「ブルーノ」。「マイレージ、マイライフ」と比べると脚本に工夫が足りない


ブルーノ / Bruno

「ボラット」に続くサシャ・バロン・コーエンによるセミ・ドキュメンタリーだが、テレビ局のレポーターという設定だった「ボラット」と比べるとモキュメンタリー色は後退している。さらにデビヒゲだった相棒もメガネ白人と地味になりインパクトが薄い。そして決定的なのはが"建前に隠れた本音を浮かび上がらせる"という「ボラット」のキモがここには見当たらないのだ。

映画はオーストリア人でゲイのファッションレポーター・ブルーノがファション業界のトラブル(この引っ付き衣装は見もの!)で業界にいられなくなり、アメリカに渡ってセレブになることを目指す。ここでこちらが期待するのはセレブの行動をちゃかすことなのだがやっていることは(すばらしく酷い下ネタも含めて)セレブより低俗、つまりはメキシコ人による人間椅子、男体盛り、赤ん坊をアフリカから養子と、不快に感じるようなことばかり。

続いては政治問題に挑むのだが、こちらのほうも空振りだった。「ボラット」は政治的な問題も斜めから切り込んだから面白かったのだが、こちらのように正面から行っても、よくやったとは思うが面白くはないのだ。

映画が面白くなるのはブルーノが"ストレートになる!"と決めてからだ。ゲイを矯正してくれる教会、ハンターたち、軍隊、格闘技を体験する。途中にはさまれる空手道場やスワップ・パーティーなどのギャグもやって効いてくる。ブルーノが乗り込んだのは表面上マッチョなだけに隠れゲイが多そうな世界だ。ここでやっと"建前に隠れた本音を浮かび上がらせる"「ボラット」スタイルになるのだが今回は突っ込み不足なのでそこまで行けない。

総合的に考えるとブルーノが行くべきだったのは音楽業界だったと思う。まあ危険なことをたくさんやったサシャ・バロン・コーエンにはお疲れ様というしかない。

カテゴリー[ その他映画 ], コメント[2], トラックバック[0]
登録日:2010年 03月 22日 23:06:31

コメント

「ブルーノ」の笑いのノリは全編通じてまったく変わらないのではないでしょうか。「ストレートになると決めてからが面白くなる」と感じられたようですが、それは前半を楽しめなかったということでしょうか。「低俗」「アホらしさ」は素直に笑い、あきれたり怒ったりする「世間」のリアリティを楽しめるなら、この映画はもっと面白くなりますよ。「ブルーノ」の見どころは、ブルーノそのものではなくて、むしろブルーノの対極にいる世間の人々の眉間にシワを寄せた顔なのではないでしょうか。要するに「ひんしゅく」こそがこの映画の主役なのです。

MAX @ 2010年 03月 29日 00:31:30

MAXさん、返答が遅れてすみませんでした。

前半はセレブに対してなるところを見せたいのかちゃかしたいのかはっきりしないというか
行き当たりばっりな気がして、流れがないなように感じました。
後半のほうが焦点が定まっていると感じるのですが、
どちらにしても芸のインパクトは強くても、浅いような・・・

JK @ 2010年 04月 04日 22:43:42

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