「NINE」。 「息もできない」と比べるとテンポも編集も悪い


「シカゴ」ロブ・マーシャル監督新作「NINE」、「8 1/2」との関係等はとりあえず置いておいて語ると、ダニエル・デイ=ルイスはあまりイタリア人監督グイドには見えないのだが、悩める小心者としては悪くないと思う。

「シカゴ」でミュージカル映画の歌うシーンを妄想として処理したロブ・マーシャル監督なので今回も同じ手法を採用しているが受ける印象は違う。「シカゴ」での歌は物語にどう取り入れるかがよく考えられていたのに対して「NINE」では歌の場面をほかの要素で単に埋めているようにしか見えないのだ。スター8人が歌うプロモーション・ビデオのようだ。これが(15人ならぬ)8人編成グループの各人が監督したビデオをまとめた作品としてなら面白いかもしれないが、映画としてはこのメンバーである必然性を感じさせないのでつまらない。

というわけで必然性というか女優たちの配役について考えてみる。はまっているのは次の3人。母親役のソフィア・ローレンには何も言うことはない。愛人役のペネロペ・クルス、全世界共通認識として浮気するならペネロペ、これだね(本人がこれでいいと思っているのかは知らないが)。浮気夫を持つ妻は薄幸女優マリオン・コティヤール。ただこの映画の浮気相手はイタイ行動をとるから彼女がやっても似合う。グイドが駆けつけてみたらペネロペじゃなくてマリオンだったという幻想的な演出(というよりは錯乱か)があっても面白かったように思う。それができるのは舞台ではなく映画だ。映画ならではの演出といえば白黒からカラーに変わるところも何箇所かあったがあまり効果的には思えなかった。

ダニエル・デイ=ルイスが喋るイタリア語訛りの英語、非英語圏の女優を多数起用などは珍味として楽しめた。本来なら監督が得意なはずのダンスシーンだがこれも良くない。一人が踊りその周りを同じ振り付けで踊り、その後ろではちょっと違う踊りをしている。このパターンが多すぎるだけでなく、この映画は2人以上の俳優が絡むミュージカル・シーンがほとんどない。結果としてメーンのはずの役者が画全体に埋もれてしまっているのだ。だからソロよりも豪華俳優総出演のラストもさほど良くないのだが他の酷いのでそこくらいしか印象にのこらない。

映画全体としては人物描写ができるところかでも行かず。7人の女優とダニエル・デイ=ルイス以外の脇役は本当にただいるだけ、これは監督の責任というより企画を立てた人の責任だろう。8人有名俳優を揃えるのではなく、核となる4人くらいの俳優を中心にして、それ以外は知名度より役にふさわしい俳優を起用すべきだった。

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登録日:2010年 04月 01日 00:00:46

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