「アバター」。 「インフォーマント!」と比べると脚本家を雇うかどうかの差が出た


アバター / Avatar

"ジェームズ・キャメロンの新作だから青いキャラは気になるが見ておくか"というのが最初に画像や予告を見たときの感想。その後にTOHOシネマズの3D特報を見ても心は動かされなかった。そして最終予告でやっと見えてきたストーリーが気になり、スチール写真でミシェル・ロドリゲスの姿を見つけて期待値が上昇した。まあ"キャメロン、お前はどこまで強い女は好きなんだ!"と思ったわけだ(実際にはそんなに目立っていない)。これはシガーニー・ウィーヴァーが出るといってももう暴れる役をできないということでもある。

ストーリーは最終予告から連想できるものとさほど変わらない。つまり侵略者が攻めに行ったら現地の人に助けら、親しくなり自分の仕事に疑問を持つというものだ。この話は舞台となるパンドラやそこに住むナヴィたちをネイティブ・アメリカンやアフリカにしても成り立つ話だ。

肝心のアバターを取り巻く話は中途半端だ。主人公のジェイクは元海兵隊員だが、負傷して車椅子生活。双子の兄は科学者でアバターの計画に関与していたが死亡。DNAの有効活用とかでジェイクがアバター計画に参加と単純すぎる。科学者が負傷して下半身不随に上司が記憶を操作して彼を双子の兄弟と思わせたくらいのものがほしい(それは「トータル・リコール」!)。

しかしアバターは毎回元の場所に戻って回収するのが基本なのか?アバターが行方不明になって困るが、なんの追跡装置も着けないのは疑問。その前にアバター作る技術があるなら自動翻訳気くらい発明していないのは不自然。アバターを強制終了させたときの描写は面白かったがだいたいアバターのデメリットが描かれてないからあえてアバターをあえて使う理由(空気が人間と合わないことくらいか)がないのはどうしたものか。高い映像技術を必要とする映画ならストーリーは単純化するのは正しい。しかし、残念ながらこの映画のレベルは許せる最低限レベルだ。

さて、誰もが気にしていたアバターが映画で違和感なく見られるかという問題はクリアしている。まずナヴィ(アバター)の身長をかなり高くしているので動きがぎこちなくても違和感がない。ジェイクがアバターを動かすところの不安定な動きはほほえましくて良い。さらに青い色もパンドラの風景をバックにしていると気にならないのでラスト・バトル以外の場面は良い。夜の暗さの中でも映える。

22世紀になっても何万ドルとか言っているアメリカ人(世界政府など当然存在しない)は相変わらず傲慢で、軍産複合体がのさばっている。シガーニー・ウィーヴァー演じる科学者が"本当に貴重なのは軍が求めている鉱石ではなく、この星の自然を支えているシステムなのよ"というが、これはキャメロンのエコ・メッセージだとしたら下手すぎる。軍側の人物は当然のように深みのある人間はしていないので話が深くなることはない。これがSFでなければ、ミシェル・ロドリゲスは小さいころに現地の人に拾われてそこで育てられたとかの設定が出来るのだが他の星ではそうはいかない。だからこそ初めは軍にいながら最終的には裏切るという手続きが必要になる分だけ説明的になりキャラクターに深みを与えられない。

ナヴィには族長や巫女がいて、母なる神もいる。あのクラゲもどきが出てくるところは好きなのだがキャメロンは神話創造にはあまり興味がないのかあまり深く突っ込んでいない。このあたりは「ロード・オブ・ザ・リング」と比べるとかなり物足りない。せめて死生観くらいはきちんと打ち出すべきだった。

ラスト・バトルはAMPスーツを含む地球軍の近代兵器対ジェイクと現地の人々による人海戦術。軍から寝返るのが一人なのでさほど盛り上がらない。予想通りの人物が死ぬが、これはジェイクと同じく下半身が不自由になるほうが良かったのでは?ジェームズ・キャメロンという人は監督だけでなく脚本も兼任する、というか専門脚本家と(少なくてもクレジット上は)共同作業をしない。そのため脚本の出来は甘めなのだが(「タイタニック」で唯一アカデミー賞ノミネートされなかった部門だ)、神話体系が必要な「アバター」のように映画では直接描かれていない部分の厚みが重要な作品では明らかにマイナスだ。そのへんが「ロード・オブ・ザ・リング」との大きく違う。まあそれはピーター・ジャクソンではなく原作のトールキンが偉いというだけの話になる。と思うのはクリーチャーが(WETAが係わっていることと関係があるのかないのか分からないが)「ロード・オブ・ザ・リング」と似ていると感じることがあったからだ。宮崎駿に似ているところも含めてオリジナリティのなさがどうしても気になる。このへんがアラン・リーの協力があった「ロード・オブ・ザ・リング」との大きな違いだ。ジブリ関係者にデザインを頼むくらいのことをしてもいいはずだ。

とはいえこうしてあれこれと喋れるのは楽しい。

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登録日:2009年 12月 27日 22:04:35

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