「バッタ君町に行く」。 「誰がため」より無自覚なパワーはある

バッタ君町に行く / Mr. Bug Goes to Town

ジブリ関係者が影響を受けたと思われる映画を再上映するシリーズ。ディズニーのライバルとも言われるフライシャー兄弟による長編アニメ。描かれているのは虫の世界、どこかに出ていたバッタのホピティが町に帰ってきてミツバチのハニーちゃんと結婚しようとするのだが、悪役のビートルが登場してそれを邪魔し、それに人間も絡んでくるというお話。

虫の擬人化というとピクサーの「バグズ・ライフ」を思い出す。都会の中で小さなものを守ろうというのは絵本「ちいさいおうち」があるがこれはそれよりも早い、また「ちいさいおうち」はディズニーが短編として映像化している。これがまたピクサーの「カールじいさんの空飛ぶ家」の冒頭を思い出す。

当事に目指した色合いは分からないが、カラフルながら白々しいな所まで行かない感じがいい。ミュージカル・パートはベティ・ブープっぽい。ディズニーより大人向きとされるだけあって、ややシニカルな面もあるが、話は真っ直ぐに進みキャラクターたちが悩んだりするところはない。ただし話が向かう先は驚きがある。これをご都合主義といってしまうのはもったいない。音楽は"スターダスト"のホーギー・カーマイケルほか。なるほど今聞くと王道的な曲で歌詞もコミカルでよくできている。

ピクサーの「カーズ」もその傾向があったが、擬人化した世界に人間的な価値観を持ち込むと整合性が取れなくなってくる。安全な土地を求める虫たちと、印税が入ればもっといい暮らしができると思う作曲家、この二つが求めることが同じになってしまうことに違和感は残る。ただし虫たちは大局が見られずに行き当たりばったりで行動してしっぺ返しをくらうというのは描かれているので、最後に虫たちが見つける人間的な価値観で美しい庭であってもいいのかもしれない。上へ上へと登る姿はがんばれば上に行けると信じていた時代の名残だと思っておこう。

とはいえ見所はその虫たちがわさわさと集団で建設現場を上へ上とへと登る画が持つパワー(パワーでいえば「オトナ帝国」のタワー場面もなかなかのもの)、酒場でバッタ君が感電したときのスラップスティック・コメディな動き、ミュージカル・シーンをなどなので、これらを楽しむべきだろう。しかし本編よりはパンフレットとジブリの小冊子「熱風」のほうがおもしろい。宮崎・高畑の両御大の話などは最高。パンフだけだと少し物足りない。

カテゴリー[ その他映画 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2009年 12月 30日 22:12:51

コメントを追加

Trackback

この記事に対するトラックバックURL:

カレンダー
< 2009年 12月 >


1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

プロフィール
JK
エミー・ファン!ブログ
最近のトラックバック
お気に入りリンク
検索