とともに死亡。

画面を見ていても、「よくこんなペラペラのマシンで」とか「吸気トランペットにサビが浮いてるよ」とか「マシンが走るコースのすぐ脇に人立ってるし」とか、本当の意味での安全が、まるで顧みられていられなかった事がよく分かる。

走る方も見る方も「命がけ」だった時代。
良い、悪いの判断は置いといて、文字通り、真に迫る迫力がある。

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登録日:2008年 08月 18日 14:49:25

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プロフィール
斎藤モ吉
(男)
福岡の片田舎でデザイナー兼ライター営業中。F1にハマったきっかけは、仕事関係で見始めた1987年のドイツGP。プロストとピケの麗しい姿に感動。
好きなレーサーは、ジル・ヴィルヌーブとアイルトン・セナ。好きなF1マシンはフェラーリ312T4。好きなF1マンガは『赤いペガサス』。好きなF1映画は『グランプリ』。好きな言葉はジル・ヴィルヌーブの『来年がやってくるってどうして言えるんだい? 』
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