アロンソ、イギリスGP/グランドスラム達成で一句

<F1 第8戦・イギリスGP>アロンソ 今シーズン5勝目 - 英国

【シルバーストーン/英国 11日 AFP】F1第8戦・イギリスGP(British grand prix)、決勝。ポールポジションからスタートしたルノー(Renault)のフェルナンド・アロンソ(Fernando Alonso)は、1時間25分51秒927のタイムで3連勝を飾り、今シーズン5勝目を挙げた。(c)AFP/PIERRE ANDRIEU

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アロ〜ンソォ〜 ジンクス知らずの 天然ボ〜イ

[解説]
なんかもう圧倒的過ぎ。まるで勝つのが当たり前みたいなアロンソの勝ちっぷり。ジンクスなんか屁のカッパ。気負いもプレッシャーも関係ナシ。平常心でノープロブレム。21世紀の今、私たちがアロンソの走りを見ながら呆然とするように、40数年前、シルバーストーンに詰めかけた観衆も《ナチュラル・レーサー》ジム・クラークのアンタッチャブルな走りをただ呆然と見ていたのでしょうか。

[雑感]
◆シルバーストーンのジンクス
「ポールシッターは勝てない」というシルバーストーンのジンクス。死んだ空軍パイロットたちの呪いなどと言われたりもしますが、さて、事実はどうなのでしょう。
ここ5年間のP.P.&優勝結果を見ると、01年ハッキネン→M.シューマッハ/02年M.シューマッハ→モントーヤ/03年バリチェロ→バリチェロ/04年M.シューマッハ→ライコネン/05年アロンソ→モントーヤと03年と今年を除けば、ジンクス健在と言えなくもありません。

◆イギリスGPのサーキット
歴史を振り返ると、3つのサーキットでイギリスGPが開催されていた事が分かります。シルバーストーンとエイントリーとブランズハッチ。例外的には、93年、セナが「奇跡のオープニングラップ」を見せたヨーロッパGPのドニントンパーク・サーキットがあります。

◆代わりばんこ時代
イギリスGPは、50年代後半から60年代初頭まではシルバーストーンとエイントリー、次いで60年代初期から1986年まではシルバーストーンとブランズハッチで1年ごとに交代で開催されていました。ですから、「ポールシッターが勝てない」というジンクスは、「シルバーストーンで」ではなく、「イギリスGPで」と言う方が無難です。

◆ジンクスに泣いたドライバー・その1
そんなジンクスに泣いたドライバーの一人にトム・プライスがいます。シャドウというマイナーチームに在籍した彼が、人生でたった一度のポールポジションを1975年のシルバーストーンで獲得しますが、決勝はリタイヤ。同じ年、モナコGPの予選でもラウダに次ぐ2位を獲得したプライスは、一躍注目を集めます。しかし、その後は目立った成績を上げる事もなく、77年の南アフリカGPで非業の死を遂げてしまいます。

◆ジンクスに泣いたドライバー・その2
ダイナミックな走りで観衆を魅了したロニー・ピーターソン。無敵のベンチュリーカー・ロータス79フォードを駆り、マリオ・アンドレッティと破竹の勢いを見せていた1978年。ロニーが、この年初めてポールを獲ったのがブランズハッチでした。ところがたった6周でリタイヤ。その2戦後のオーストリアGPで、ポールトゥーウィン&ファステストラップのグランドスラム(完全優勝)を成し遂げるのですが、その2戦後のモンツァで不運にも多重クラッシュに巻き込まれ、命を落とします。

◆ジンクスに泣いたドライバー・その3
エルフの支援を受け、ティレルからデビューした期待の新人、ディディエ・ピローニ。GPキャリア3年目の1980年。有力チーム・リジェへ移籍した彼は、早々に母国の先輩ジャック・ラフィーを凌駕する才能を見せます。第5戦目ベルギーGPゾルダーで初優勝を遂げ、続くモナコGPでは初ポールポジションを獲得。次戦フランスでも3位表彰台とまさに上り調子で迎えたイギリスGP。ブランズハッチで、先輩ラフィーとフロントローに並ぶポールスタート。しかし、結果は18周までトップ快走も空しく63周リタイヤしてしまいます。
幸か不幸か、この年の目覚ましい活躍が、翌年、彼をフェラーリ・ドライバーへの道へと誘います。1年間の雌伏の時を経て、ついに栄冠を掴むと思われた82年。ジル・ヴィルヌーブとの確執からゾルダーの悲劇、ジル所縁のカナダGPでは、エンストした彼に追突したリカルド・パレッティが炎上死、そして、運命のホッケンハイムリンクでの雨の予選。まるでジルの悲劇を繰り返すかのような因縁めいた事故により両足を複雑骨折、彼のドライバー生命は永遠に絶たれます。『裏切り者』の汚名をそそぐ機会もなく5年後、モーターボートレース事故でこの世を去ります。

◆ジンクスに泣いたドライバー・その4
主要ドライバーを相次ぐ事故で失ったフェラーリは、1983年シーズンに向けてフランス人レーサー、ルネ・アルヌーに白羽の矢を立てます。英雄ジル・ヴィルヌーブと繰り広げた79年フランスGPでの激闘のおかげかも知れません。何はともあれ、古巣ルノーで新人アラン・プロストにナンバーワンの座を奪われた彼には、「渡りに船」の話でした。
シーズン序盤こそ調子が出なかったアルヌーも第8戦カナダGPでやっとポールトゥーウィンを成し遂げ、その勢いを持続したまま次戦シルバーストーンでもポールを獲得します。ところが、決勝は5位という平凡な結果。優勝したのは、憎きアラン・プロストでした。
この年アルヌーは、3勝を上げますがランキング3位止まり。翌年は、イタリア人のミケーレ・アルボレートが御大エンツォ・フェラーリの肝いりで加入。やがて失意のうちにフェラーリも追われたアルヌーは、ただ居場所を求め、恥と不名誉を塗り重ねていくだけの転落人生へ堕ちていきます。

◆セナと相性の悪いシルバーストーン
意外な事実があります。あの天才と呼ばれたアイルトン・セナがイギリスGPでは、1度しかポールを獲得できず、優勝もたった1回きりなのです。あの無敵を誇るMP4/4を駆った1988年のマクラーレンホンダチームが唯一ポールを獲れなかったのがシルバーストーンだったのです。予選でセナは、派手な360度スピンでタイムを失い、フェラーリ2台に及びませんでした。それでも雨の決勝レースは見事優勝し、勝利者インタビューで「初めて勝てた」と素直に喜びを表します。まさかこれがイギリスでの最初で最後の優勝になるとは夢にも思わなかったでしょう。そんなセナの成績を考えれば、シルバーストーンでポールを3回も獲ったデイモン・ヒルや2回も優勝したクルサードのファンは、もっと堂々と胸を張って「結構スゴイ!」と言っちゃってもいいのかもしれません。
シルバーストーンでの優勝回数トップは、アラン・プロストの5回。次いでジム・クラーク、マンセル、M.シューマッハの3回。ポール獲得トップは、クラーク、マンセル、D.ヒルの3回です。

◆なぜポールシッターが勝てないのか?
記録を見ていて一番目につくのが完走率の低さです。エンジンに厳しいと言われた旧ホッケンハイムリンクやドライバーズサーキットと呼ばれるスパ・フランコルシャンと比べても、圧倒的に数字が低いのがイギリスGPのサーキットです。軒並み50%前後の数字が並んでいて30%台も少なくありません。エンジン、タイヤ、ドライバー、天候すべての条件に対して難しいレース。それがイギリスGPです。しかし、近年のGP全体に言える事ですがコース改修や給油レギュレーションの影響もあり、シルバーストーンでも完走率が70〜80%台まで上昇しています。それにも関わらずポールシッターが勝てない。もっと他に何か原因があるのかもしれません。

◆ジンクスも勝てないシーズン到来
では、イギリスGPでポールシッターは絶対勝てないのか?と言えば、そうとも言えません。《元祖天然児》ジム・クラークとロータスの無敵コンビは、ポールトゥーウィンで4連覇+1勝が達成されていますし、ウィリアムズルノーの全盛期には、マンセル、プロスト、D.ヒル、J.ヴィルヌーブが全員ポールトゥーウィンを記録しています。もう圧倒的に強い車とレーサーが揃った時には、ジンクスもまったく役に立たないという事です。
つまり、今回のイギリスGPの結果によって《新天然児》アロンソと《信頼度ナンバーワン》R26のパッケージは、完全無欠を証明しちゃったのかもしれません。もし、そうであるなら今シーズンは、まだまだ退屈なレースが何度か続く事を覚悟した方がいいでしょう。

カテゴリー[ F1・全般 ], コメント[2], トラックバック[3]
登録日:2006年 06月 22日 15:22:05

コメント

また見に来ました。
ポールポジション争いと
その後の命を懸けた戦い。
いろんなドラマがあるのですね。
今回も勉強になりました。

aya @ 2006年 06月 23日 21:57:06

ありがとうございます。(^_^)
F1の面白みって、マシンやドライビングテクニック、レースの駆け引きも楽しいけど、敵意をぶつけ合うむき出しのエゴや心温まる子弟愛、悲劇も感動劇など、サーキット上の人間ドラマも絶対欠かせないと思います。
最近のテレビ放送は、その辺りがあんまり伝わってこないのがちょっと不満です。

モズキーノ @ 2006年 06月 27日 16:09:50

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プロフィール
斎藤モ吉
(男)
福岡の片田舎でデザイナー兼ライター営業中。F1にハマったきっかけは、仕事関係で見始めた1987年のドイツGP。プロストとピケの麗しい姿に感動。
好きなレーサーは、ジル・ヴィルヌーブとアイルトン・セナ。好きなF1マシンはフェラーリ312T4。好きなF1マンガは『赤いペガサス』。好きなF1映画は『グランプリ』。好きな言葉はジル・ヴィルヌーブの『来年がやってくるってどうして言えるんだい? 』
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